青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第117回

第117回 – 2010年11月

視聴者意見について

中高生モニターについて

第117回青少年委員会は11月24日に開催され、10月16日から11月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、ドラマの番組宣伝スポットについて視聴し審議したほか、11月に寄せられた中高生モニター報告についての審議が行われた。

議事の詳細

日時
2010年11月24日(水) 午後4時30分~6時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

フジテレビ『ストロベリーナイト』(11月13日放送)の番宣スポットについて

土曜日の夜9時から放送されるドラマの番宣スポットに対し、「子どもが見られる時間に暴力的で残虐なシーンが放送され配慮が足りない」等複数の批判意見が寄せられた。当該局では同様の意見が寄せられたことから、放送の数日前から内容を差し替えたスポットを放送する対応をとっており、委員会では”差し替え前””差し替え後”のスポットの内容を視聴し、”差し替え前”のものについて審議した。

【委員の主な意見】

  • 冒頭のシーンには大人の私でも驚いた。この番組だけではなく、最近、番宣がとても刺激的になっている感じがする。放送局は、番宣はただ刺激的な映像をつなげばよいというものではなく、本編同様、子どもたちへの配慮や放送時間などに関する制作者への教育など、事前チェックの体制を取るべきではないか。
  • 番組はラ・テ欄などであらかじめ見る見ないが決められるが、番宣は視聴者の目にいつ飛び込んでくるか予測できない。また、放送時間がほんの一瞬で、ストーリーのない中で凄惨な映像がより深く印象に残ってしまうので、一層の配慮が必要だ。
  • 最も刺激的な映像を安易に選ぶ傾向にあるが、制作者は番宣で本編の中身を工夫してうまく伝えるという義務を怠っている。視聴者意見にもあるように、あの番宣を見て本編を見たくなくなるという逆効果があるのではないか。
  • このような傾向が引き続き見られるようになると、かつてあった”R指定論”のような議論が再燃しかねず、欧米で見られるガイドラインの作成等、制作者にとって窮屈な状況が起きかねないことを危惧する。

【ドラマ本編についての委員の参考意見】

  • ストーリーの中で見れば大人は受け止めることができると思うが、子どもには刺激が強すぎる。
  • 暴力表現に必然性が感じられず、夜9時過ぎの放送ではあるがコンセプトに無理がある。
  • 正常と異常の境目や生と死など骨太のテーマがあり、考えさせられる点を含んでいると感じた。

以上の審議を踏まえ、委員会としては各委員の意見をBPO報告に掲載するとともに、番宣スポットについて視聴者から意見が寄せられていることから、引き続き注視することとした。

中高生モニターについて

9月~11月は「報道・情報・ドキュメンタリー番組」のジャンルを取り上げている。11月は、「ニュース・情報・ドキュメンタリー番組」の企画を考えてもらった。今の中高生たちが知りたい情報とは何か、どんな事柄に興味があるのかなど、28人から提案が届いた。

【モニターの主な意見】

まず、全体的に多かった意見は「中高生向きのニュース・報道番組が欲しい!」というものだった。タイトルでは、『CTAJ(Children,Think About Japan.)』、『これを見れば世の中の事まるわかり』、『ニュースタイム真っ最中』など、独創的なネーミングを考えてくれたモニターもいた。
「僕が考えた番組は『激論!!学生vs話題の人』というもので、普通の高校生や大学生が話題の政治家や事件の当事者などと討論する番組です。司会は田原総一朗さん、解説はやはり池上彰さん、そしてアシスタントとして学校の先生にも出演してもらう。今のニュースでは大人たちの報道・情報しかありません。世の中には学生たちもいるのだ、僕たちもいろんなニュースに対してたくさんの意見を持っているのだということを知ってもらえる番組ができたらいいなと考えました」
「以前に放送されていた、ひとつの場所を3日間(72時間)にわたって特集するという『ドキュメント72』に似たものを考えました。例えば、ネットカフェやコンビニ、サービスエリアなど、同じ時刻のさまざまな場所を同時に取り上げます。12月1日を例とすると、午後11時のコンビニや公園、居酒屋など、まったく同じ時刻だけれど、それぞれの場所でいったい何が起こっているのか、ややマニアックな番組ですが興味深いドキュメンタリーになると思います」。
報道情報番組の企画はなかなか難しいという意見も寄せられた。「ニュース・情報・ドキュメンタリー番組は、”情報の客観的伝達”が意外と難しい。特にニュースは、めまぐるしく入ってくる情報を早く、冷静に、正確に伝えなければならないため、テレビ局や記者の意向が強く表れる。前回、視聴者参加あるいは双方向番組を考えて企画したが、評価はいまひとつだった。なので、情報の伝達方法など現在もいろいろ検討中です」。
また、今回の特徴のひとつに「スポーツ番組」の提案が多かったことがあげられる。特にクラブ活動で運動部に入っている中高生にとってスポーツは興味のある分野である。
「私が企画する番組のタイトルは『みんなのスポーツ』です。内容は、毎日行われている野球、サッカー、バレーボール、水泳、卓球、テニスなど、あらゆる種類のスポーツについて取り上げるものです。企画を立てた理由は、私が水泳を習っているからで、練習を頑張り大会で成果を発揮できるようにしています」
「僕は野球部に入っているので、もっとスポーツの分野を知りたいと考えています。野球はいろんなチームが戦って、勝ったり負けたり、いろいろな戦いが繰り広げられています。また、難しい情報については、詳しい人に細かいところまで分かりやすく解説してほしいです」「サッカー専門の番組というと、以前は『S☆1 スパサカ』と『やべっちF.C.』がありましたが、現在、全国ネットでは『やべっちF.C.』のみです。CSやBSでJリーグ専門の番組はありますが、Jリーグは地域に根ざすことが目標なので、やはり地上波で放送してもらいたいという願いがあります」など、地域の中高生を含めて5人から提案が寄せられた。
一方、女子からは「政治・経済・国際・社会」のことをもっと知りたい、分かりやすく解説してくれる番組が見たい、作りたいという意見が7人から寄せられた。
「私は、政治・経済・国際・社会・科学文化・スポーツ・芸能など、さまざまな分野のことを知りたいです。また、政治・経済・国際などの情報は難しく複雑なので、フリップや図表を使って基本から解説してほしいです」
「私は家族みんなが集う時間帯に『ダイジョウブ!ニッポン』という情報番組があったら…と考えました。直近の一週間の外交・事件・事故・政治・経済について小学生や政治経済に興味のない若者や主婦でも簡単に分かるような内容がいいと思います。今は教育・就職・税金・年金・老後…いろいろな問題が多すぎて先行きが見えず、これからニッポンはどうなっていくのだろうと日本中の人々が不安に思っているのではないでしょうか。ですから見終わった後に、ニッポンに生まれてよかった、これからもみんなで助け合って暮らしやすいニッポンにしていこうと感じられるような気持ちにさせてくれる番組を期待します」。
また、5分のミニ番組の提案も寄せられた。「私が考えたのは午後8時55分から9時まで5分間の『9時ちょっと前NEWS』です。9時から始まるドラマの前に、その日に起こった政治、経済、社会などさまざまなジャンルのニュースを1分間にまとめて放送する。次に、その中でも目立ったものを1つ選んで図などを使って2分半くらいで解説します。そのとき、内容、原因、結論、プラス(+)というように、4つの観点から見ていきます。プラス(+)とは、その問題についてのもう一つの豆知識みたいなものです。5分間しかないため、ワサワサするかも知れないけれど、今までになかったような番組を作り、興味を広げることで、ニュースが広まっていくと思います」
「私が考えたのは”日本に住んでいる”という条件で無作為に人選し、その人の日常をプロのスタッフではなくて、その人もしくは家族や友人などの素人が撮影する『自由なドキュメンタリー』を考えました。もちろん編集はプロの人にお願いします。放送は多くの人に見てもらえるようにゴールデンタイムの人気番組の合間の5分程度のミニ番組がいいと思います」。
そのほかに寄せられた企画。「僕の企画は『どこへ行く?僕たちの修学旅行』という2時間の特別番組です。僕の高校では生徒の有志が集まって数種類の修学旅行の企画をまず立て、最終的に3種類のコースの修学旅行を決定します。毎年行くから今年もここ、という修学旅行が多い中で、生徒が自主的に資料を調べたりしてコースを決定するのは楽しいものです。そこで、全国の高校生に旅行先の企画を立てて実際に旅行してもらい、その様子をドキュメンタリー形式の番組として放送する。地デジのデータ放送を利用して「最優秀賞」「ハプニング賞」など、視聴者が投票すれば面白い番組になると思います。番組を作る費用も、旅行自体は参加する生徒が支払うので同行する撮影スタッフと司会の費用がかかるくらいです」
今回目立ったのは解説者の起用についての提案で、池上彰さんをという意見が7件、そのほか、小倉智昭さん、宮根誠司さん、村尾信尚さん、青山和弘さんという名前もあがっていた。
なお、今月は委員による「キラ★報告」は選ばす、NHKを含む在京民放各局の「報道・情報・スポーツ・ドキュメンタリー番組」の現場の方に中高生の企画を読んでもらい、ご意見・ご感想を寄せてもらう。

【委員の所感】

  • 自分たちの体験に基づいた提案、例えば「自分たちで体験する修学旅行」の企画など、今の中高生たちが何を考えているかを知る手がかりになるのではと感心させられた。
  • 受験に必要な時事問題や、政治・経済・国際問題について解説してほしいという意見など、知識欲が旺盛な様子もよくうかがえた。また、それを5分~10分程度のミニ番組で伝えてほしいという提案などは、実現可能な企画だと感じた。
  • 『週刊こどもニュース』がなくなるようだが、子どもたちだけが見る「ニュース・報道番組」というのはなかなか難しいものだと思う。ただし、子どもの目の高さ(目線)で作る番組というものもあってもよいのではないか、子どもたちの”本当の生活”を知るドキュメンタリーも大切ではないかと考えさせられた。
  • 情報が氾濫していたり国際情勢が複雑になっていたりして、中高生たちが理解しやすい解説を求めていることがよく分かったが、解説者としての”池上彰現象”には驚かされた。また、「ネットカフェなどの同時ドキュメンタリー」の企画など、自分たちが制作にかかわりたいという要望が強いこともよく分かった。

委員長コメント一覧