視聴者からのご意見

2010年9月に視聴者から寄せられた意見

2010年9月に視聴者から寄せられた意見

尖閣諸島沖での中国漁船と海上保安庁巡視艇の衝突、船長の逮捕と突然の釈放。中国の繰り出す強硬姿勢に、日本外交の弱腰を指摘する意見や、報道のあり方についての批判などが多く寄せられた。秋の改編がらみでは、スペシャル番組に関しての意見があった。

9月に電話・FAX・郵便・EメールでBPOに寄せられた意見は1,353件で、8月と比較して110件減少した。意見のアクセス方法の割合は、Eメール63%、電話33%、FAX3%、手紙ほか2%。
男女別では男性74%、女性22%、不明4%。
世代別では30歳代30%、40歳代23%、20歳代15%、50歳代15%、60歳以上13%、10歳代4%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。9月の通知数は545件[41社]であった。
このほか放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、36件を会員社に送信している。

意見概要

人権等に関する苦情

9月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・・・ 4件
    (個人又は直接の関係人からの要請)

番組全般にわたる意見

9月の視聴者意見は、内外のニュースに反応した報道関連の意見が通常より多かった。民主党代表選で菅首相が小沢一郎氏を破り、菅改造内閣がスタートしたが、その出鼻をくじくかのように問題が相次いだ。尖閣諸島沖での中国漁船と海上保安庁巡視艇の衝突、船長の逮捕と突然の釈放。中国の繰り出す強硬姿勢に、日本外交の弱腰を指摘する意見や、報道のあり方についての批判などが多く寄せられた。
障害者団体を詐称する「凛の会」をめぐる文書偽造事件で、厚生労働省元局長に無罪判決が出たが、主任検事が証拠のフロッピーディスクの内容を改ざんしていたことが明るみに出て、主任検事のほか上司の特捜部幹部2人も逮捕されるなど、検察の信頼を大きく揺るがすこととなった。視聴者からは併せて報道の責任を問う声も多かった。
元俳優の保護責任者遺棄致死容疑の判決報道については、「あまりにも赤裸々に表現しすぎだ」「そこまであからさまにする必要があるのか」などと、裁判の詳細を再現するシーンを疑問視する意見があった。
秋の改編がらみでは、スペシャル番組がだらだらと長い。お笑い芸人の面白くもない話を、どの放送局もやりすぎだとの声や、バラエティー番組で、ヒグマとタレントを闘わせたりしているが、ひとつ間違ったら生命にかかわることだなどの批判があった。
地デジ化促進のための告知スーパーの「常時表示」を今月から各地で開始したことで、アナログ受信の視聴者から抗議の意見が急増した。
番組出演者に関する意見は「不適切な発言」で37件、「不適格な出演者」で49件あった。
ラジオに関する意見は34件、CMに関する意見は63件あった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は108件で、前月より微増した。今月も、バラエティー番組を中心に低俗・モラルに反するとの意見が44件と最も多く寄せられた。特定の番組への集中はみられず、全体的に分散傾向にあるが、複数の子ども向け番組への批判意見が若干目立った。次いで、性的表現に関する意見が23件寄せられたが、バラエティー、報道、ラジオ番組など対象番組は多岐にわたった。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 尖閣諸島沖での中国の漁船船長逮捕、釈放問題は、日本の領土に関する中国による侵略であり、きわめて重大な問題である。それにもかかわらず、放送局が特番を組むわけでもなく、バラエティー番組を垂れ流す姿勢にはあきれる。ことの重大性を理解していないのか、それとも、中国からの圧力があって放送しないのか分からないが、国民が一番関心を寄せている問題なのだから、放送局はオピニオンリーダーとして、この問題をすばやく取り上げて国民に情報を提供し、積極的にアピールするべきではないか。
  • 今回の領海侵犯事件の報道で、領海侵犯をまるで領土侵犯として報道している。領土問題と領海問題は明らかに異なる。領海を考える時は、大陸棚問題も関係してくる。日中国交回復時、田中・周恩来の両首脳間で、「尖閣問題は避ける」ことを双方が暗黙のうちに了解してきた。放送局はこの事に全く触れずに、領土や領海の違いを区別せず報道している。マスコミの皆さんが歴史の事実や言葉の意味を考えもせず、国民を扇動するような状態に危機感を覚える。
  • 厚生労働省元局長の文書偽造事件の裁判で無罪判決が出たが、検察の意見を一方的に信じ、情報を垂れ流したマスコミの責任をどう考えるのか。元局長の人権はどうなるのか。検察という権力とマスコミという権力が双方から一人の人間をいじめたといっても過言ではない。偏見を世論に植え付けることはやめていただきたい。マスコミ各社は自己批判できるくらいの度量をもつべきだ。自らの身を削り、地を這うような取材で情報を伝えることを忘れた結果であろうか。
  • 元俳優の薬物に関する事件の報道について、各局の報道の仕方は明らかに問題がある。被害者女性との性描写を必要以上に強調しており、興味本位の視点だ。遺族の気持ちを考えると痛ましくて見ていられない。性交渉を何回持ったなどということを報道する必要があるのか。性描写をいたずらに強調しすぎだ。当該事件は保護責任者遺棄致死が争点だ。有名人初の裁判員裁判という旗印のもとに面白く報道しているだけじゃないだろうか。
  • チリの鉱山落盤事故の報道で、地下に閉じ込められた作業員らの様子が毎日のように映し出されている。元気そうに見えても、実際には彼らは想像を超える精神的・身体的な苦しみを味わっていると思う。そんな様子をまるで「ショー」のように茶の間で見られることに強い違和感を持つ。今後、状況がますます過酷になれば、配信される映像もそのまま放送出来ないようなものが出てくるかと思う。間違っても「地球の裏側の惨事」が我々の「娯楽」にならないよう、報道の仕方に配慮してほしい。
  • チリの鉱山落盤事故で地下に閉じ込められた作業員達の様子が連日伝えられている。今朝のテレビ番組で、スポーツ紙に載った関連記事をそのまま紹介していた。それによると、作業員のうちの一人の派手な女性関係」を具体的に説明する内容だったそうだ。生死の境目にいる作業員を励ますどころか女性関係を暴いて追いつめる外国メディアにもあきれるが、無責任にそれを垂れ流す日本の放送局も放送局だ。
  • 民主党代表選最中のこの時期、本人に確認もしないで、候補者がツイッターをはじめたということを報道した。しかしそのツイッターは偽者であることがわかった。マスコミのモラルの低下だ。事実を確認もせず、自分たちの都合のいいように報道するようになってしまったマスコミ。謝罪すればすむ問題ではない。
  • 朝からワイドショーで「民主党代表選挙」を取り上げているがどの番組も偏りすぎである。口では「政策で戦ってもらいたい」と言いながら、両氏が政策を論じている場面は短くカットし、コメンテーターも司会者もほとんど触れていない。大切な問題をうわべだけの話で済ませて、”バトル”としての面白さだけを追求しているように見える。民主党の代表を選ぶ選挙であっても、日本の総理大臣を選ぶ選挙でもある。公平・公正な放送ができないのであれば、余計な取り上げ方はするべきではない。

【番組全般・その他】

  • 最近のクイズ番組は、視聴者が楽しめない。レベルの高いクイズも、難関高校の生徒や特定の高学歴芸能人など知識のある者が能力を自慢しているだけで、視聴者が入る余地がない。昔は視聴者が一緒になって考え楽しんだものだが、今の番組は知識自慢や早押し競争ばかりで、クイズではなく回答者を「凄い」と絶賛するだけになっている。中には問題を、たった数文字読み上げただけで回答者がすばやく答えてしまうパターンもあり、見ている側としては興ざめする。クイズは本来、学歴や知識量に関係なく皆が楽しめるものではないだろうか。
  • “世界各地から3千歩でローマに向かう”という企画で、坂道や駅のホームをキャスター付きのスーツケースに乗って滑ったり、エスカレーターの手すりを滑り降りるなど、周囲に迷惑で危険な場面が多く見られた。公共のマナーをあまりにも軽んじており、日本人として恥ずかしい。周囲の人が呆れ顔で見る様子も放送するなど、それらの行為を面白おかしく演出している点も不快である。ゴール地点のトレヴィの泉は非常に混雑しており、数十メートルも離れた場所からコインを投げることは危険である。バラエティー番組でも公共の場で撮影する以上は、マナーを守ることが当然だ。
  • 9月から10月にかけての民放のゴールデンタイムの長時間特番はなんとかならないか。3~4時間以上の特番が多いが、その影響でスポーツニュースや深夜の番組が繰り下げになる日があり困る。テレビ局に金やアイデアがないのか知らないが、内容が薄い。しかも同じ芸能人を使うことは如何なものか。最近は主に番組改編のある春と秋は勿論、番組改編ではない時でも長時間の特番があり、うんざりする。
  • タレントを熊と闘わせ、体を噛まれたにもかかわらず、熊に体や顔を舐めさせていた。それを笑いにしていることに憤りを覚えた。ひとつ間違ったら命にかかわることだ。人の命は大切にしてもらいたい。子供の教育上も問題がある。テレビ局に問い合せたところ、「飼育している熊だから安全だ」という答えだった。しかしどう見ても安全だとは思えない。
  • 芸能界では過去に薬物使用で罪を犯しても、時間が経てば平気でテレビに出演したりしている。薬物汚染の根本にメスを入れるなら、今後、薬物使用した芸能人やスポーツ選手などは一切テレビには出演させない取り決めなどが必要だ。「罪を償ったのだから良いだろう」との認識のようだが、一般人は罪を犯したら二度と元の職場には戻れない。薬をやればテレビには出演できなくなるという強い危機意識を持たせなければいけない。
  • バス釣りを特集していた。スポーツフィッシングではリリースすることが基本と伝えており、実際に堂々とブラックバスをリリースしていたことには驚いた。確かに外来生物法ではリリース禁止とはなっていないが、ブラックバスは外来魚であり、釣り上げた場合は持ち帰って処分するのがマナーである。一部の県では条例でリリース自体を禁止している中、なぜこのような放送をしたのか疑問に思う。
  • 出演者や放送局が「告知」と称して、出演者のイベントや同局の他番組などの宣伝を行っているが、貴重な放送時間を勝手に私物化しているのではないのか。バラエティー番組などでは日常茶飯事、ひどい場合にはニュース番組でもこういったことが見受けられる。
  • 最近、過去の作品の再放送が目に付く。都会のテレビ局では、放送を開始したばかりにもかかわらず新ドラマの”早出し再放送”までするようになった。私はこの手法に憤りを感じる。やめてほしい。
  • 先日から始まったアナログ放送終了告知の「常時表示」が目障りだ。局によっては文字がチラチラするところもあって番組に集中できない。物事を伝えるプロのやることとは思えない。プロなら視聴者に不快感を与えない上手な伝え方があるのではないか。表示は各CM明け60秒だけで十分だ。
  • 「この後は大物ゲストが登場!」という期待させるナレーションと映像にCM明けを待っていると、それは来週の予告にすぎずガッカリさせられることがよくある。以前は、このような視聴者をだます手法はなかったはずだが、最近では各局がそろって取り入れているようだ。どんなに素晴らしい内容の番組も台無しになってしまうと思うが、そうまでして視聴率が欲しいのだろうか。放送局に不信感が募る。
  • 番組名は忘れたが、深夜ドラマや時代劇を見ていると、どこの局もBGMの音が大き過ぎて、肝心の役者の台詞が聞き取りにくい。加齢のせいかもしれないが、高齢者にも優しい放送を心がけてほしい。

【ラジオ】

  • 視聴者と電話で話すコーナーがある。その際、視聴者は「季節の食べ物」として地域の名産品を送っているらしく「××を送りました」「ありがとう、美味しかったです」との会話が多い。ファンとして品物を送ろうと自由だが、わざわざ出演者が番組内で礼を言う必要などない。芸能人特権を主張して物を請求しているように感じられ、不愉快極まりない。

【CM】

  • 高速道路全面工事の告知CMに、なぜ子供タレントを起用するのか。可愛いからか。逆効果だと思う。大切な説明部分がもぞもぞしていて聞き取れない。子供を使わずにきちんとした告知が見たい。間違っていないか。
  • 最近のCMはペットの出演があまりにも多過ぎて、何のCMなのか分からないものばかりだ。ペットが苦手な人もいる。その事を考慮しないで、ペットを出演させる演出は不快だ。ペットの出演する演出は自重すべきではないか。
  • 動脈硬化を警告するCMが気味悪い。特に音楽が不安を掻き立てる。警告する目的なのだろうが、逆に企業のイメージダウンにつながると思う。朝からあんな音楽を流されるのは不快だ。周りの人間に聞いてみても気味が悪いとの意見が圧倒的だ。早めに中止してほしい。

青少年に関する意見

【低俗、モラルに反する】

  • 子ども向け番組だが、企業の宣伝のような内容になっている。CDランキングなどもやり、なぜかジャニーズのタレントばかり宣伝している。学校への取材VTRなどはその合間に申し訳程度に放送されている。こんな番組に公立の小学校が取材に応じるのは問題ではないか?子どもたちが宣伝目的に利用されているように見えてしまう。
  • 子ども向け番組だが、あるコーナーでお笑い芸人が10代の女子モデルに対して、目をつむらせた上で触るという痴漢的なことをした。大人の芸人が「10代の子に触りたい」という発言も気持ち悪い。演出であっても過剰で、この番組の視聴者層から判断しても適切なものではないと思う。このような常識をわきまえない芸人はテレビに出さないほうがいい。
  • 近年、報道番組において字幕の誤字や脱字が多く見苦しい。間違えても、後でキャスターが事務的に謝罪や訂正をするだけになっている。テレビ局は間違いの影響力を考えたことがあるのか。特に知識が乏しい子どもなどはそれが間違いと気づくことなく覚えてしまう。人為的ミスの発生を極力抑止するべきだ。
  • パーソナリティの喋り方が人を小ばかにしたような感じで不愉快だ。内容も「聴取者の投稿の中で、どれがよりばかばかしいか」と競うようなもので、子どもたちに聞かせたくない。

【性的表現に関する意見】

  • 最近子どもが夕方のニュースを見るようになった。良い傾向だが、ここ数日芸能人の薬物事件が大きく取り上げられており、露骨な性表現に親として困惑している。子どもたちも見る時間なのだから、もう少し表現を工夫できないものか。あるいは親がチャンネルを替えるなどして対処すべきなのだろうか。
  • バラエティー番組の特番で、子どもも見る時間帯にもかかわらず女性のお尻のアップが放送されていた。セクハラや性暴力を連想させる行為、卑猥な表現もコント内で行われていた。このような行為をお笑いにするということは、笑いにさえすればセクハラは許されるという間違った風潮を世間や子どもに浸透させかねない。
  • AV女優が出演し、下着丸見えの姿でカルタ取りをしていた。また、お笑い芸人らはパンツ一枚でAV女優の股間に鼻をつけるなどしていた。読み上げたカルタの内容も卑猥で、放送に値しない低俗な番組だった。

【いじめに関する意見】

  • バラエティー番組などで「デブ」「ブス」「チビ」「ハゲ」など、肉体的欠陥を指摘し、笑い物にしている場面を目にする。お笑いタレントはそれを「売り」や「個性」にできるが、一般人は傷つくし障害者の場合もある。いじめの原因や差別、偏見の助長につながる。やめさせてほしい。

【差別に関する意見】

  • テレビでの身体障害者への侮蔑や差別のような表現は最近はだいぶ減ったと思うが、この子ども向け番組には差別にとられかねないキャラクターが出演している。まるで障害者をからかったような感じでとても不快だった。差別につながるような放送を平気でしている神経がわからない。

【言葉に関する意見】

  • あるタレントのコーナーで、「くそばばあ」「くたばりぞこない」「うるせーなー、このガキ」など、しゃれを超えた言葉を連発しており不愉快である。特に「うるせーなー、このガキ」と言われた子どもは冗談と取らず、トラウマを与える言葉である。将来まで影響を与える恐れがある。このコーナーを止めさせるべきだ。

【表現・演出に関する意見】

  • 動物が歩いたり食べ物を食べる場面などに、いちいち変な効果音がつけられていて大変耳障りだ。動物のあらゆる動きにしつこいくらい音が付けられている。子を持つ母親から聞いたが、動物はあんな音がするものだと子どもが思い込んでおり、動物園へ連れて行くと「音がしない」と混乱状態になり説明に追われるそうだ。

【非科学的な事柄に関する意見】

  • パーソナリティーが「僕はA型、△△はO型。A型は細かくてO型はおおざっぱな性格をしている」と断言していた。さらにゲストの血液型に関しても同様の発言をしていた。血液型からの性格判断は科学的根拠がないものであり、それを公共の電波で発言することは人権侵害に当たる。公共の電波の影響力をもっとまじめに考えてほしい。BPOから血液型に関する意見が出されているにもかかわらず、放送局は全く変わっていない。

【視聴者意見への反論・同意】

  • 今のバラエティーはくだらなすぎる。視聴者の苦情に臆病になり制作者が萎縮しているのではないか。「子どものため」と言うが、子どもに見せないようにすればいいだけで、深夜番組にまでクレームを言うことはナンセンスだ。見せたくないと思うということは親自身は見ているということだ。親のせいで今のバラエティー全般がつまらなくなってきていることは否めない。
  • 7月の意見で「全てを視聴者に任せるのは危険だ」とあったがその通りだ。例えば子どもに殺人シーンを見せたくなければテレビを消せばよい。しかし、子どもが友人宅でそうした番組を見たとして、相手の親に「こういう番組を見せないようにしてほしい」と言えるか?放送の影響力は非常に大きい。だからこそ放送局は自ら襟を正し、公序良俗を守る社会的責任を負っている。責任を放棄して表現の自由を振りかざすなら、仮に規制を受けても反対する資格はない。

【CMに関する意見】

  • 携帯ゲームサイトのCMが多過ぎる。数社あるので違いがわからないし、どれもこれもゲーム内容を前に出すばかりだが、実際はそういったサイトのゲーム以外のコンテンツを使って性被害に遭う子どもが急増している。悪い点をわざわざ宣伝することはないと思うが、青少年に有害ではないか。