放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会 議事概要

第42回

第42回 – 2010年8月

参議院選挙をめぐって放送の公平・公正性に疑念が持たれた4つの番組

5カ月間で3回のお詫び放送をしたTBSの『がっちりアカデミー!!』…など

第42回放送倫理検証委員会は10月8日に開催された。放送の公平・公正性に疑念が持たれた参議院選挙に関する4番組(2つの報道番組と2つの情報バラエティー番組)については、当該4局に対して実施したヒアリングの報告と、担当委員が作成した決定文案の審議を行った。その結果、決定文の方向性が固まったので、次回の委員会までに修正案を作成し、再度審議することにした。
5ヶ月の間にお詫び、訂正放送を3回繰り返したTBS『がっちりアカデミー!!』については、当該局から提出された再発防止の取り組みを検討した結果、それを了承して討議を終えることにした。
「在阪局・BPO 検証委 意見交換会」については、議論の材料にするために在阪局に依頼したアンケート結果を集約して委員に配布するとともに、テーマや進行方法について、委員と事務局が意見を交わした。
事務局からは、8月25日に行われた総務省のフォーラムに、BPOの活動内容を正しく理解してもらうための補足説明書を提出したことを報告した。

議事の詳細

日時
2010年10月 8日(金) 午後5時~7時50分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
川端委員長、小町谷代行、吉岡代行、石井委員、香山委員、重松委員、立花委員、服部委員、水島委員

参議院選挙をめぐって放送の公平・公正性に疑念が持たれた4つの番組

7月11日に行われた参議院選挙に関連して、2つのニュース番組と2つの情報バラエティー番組は、放送の公平・公正性に疑念が持たれたため、前回審議入りした。この事案について、担当委員が9月下旬、当該4放送局に対するヒアリングを実施した上で作成した決定文案を中心に審議を行った。
審議の対象になったのは、以下の4番組である。

  • 長野朝日放送『abnステーション』(6月22日放送)
  • 信越放送『SBCニュースワイド』(7月8日放送)
  • TBS『関口宏の東京フレンドパークII』(6月28日放送)
  • BSジャパン『絶景に感動! 思わず一句 初夏ぶらり旅』(7月11日放送)

上記4番組は、公平・公正性に関する疑念を生じさせる程度が相当異なり、参議院比例代表選挙の趣旨を正しく理解せずに制作した結果、公平・公正性に重大な疑問を生じさせているものから、単純な過失と見られるものまでバラツキがある。またヒアリングの結果、問題の認識や受け止め方にも局間で差異があることが判明した。
いずれにせよ、民主主義の根幹を成す選挙に関わる放送は十分に慎重でなければならない。当委員会は、今年5月の第38回委員会でも、『行列のできる法律相談所』(日本テレビ)で選挙の事前運動と受け取られかねない放送が行われた事案を討議した。この事案は審議入りこそしなかったものの、参議院選挙を間近に控えていることもあり、委員会は「BPO報告」に詳しく記載して全放送局に注意喚起を求めた。
にもかかわらず、その意図が放送現場に届かなかったという自省も込めて、当委員会は今回の審議事案の決定文で、改めて全ての放送局に注意を喚起して、公平・公正性に対するきめ細かな配慮や、再発を防ぐための目配りを、強く求めることにした。
なお、次回の委員会までに、担当委員によって修正案が作成される。

5カ月間で3回のお詫び放送をしたTBSの『がっちりアカデミー!!』

この番組は既報のように、5カ月間で事実に反する説明や不適正な編集など3回のミスがあり、そのたびにお詫び放送をしている。委員会は前回 の討議で、番組制作過程におけるチェック方法に問題があると判断し、どのような対策を講じて実施したかについて報告を求めた。
当該局からは「この問題ではA弁護士のアドバイスを受けた、B協会やC役所に確認した」など、委員会が指摘した後の放送について、詳細かつ具体的なチェック内容を記した報告書が提出された。その後はミスが出ておらず、委員会はこのままの状態が継続することを期待して、当該局の対応を了承し、討議を終えることにした。

在阪局と検証委員会との意見交換会の開催

10月22日(金)に大阪の読売テレビで開催することになった「在阪局・BPO検証委 意見交換会」での議論の材料とするため、在阪各局に対し実施したアンケート結果を集約し、各委員に配付した。会合のテーマを3つに絞ることや進行方法などについて、委員と事務局が意見を交わした。

■在阪局との意見交換会開く 検証委初の試みに11局84人参加

「在阪局・BPO検証委 意見交換会」が10月22日、読売テレビの1階ホールで開かれ、予定の3時間を超えて意見が交わされた。
開催に当たっては、在阪局以外にも、関西圏の局に案内を出した結果、制作現場で中核的な役割を担っているデスクやプロデューサーを中心に11局84人の参加があった。
委員会側からは、川端委員長、吉岡委員長代行をはじめ、重松、立花、服部、水島委員のあわせて6名が参加した(事務局除く)。
意見交換会は、双方が率直な意見を述べることにより、相互の理解を深めるという趣旨から、非公開とした。開催にあたり在阪局にアンケートを行い、100通近い回答の結果に基づき、次の3つのテーマを設定することにした。

  • 放送局と委員会の距離 ~検証委員会は放送局より偉いのか?~
  • 委員会の思いと現場の言い分 ~委員会決定は現場に届いているのか?~
  • 放送局に明日はあるのか ~表現の自由を守るために~

会は、各テーマの合間に各委員からの5分コメントをはさんで進行された。
テーマ2の意見交換では予定時間をオーバーするほど活発な発言があった。最後に川端委員長のまとめのコメントがあり、約15分押しで閉会となった。
意見交換会に引き続いて、各局の経営者の方々も参加して懇親会が行われた。そこでは「3時間はあっという間に過ぎ、話し足りなかった」「画面や活字でしか接する機会がない委員から、生で話が聞けたことは有意義だった」といった在阪局からの声が聞かれた。
検証委員会と東京以外の放送局との意見交換会の開催は、今回が初めての試みであったが、在阪各局の熱意と協力によって会は活況を呈することとなった。委員会としては、今後も年に一度くらいの割合で、このような会を各地で開催する予定である。

以上