第162回 – 2010年6月
「上田・隣人トラブル殺人事件報道」事案の審理
「機能訓練士からの訴え」事案の審理 ……など
「上田・隣人トラブル殺人事件報道」事案の審理が行われ、起草委員会から提出された「委員会決定」案について検討した。先月の委員会で審理入りが決まった「機能訓練士からの訴え」事案の実質審理が始まった。このほか、3月に「拉致被害者家族からの訴え」事案で「委員会決定」の通知を受けたテレビ朝日より、その後の取り組みをまとめた報告書が提出された。
議事の詳細
- 日時
- 2010年 6月15 日(火)午後4時~8時20分
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 「上田・隣人トラブル殺人事件報道」事案の審理
「機能訓練士からの訴え」事案の審理
「拉致」事案でテレビ朝日から対応報告
5 月の苦情概要
その他 - 出席者
- 堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、大石委員、小山委員、坂井委員、武田委員、田中委員、山田委員
「上田・隣人トラブル殺人事件報道」事案の審理
この事案は、テレビ朝日が2008年12月23日の『報道ステーション』で放送した「特集 身近に潜む境界トラブルの悲劇・住宅地の惨劇はなぜ起きた」について、被害者の遺族が申し立てたもの。
先月の委員会で「委員会決定」の方向性が決まったのを受け、起草委員会が起草した決定案について審理した。その結果、内容に一部修正が必要との結論となり、起草委員会が修正案を起草したうえで、あらためて来月の委員会に諮ることになった。
本事案で申立人は、事実に反する放送内容によって両親に対する敬愛追慕の情や名誉を侵害されたなどとして、局に対し謝罪と訂正を求めている。
これに対し、テレビ朝日は、放送内容は虚偽ではなく名誉侵害などの不法行為はなかったと反論している。
「機能訓練士からの訴え」事案の審理
本事案は、2009年4月11日にTBSテレビが『報道特集NEXT』で放送した「車イスの少女が入学できない訳」に対し、少女が幼い頃から機能訓練を受けている機能訓練士が申し立てたもの。先月の委員会で審理入りが決定し、今月から実質審理に入った。
既に提出されている申立人からの「申立書」に加え、この日の委員会までに新たにTBSからの「答弁書」、「答弁書」に対する申立人からの「反論書」、「反論書」に対する「再答弁書」が提出され、双方の書面が出揃った。
委員会では、提出された書面と資料を基に改めて双方の主張を整理した後、申立人の主張している肖像権の侵害があったかどうか、名誉・信用の毀損についてはどうかなど本事案の主な論点について議論した。
その結果、来月の委員会で申立人および被申立人(TBS)に対するヒアリングを行い、それぞれの主張内容や事実関係について詳しく聞いたうえで、さらに議論を深めることとなった。
「拉致」事案でテレビ朝日から対応報告
「拉致被害者家族からの訴え」事案で去る3月10日、「放送倫理上問題あり」との決定を受けたテレビ朝日は6月9日、「委員会決定」後の対応と取り組みをまとめた報告書を委員会宛て提出した。(報告書全文はホームページの「委員会決定第43号」にある「当該局の対応」の項をご参照ください。)
また、同局では5月28日に坂井眞委員を講師に招き、上記決定についての社内セミナーを開催した。報道局を中心に約70人が出席し、坂井委員による「委員会決定」の説明や局側スタッフとのパネルディスカッションなど、約2時間にわたり率直で活発なやり取りが交わされた。
以上について事務局より報告し、了承された。
委員会の席上、坂井委員は「セミナーでは局の皆さんと本音の議論ができ、大変よかった」と感想を述べた。
5月の苦情概要
5月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。
- 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・・・・2件
(個人又は直接の関係人からの要請) - 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・・・・26件
(人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)
その他
次回委員会は7月20日(火)に開かれることになった。
以上