2012年11月に視聴者から寄せられた意見
選挙報道に関するものが増えた。ワイドショーなど情報系番組についての偏向批判や、キャスター、出演者の発言に関する意見が多数。信用金庫の立てこもり事件では、現場からの中継報道に、人質の安全への配慮が足りないとの批判も。昼の連続ドラマで過激な性的シーンが多いとして、放送時間を配慮するべきだとの声もあった。
2012年11月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,596件で、先月と比較して303件減った。
意見のアクセス方法の割合は、メール70%、電話26%、FAX2%、手紙ほか2%。
男女別は男性62%、女性34%、不明4%で、世代別では40歳代31%、30歳代27%、20歳代13%、50歳代18%、60歳以上10%、10歳代1%の順になっている。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。11月の通知数は779件【30局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、22件を会員社に送信した。
意見概要
番組全般にわたる意見
11月の視聴者意見は1,596件と先月より303件減った。
総選挙に向けて走り出した。視聴者からの意見も、選挙報道に関するものが増えた。ワイドショーなど情報系番組についての偏向批判や、キャスター、出演者の発言に関するものが多い。文字の間違いの多さや、放送事故などへの対応のまずさを指摘する声もあった。
信用金庫の立てこもり事件では、現場からの中継報道に、人質の安全への配慮が足りないとの批判があった。
バラエティー番組では、食べ物を粗末にすることや出演者の食べ方が汚いなどの批判が多かった。ドラマでは、昼の連続ドラマで過激な性的シーンが多いとして、放送時間を配慮するべきだとの声もあった。
ラジオに関しては30件、CMに関する意見は33件あった。
青少年に関する意見
放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は106件で、前月より10件減少した。
今月は、性的表現に関する意見が33件、次いで表現・演出に関する意見が12件、いじめ・虐待に関する意見が11件と続いた。
バラエティーの演出に関して、罰ゲームの内容や、いわゆる"いじり""ふざけ"などの行為および言葉について"いじめを想起させる"との意見のほか、番組内での飲酒に関する意見があった。
意見抜粋
番組全般
【取材・報道のあり方】
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ワイドショーなど情報番組での偏向が激しい。番組中、○○党も駄目だが△△党も駄目と断定するものがあまりにも多い。素直に聞いている人は影響を受けるだろう。誘導し決めつけることは一種の洗脳ではないか。「今のような状況になったのは有権者のせい」とも言っていた。正論だが、それをマスコミが言う資格はない。正しい選択をするためには、できる限り多角的な情報が必要だが、マスコミは恣意的で偏った情報しか流さない。
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各局とも「ニュース番組」と位置づけながら"ワイドショー化"している番組が多すぎる。しかも、公平であるべきキャスターが個人的な意見を押し通そうとする姿には疑問を感じる。「ニュース番組」として、公平・公正であるべきだ。
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情報番組にコメンテーターとして出演する人物に、芸能人や芸人を多用し、政治などについて意見を言わせる意味がわからない。テレビ局の意向に沿ったことしか言わない芸能人の意見を、まるで"世論"であるかのように放送している。いつも反対意見の人はおらず、公平な放送とは思えない。せめて、専門的知識のある人を出すべきだ。
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田中文科相の大学認可のニュースについて、どの局も大臣の個人的資質のみにスポットを当てている。あまりにも低レベルで、公平性を欠く。そもそも、大臣の認可前に事務レベルで進め、巨額の投資が終わった後にお飾りの大臣が判子を押すだけというシステムに問題があるのではないか。この点をどの局も触れていない。テレビ局もお上の意向をくんで偏向していると国民に思われても仕方がない。
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豊川市の信金立てこもり事件の現場を中継していたが、銀行裏だと思われる場所に待機している警察(映像が鮮明でないので断定しかねるがSATのようだった)を望遠で撮影していた。これはやってはいけないことではないか。犯人が情報収集をしていないとでも思っているのだろうか。人質の命を軽視し、犯人逮捕を妨害しているとしか思えない。リスクを考えたら許されない行為だ。
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情報番組において、氏名や数値の間違い、誤字脱字が目立つように思う。後日に訂正とお詫びをしているが、放送前に原稿やテロップを精査するシステムが甘いのではないか。氏名を間違えるなどもってのほかだ。些細なことであっても、放送に携わる者にとって、恥ずべきことだ。その感覚が尼崎変死事件の写真の件など、大きな誤報に繋がるのではないか。スピードや話題性よりも、正確さを大切にしてほしい。
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朝のワイドショーだが、時刻を"赤"で表示しているテレビ局が増えた。白のテレビ局は少数だ。この番組ではやたらと"赤文字"を使っていて見づらい。そもそもテロップや文字表示は目の不自由な人の為にあるものだという認識を持っているが、最近は色が派手になっている。なぜ"赤"を使っているのか聞きたくてテレビ局に電話をしたが、答えてもらえなかった。
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台湾電力が少数民族の住む孤島に原発由来の低レベル廃棄物の保管場を作ったことについて伝えていた。日本の研究者の調査で、ずさんな保管状態が明らかになり、万一漏れればそれは潮流に乗って日本にも流れてくる恐れがあることもわかり興味深かった。原発で儲ける人たちだけが、「原発は安全ですよ」と言っているように思う。メディアは今後ともこのような現実を伝え、原発を使い続けていくべきなのかどうか視聴者に問題提起してもらいたい。
【番組全般・その他】
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1ヵ月を1万円で生活する企画で、女性タレントが5日間で逃げ出した。東日本大震災の被災地では今も大勢の人が不自由な生活を強いられている。昨年の台風で被災し、いまだに避難所生活をしている人もいる。そういった人々に娯楽を提供する使命を負っているテレビ番組が、電気・ガス・水道完備のマンションでの生活を5日間で逃げ出すという茶番を放送する。逃げ出した女性タレントは社会人としての自覚がない。仕事ができることへの感謝が微塵も感じられない。このタレントを起用したテレビ局にも非があると思う。
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俗に昼ドラと言われるドラマは人間関係がドロドロしているイメージがあるが、このドラマは初回から人間関係の描写よりも露骨な性行為の描写が多く、見ていてとても不愉快になった。俳優の演技が良くてもそのようなシーンばかりが印象に残ってしまう。深夜番組ならともかく昼なので子どもも見ることもあるので、ドラマの中止、もしくは内容を見直す必要があるのではないか。
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「番組内容が過激すぎる」と一部の視聴者から抗議が来て、内容を変更したという記事を見た。しかし、そんなに騒ぐような内容でもないので、このまま制作者の意図通りに放送していただけるようお願いしたい。抗議にいちいち対応していたら表現の自由が損なわれ、まともな番組作りが出来なくなる。見る、見ないは視聴者の判断に委ねるべきだ。
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巨額横領事件を起こした公社職員の元チリ人妻を取り上げていた。彼女は無罪になったのではなく、罪に問えるだけの証拠や、二国間での法的整備がなされていなかっただけである。事実が明らかになるや直ちに帰国するなど、初めからこの種の犯罪を起こすことを意図していた悪質性がある。犯罪によって得た金銭で母国に豪邸を建設するなどして、マスコミの注目を浴びた。盗っ人猛々しいにも程がある。世間の注目を集めているからといって、面白おかしく取り上げるテレビ局の感覚が非常識である。
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「お見合い」の企画がある。地方の農家では嫁不足が深刻で、農家では結婚相手を探すにも一苦労である。「地元だと嫁になってくれる人との出会いがない」というセリフをよく聞く。嫁さがしは知人の姉妹が相手ではお互いに遠慮があるのか、違う町の出身の女性を望むことが多い。農家の1人娘も婿探しは大変だ。この番組がきっかけとなり結婚できた男性も既に数人いる。番組に出る男性の両親や兄弟などの結婚に期待する思いは視聴者にも伝わってくる。最近は都会の男女の「婚活」も話題になっているが、他の局も率先してこういった企画を行い、地方の農家の嫁不足(婿不足)の解消に一役買ってほしい。
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お笑い芸人が刺し身の船盛を無理やり食べ尽くすという企画だった。震災の傷痕も未だ癒えず、また、現下の経済情勢の中、生活保護受給世帯も増え続けているというのに、こんな低レベルな番組を放送できる神経が理解できない。常識的な感覚が麻痺しているとしか思えない。このような低俗な番組のスポンサーになっている企業の倫理観も疑われる。
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食べ物を粗末にするパフォーマンスが嫌だった。男気じゃんけんもいじめに繋がりかねない。買った物をすぐにゴミに出したということも気になった。トラの剥製も、ただ殺され捨てられたということになる。食べられないという人もいるのに、大量の食品を買ってただゴミにしているかと思うと心苦しい。お金を払っていれば何でもいいというものではない。「こんなもんいらねー」など、それを作っている人に対しての批判的な言葉も不快だった。
【ラジオ】
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キャスターとゲストの会話の中で、「やばい」の言葉が多くて、聞くに堪えない。「馬鹿笑い」も不愉快だ。最近のテレビ・ラジオ放送等マスコミで使われる言葉の汚さが、世の中の乱れやイジメに通じるものがあるのではないかと危機感を抱いている。
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食べ物や飲み物を紹介する際、口に含んだままアナウンスすることが多いが、耳障りだ。食べ物を口に入れたまま話さないことは、世界のマナーだ。ラジオなので何とかおいしさを表現したいのだろうが、聞きたくない。
【CM】
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最近、R15指定の映画の宣伝を目にするが、過激な内容が多い。未成年への視聴を制限する映画なら、テレビでCMを流すことは疑問に思う。子どもがその映画を見ないように注意喚起するなら、保護者が分かるように、R15の意味を画面上で伝えてほしい。
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ドロリッチのCMは、おかしい。若い女の子がヒップパングのショーツをはいて、トップスはおへそが見えるくらいのチビTに胸の谷間が見えるような穴を開けていやらしい。若い男性にはいいかもしれないが、女性から見ると不愉快だ。制作側は、インパクトを狙ったとかいって、罪の意識が皆無だ。いつ見ても不愉快だ。
青少年に関する意見
【性的表現に関する意見】
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タイトルからほのぼのとした心温まるドラマであろうと思っていたら、とんでもない内容だった。大人のドロドロとした性描写ばかりで、とても正視できなかった。何故こんなドラマを昼間から放送するのか。テレビにおける「表現の自由」は大切だが、この番組はそれ以前の問題だ。昼間なので、偶然青少年が目にする可能性もある。
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裸体の描写こそ露骨にならないよう配慮されていたが、このドラマの破廉恥な性描写の連続はアダルトビデオと大差なく、公共の電波に載せて発信して良い内容ではない。不快感とともに青少年への影響を危惧せざるを得ない。性行為のような秘め事は、ストーリーや演出の工夫によって慎重に扱っていただきたい。
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18歳未満の女性の出演者が男性出演者の前で性的な感情を刺激させるように衣服を脱いだり、男性出演者に尻を触らせるなど、このドラマは児童ポルノ法に触法するのではないだろうか。
【表現・演出に関する意見】
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バラエティー番組等の罰ゲームで、熱いものを食べさせたり、冷水の中に落とすなど、人の嫌がることをさせるのはやめてほしい。また、その様子を見て笑う人の気が知れない。こうした番組の影響で、いじめを見ても痛みを感じず笑っているような子どもが育つのではないかと心配だ。
【いじめ・虐待に関する意見】
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バラエティー番組の中で、お酢を無理やり飲ませたり、作ってきたクッキーを投げて壊したり、顔をテープでぐるぐる巻きにし、バリカンで髪を刈るという行為を平然とやっていた。司会の2人はそれを見て笑うだけだった。いじめを助長する内容で、子ども達の間で模倣されかねない。
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女性アナウンサーがバラエティー番組の中で、男性出演者を拳で殴ったり、熱した耳あてを相手の頭部や顔につけ、笑いを取ろうとしていた。こうした行為は、子どもへの虐待を連想させる。また、アナウンサーはそのような事件をニュースで伝えるはずであり、冗談でもしていいわけはない。
【言葉に関する意見】
- 番組内で発言をいじられたタレントが「殺すよ~」と叫ぶシーンが何度かみられた。子どもも見ている時間に不適切ではないか。笑いながらとはいえ、人の命を軽く見ている感じがした。テレビ局側も、わざわざ字幕までつけて強調していることに疑問を覚える。
【喫煙・飲酒に関する意見】
- 出演者に酒を飲ませる番組が多い。いくら芸能人とはいえ、仕事中に飲酒とはいかがなものか。子どもに「芸能人は仕事していてもお酒を飲めるのに、何で普通の人はダメなの?」と聞かれた。ゴールデンタイムのバラエティー番組は子どもも見ているので、番組内での飲酒は禁止してほしい。
【報道・情報に関する意見】
- 有名スポーツ選手の裁判について、連日、法廷内でのやり取りを非常に具体的に紹介している。性犯罪ということで、どうしても興味本位の伝え方になりがちだが、この番組は特に面白半分の表現に終始している。昼間からこのようなものを放送されては、中学生の娘がたまたま見てしまうことも考えられ、とても心配だ。