放送人権委員会

放送人権委員会 ニュース・トピックス

2012年12月5日

「大津いじめ事件報道に対する申立て」審理入り決定

BPOの放送人権委員会は、12月4日に開かれた第191回委員会において上記申立てについて審理入りすることを決めた。

番組は、フジテレビが本年7月5日と6日に放送した『スーパーニュース』。大津市の中学生いじめ事件で自殺した中学生の両親が、加害者とされる少年とその両親、及び大津市を相手に起こした損害賠償訴訟に触れ、2回目の口頭弁論を前に原告側準備書面の内容について報道した。その際、加害者とされる少年の実名部分にモザイク処理のされていない映像が放送され、少年の名前を読み取れる静止画がインターネット上に流出する事態となった。放送翌日、フジテレビは流出の事実を把握し、同日夕方の上記番組において「人権上の配慮に欠けた映像を使用した」とお詫びした。そして番組担当者らが少年と母親の代理人弁護士を訪ね、書面をもとに事実経過を説明するとともに謝罪した。しかし弁護士は世間の大きな注目を集める裁判の原告側準備書面であることや口頭弁論前の放送であったこと等を理由に、システムへの入力ミスから起きたとの説明には納得できず謝罪は受け入れられないと答えた。
その後、少年と母親を申立人とし放送によるプライバシーの侵害を訴える申立書が委員会に提出された。
申立人の主張に対してフジテレビは局の見解書面で、「人権への配慮に欠けた映像使用だった」としつつも、「氏名が放送された時間は極めて短時間であり、且つ、通常の方法では判読は不可能で、少年は特定されず、本件各放送はプライバシーの侵害には該当しない」と主張している。また、放送を録画した画像がネット上に流出したことで少年の実名が広まり誹謗中傷を加速させたという申立人の主張に対しては、「当社と全く関係のない第三者の行為の結果については、当該第三者が責任を負うべきと考える」としている。
委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理の要件を満たしているとして審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を充たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。