放送人権委員会

放送人権委員会 ニュース・トピックス

2012年12月19日

審理要請案件「大阪市長選関連報道への申立て」審理入り決定

放送人権委員会は12月18日の第192回委員会で、上記申立てについて審理入りを決めた。

対象となった番組は、朝日放送が本年2月6日に放送した『ABCニュース』(午前11時台)。2011年11月の大阪市長選挙において、市交通局の労働組合が友人・知人紹介カードの回収リストを作成し、その中で「現職の平松市長の支援に協力しなければ不利益があると職員を脅すよう」指示していた疑いが独自取材で明らかになったと報道した。大阪維新の会の市議会議員に持ち込まれた内部告発に基づくスクープ報道だったが、約1か月後、市当局の調査により、この回収リストが内部告発者自身による捏造だったことが判明した。
この報道に対し、団体としての大阪交通労組と組合員が連名で申し立てた。申立書において申立人は、「報道は組合が当該リストに関与していた疑いを不当に強調し、組合の社会的信用と名誉を大きく傷つけた。申立人組合員らも悪辣で反社会的な存在とされ、人格否定の罵詈雑言を受けた」等とし、朝日放送にどのような裏付け取材をしたのかを問うとともに謝罪と訂正放送を求めている。
これに対し朝日放送は、「当該回収リストは、大阪市政への調査権を持つ大阪維新の会の市議が、職員証による身元確認を経た内部告発者から入手したものだ。このリストの存在そのものが、国民の知る権利に応える高いニュース性を持つと判断し報道した。弊社同様、多くの報道機関が当日中に報じている。弊社はその後、リストが内部告発者による捏造だったと判明したこと等についても順次、報道している」等と反論している。
委員会では、双方から提出された文書と資料、及び番組同録DVD等をもとに検討した結果、本件団体からの申立ては委員会運営規則第5条1.(6)に該当し、要件を充たしているとして審理入りすることを決めた。
また、組合員個人からの申立てについても団体としての申立てを審理する一環で審理の対象に含めることとなった。

次回委員会以降、実質審理を行う。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を充たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。