第160回 – 2010年4月
「上田・隣人トラブル殺人事件報道」事案の審理
3月の苦情概要 ……など
「上田・隣人トラブル殺人事件報道」事案の審理が行われ、来月の委員会で当事者へのヒアリングを行うことになった。
議事の詳細
- 日時
- 2010年 4 月20 日(火) 午後4時~6時15分
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 「上田・隣人トラブル殺人事件報道」事案の審理
3月の苦情概要
その他 - 出席者
- 堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、大石委員、小山委員、坂井委員、武田委員、田中委員、山田委員
「上田・隣人トラブル殺人事件報道」事案の審理
この事案は、テレビ朝日が2008年12月23日の『報道ステーション』で放送した「特集 身近に潜む境界トラブルの悲劇・住宅地の惨劇はなぜ起きた」について、被害者遺族が申し立てたもの。前回の委員会に引き続いて、審理を行った。
申立人は「両親の長年の嫌がらせが殺害の動機を形成したかのような放送内容は、事実に反する。両親の社会的評価を著しく低下させるものであり、両親に対する敬愛追慕の情を著しく侵害された。子供である申立人の名誉も侵害された」と主張し、謝罪と訂正を求めている。これに対し、テレビ朝日は「被害者と加害者の間にトラブルが存在していた。被害者の社会的評価を低下させるとしても放送内容は虚偽ではなく、申立人の両親に対する敬愛追慕の情侵害の不法行為にあたらず、また申立人の名誉侵害もない。謝罪、訂正放送が必要な事実誤認はない」と反論している。
4月の委員会では、犯行の動機などを伝えた放送内容が真実かどうか、申立人側の取材をしなかったことが適切だったかどうかを中心に意見を交わした。また、この特集は前半で事件を取り上げ、後半では境界トラブルが各地で起きているとして、その原因や解決策を伝えているが、こうした構成の仕方をめぐっても意見が出た。
次回、5月の委員会では申立人とテレビ朝日に対するヒアリングを実施し、さらに審理を重ねることになった。
3月の苦情概要
3月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。
- 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・・・・4件
(個人又は直接の関係人からの要請) - 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・・・・42件
(人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)
その他
- 事務局より以下の点について報告した。
BPO飽戸理事長は、3月29日に開かれた総務省の「今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラム」の関係者ヒアリングに出席し、BPOの理念や活動内容について説明した。また委員からの質問にも答えた。 - 次回委員会は5月18日(火)に開かれることになった。
以上