第34回 – 2010年1月
「バラエティー番組意見」のブックレット発行について
貧困ビジネスに対する岡崎市の関与疑惑を伝えたテレビ東京『週刊ニュース新書』 …など
「バラエティー番組意見」のブックレット発行について
昨年11月17日に公表した「意見」で委員会は、放送界全体がバラエティー番組に関する議論を深めることが必要であると表明したが、この「意見」を踏まえて、3月11日に民放連が主体となって、バラエティー問題をテーマにしたシンポジウムが開催されることになった。
一方、委員会は、今後、バラエティー番組に関して議論されるときの参考資料としてブックレットを発行することになり、その内容について意見交換を行った。さまざまなアイデアが出されたが、委員会の「意見」に対する新聞やテレビの報道内容や雑誌などの論評、テレビ各社のさまざまな取り組みを一冊にまとめることにした。
貧困ビジネスに対する岡崎市の関与疑惑を伝えたテレビ東京『週刊ニュース新書』
テレビ東京が昨年11月28日の『週刊ニュース新書』で、民間業者の貧困ビジネスに岡崎市が関与している疑いがあると報道した。これに対して岡崎市長が、事実確認が不十分だと抗議した事案。両者間で折衝中であるので委員会としては引き続き推移を見守ることとした。
偽札詐欺報道で違法な取材があったTBSの『報道特集NEXT』と『イブニングワイド』
昨年、TBSの『報道特集NEXT』(12月5日)と『イブニングワイド』(12月8日)で偽札詐欺事件が放送された。マイケルと称する外国人が、真っ黒に着色された紙幣(ブラックノート)に特殊な薬品をかけると色が消えてもとの1万円札に戻るので山分けしようともちかけ、日本人男性から薬品代として多額の金銭をだまし取った事件を被害者側から取材した番組である。この事案については、前回の委員会で取材を契機に犯人が国外逃亡したことを非難する視聴者意見が報告された。その後、制作過程で違法な取材が行われたことが明らかになり、TBSはそれぞれの番組で説明しお詫びした。
それによると、TBSから番組を受注した制作会社のスタッフが、マイケルのアパートに配達された郵便物をポストから抜き取って開封するという違法行為を行っていた。
委員会は審議入りすることを決め、当該局に対して事実関係の調査報告を求めることにした。
【主な委員の意見】
- 犯罪行為をしてはいけないのは当然だが、制作会社の持ち込み企画について、どこまで放送局としてチェックができるのか、責任を持つべきなのかということは難しい問題だ。
- 違法な取材について委員会が意見を言わなければ、委員会は当然批判を受ける。当該局は制作会社に詳細なヒアリングをしたうえで、委員会に対して正式に調査報告を提出すべきだ。
- 取材の過程で、「自称マイケル」の本名をつきとめた方法について当該局が制作会社からどういう説明を受け、どう納得したのかを確認する必要がある。
- 放送局に犯罪者を捕まえる義務はないが、取材中、犯人の面前でトリックを暴いたために犯人が逃亡する結果になった。そのことで視聴者が当該局に対して、事実経過を説明してほしい、という意見を寄せるのは当然だ。
- 現場はみんなギリギリなことをやっている。違法性が問われかねない取材は確かにあるが、真実を伝えることの社会的利益・公共性に比べれば小さいことだという理屈もある。アメリカの場合、「もしこれが違法だというのだったら私が責任を取る」と編集局長が名乗り出て刑務所に入った例がある。
- 番組制作を外部に委託する以上、きちんと法令を守ること、犯罪行為に及ばないようにするためのチェック体制を作っておくことが放送局の役目だと思う。要するに監督義務だ。
- BPOが「お上」のような監視機関になってはいけない。放送局の自主自律を尊重し、この問題についても、まず放送局に対策を考えてもらえばよいと思う。
連絡事項
今年のBPO年次報告会は3月25日に開催され、川端委員長がこの1年の活動報告を行うことが報告された。
以上