青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第136回

第136回 – 2012年9月

視聴者からの意見について

中高生モニターについて …など

第136回青少年委員会は、8月は休会したため、7月16日から9月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見と、9月に寄せられた中高生モニター報告と10月のテーマについて審議したほか、これからの委員会活動等について委員間で討論した。
また、委員会終了後、在京テレビキー局6社の連絡責任者と委員間で、青少年委員会活動などについて自由な意見交換を行った。

議事の詳細

日時
2012年9月25日(火) 午後4時~5時25分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

担当委員および事務局より2ヵ月間の視聴者意見の概要等の報告を受けた結果、子ども向け番組と情報番組の2番組を委員全員が視聴して討論し、審議対象とすることとなった。また、視聴者意見の多かったバラエティー番組等についても委員間で討論した。

(1)テレビ東京『ポケモンスマッシュ!』(7月22日放送)について

“ゴムパッチン”や”洗濯バサミ”による”罰ゲーム”などは人気の子ども番組だけに行うべきではないという複数の視聴者意見を受けて委員間で討論した結果、”ゴムパッチン”については2008年度に注意喚起した経緯を踏まえて、「審議対象番組とする」という結論に達し、次回委員会に制作担当者の出席を要請して意見交換することとした。

(2)RKB毎日放送『今日感テレビ』(8月20日放送)について

人気アイドルグループの5人の少女が芸能活動を辞めたことを伝えたコーナーで、5人の実名報道を行い、さらに、未確認の”ネット情報”を伝えたことに対する複数の視聴者意見を受けて委員間で討論した結果、「審議対象番組とする」という結論に達し、次回の委員会までに以下の3点について、書面での回答を要請することとした。

  • 制作現場でのコミュニケーションのあり方について
    当初、出所が明らかでない”ネット情報”には言及しないとの確認がありながら、現場リポーターに伝わらなかったことについて、その経緯と今後の対応についてご説明ください。
  • ネット情報の取り扱いについて
    “ネット情報”の取り扱いについて(すべてをダメとするのか、伝え方に十分配慮して放送するのか)、貴社のガイドラインつくりの考え方を含めてお聞かせください。
  • 未成年者の報道について
    直前まで芸能人であった未成年者をどう報道していけばいいのか、実名・顔出しをすべてなしにするのかどうか、一般の未成年者を報道する場合と、過去に芸能人であった未成年者を報道するという特殊な場合と、双方について未成年者の人権に対する貴社のお考えをお聞かせください。

そのほか、視聴者意見の多かった番組について委員間で討論した。「明治の著名人たちを水着の女性たちに”抱かれたくないのは誰?”と質問した番組」については過剰に著名人を神聖視する必要はないのではないか、「外国から嫁いできた女性の依頼でセミを捕って食べた番組」については”食文化の差”の問題ではないか、との結論から、2番組については特段問題視しないこととした。

【視聴者意見の審議過程の変更について】

青少年委員会では視聴者意見に対する委員間の自由な議論の場として「討論」という段階を運用上設け、そこで審議対象とするかどうかの判断をすることとした。「討論」の段階で議論した案件については、その内容を当該放送事業者に伝えるとともに、その概要をBPO報告やホームページに掲載する。また、「討論」の過程では「良い番組」についても委員間で視聴・議論し、公表する。
「討論」の結果「審議」することとなった場合は、必要に応じて制作責任者との意見交換や文書回答などをふまえて委員間で議論し、青少年が視聴する番組の向上に資する”委員会の考え”をまとめる。「審議」のなかで交わされた各委員の発言やその結論については、当該放送事業者に伝えるとともに、BPO報告やホームページに掲載して公表し、放送事業者の自主的検討を要請する。また、「見解」などを公表することもある。

中高生モニターについて

9月は「ニュース・報道番組」を見て、中高生にとって分りやすい番組作りができているか、関心のあるテーマを取り上げているかなどを報告してもらい、30人から報告が寄せられた。
「ふだんから報道番組はほとんど見ない」、「いきなり難しい用語が当たり前のように出てきて分りやすい番組作りはできていない」という厳しい意見も見受けられた。
また、報道番組と情報番組の境界が分りづらくなってきているのか、もっとも多くの意見が寄せられた番組は『ZIP!』(日本テレビ)の7件だった。「ニュースの内容を分りやすく説明している」、「芸能ニュースが学校で話題になる」という一方、「ニュースがだんだんバラエティー番組に近づいている」という指摘もあった。
『報道ステーション』(テレビ朝日)には5件の意見が寄せられ、「世間で話題になっているニュースを分りやすく解説してくれる」という意見の一方、「中学1年の僕のレベルには難しすぎてついてゆけない」などの意見もあった。
NHKの『おはよう日本』や『ニュース7』については、「NHKは他の局と比べて真面目なイメージがある」、「情報が素直に届いて分りやすい」という意見とともに、「『週刊子どもニュース』はなぜなくなってしまったのだろうか」という意見もあった。
一方、地方局制作の『abnステーション』(長野朝日放送)、『VOICE』(毎日放送)、『スーパーニュースアンカー』(関西テレビ)には、好意的な報告が寄せられた。
また、ラジオの『JAM THE WORLD』(J-WAVE)を「無駄がない充実した内容だ」と推薦する意見もあった。報道番組にタレントを使うことについては、賛否両論の意見が寄せられた。
<自由記述>では、テレビに対して「面白い番組がなくなってきた」、「マンネリ化だ」、「テレビからの流行がなくなった」、「バラエティー番組で芸人同士の喧嘩は放送しないでほしい」など厳しい意見が集まる一方、ラジオに関しては「家ではラジオの話題で盛り上がることも結構ある」などの好意的な意見も寄せられた。

【主な意見】

  • 「ニュース番組・報道番組の中で関心のある番組は『ZIP!』と『めざましテレビ』(フジテレビ)だ。二つの番組の共通点は、ニュースの内容がよく伝わりやすいように映像を多く使ったり、分りやすく説明したりしている。一つのことについて簡単に意見を述べているため”この人はこう思っているんだ”と思ったりできるのがよい。しかし、他のニュース番組はパネルを使い分りやすく説明しているものの、難しい内容ですぐチャンネルを変えてしまう。今後ニュース番組を作るならそのようなことを意識して作っていくことがよいと思う。」(神奈川・中学1年女子)
  • 「私は毎朝ニュースを見てから学校に行くのが習慣となっています。普段は『ZIP!』を見ていますが、最近感じるのは、芸能ニュースが多いということです。もちろん、芸能情報が見たい視聴者もいると思いますが、最近はそれが多すぎます。私はニュースがだんだんバラエティー番組やワイドショー番組に近づいてしまっていると思います。学校では世界情勢について学ぶ授業があり、最近はシリアの内戦についてやっています。そこでは外国メディアを通して勉強しますが、クラスメイトも”日本のニュース番組は何でこういうことを教えてくれないのかな”と言っていました。」(東京・高校2年女子)
  • 「『報道ステーション』を時間が合えば見るけれど、僕のレベルには難しいし、最初から説明してくれないので、新聞や朝のニュースなどをよく知らないと”何の話だろう!?”とついて行けないことがあるので、さっと見て終わります。」(静岡・中学1年男子)
  • 「ニュースを見ていると、いきなり難しい用語が”当たり前”のように出てきます。僕の勉強不足もあるのかもしれませんが、難しい単語が出てきたら、キャスターさんにはもっと噛み砕いて伝えてほしいと思います。また、ニュースの背景にある様々な事件を解説する時間も割いてほしいと思います。最近は特に難しいニュースが頻発しているので特にそう思います。」(大阪・高校2年男子)
  • 「僕が”ニュース・報道番組”に求めるものは、その情報を見ている人に正確に詳しく伝えることです。だから、報道番組にドラマやバラエティー番組のような特別な企画性・独自性はあまり必要ないと思います。以前、小学生以下を対象とした『週刊子どもニュース』というものがあり、僕も小学生の時は少し見ていましたが、中学2年の今の僕には少し物足りない感じがします。しかし、新しく中高生向けの報道番組を作ってほしいとは思いません。なぜなら、大人向けに作られた一般の報道番組でも中高生になれば大体理解できるし、分らないことも大人に聞いたり自分で本・新聞などを使って調べることができるからです。また、自分のレベルに合わせた番組ではなく、少しレベルの高い番組を見たほうが、自分の成長にもつながると思います。」(東京・中学2年男子)
  • 「僕は『NEWS ZERO』(日本テレビ)をよく見ています。この番組は、寝る前に見るニュース番組としてぴったりです。また、中高生にニュース番組への関心を持ってもらおうと嵐の櫻井翔さん(月曜日)、モデルの桐谷美玲さん(火曜日)など、中高生から支持を集めるタレントを起用しています。この番組で良いなと思うところは、最初に一日の流れ”24H”、その後詳しいニュース、次に特集など、流れができているところです。例えば、早く寝たい時は”24H”だけをチェックして寝る、など様々な見方ができます。」(大分・中学3年男子)
  • 社会の変化がどんどん速くなっている時代に、どういう番組を若者が求めているかをつかむ回路を放送局はどれだけ持っているのか考えさせられた。
  • 「私は日頃からよく報道番組を見ていますが、ほとんどの番組がたいてい同じような内容を扱っています。私は、それぞれの番組がもっと工夫をしてほしいと思います。最近では報道番組が視聴率をあげるために、タレントを多く起用しています。そのこと自体は番組の知名度アップにもつながっていいと思うのですが、そのタレントがしっかりとニュースを理解していなかった、また出演しているだけでほとんど何もしゃべらないなど違和感が度々あります。あくまで、報道番組の役割は今起きているニュースを視聴者にいち早くそして分りやすく正確に伝えることであり、バラエティーとは違います。最近はその報道番組としての本当の意味合いが薄れてきてしまっているような気がします。」(東京・中学1年女子)
  • 「僕は報道番組などをほとんど見ません。平日はあまり時間がないし、どうせテレビを見るなら笑ったり、楽しい気持ちになれたりするバラエティーなどを見たいと思います。ニュースや報道というのは中高生にとっても、とても大切なことだけれど、自分の意思で見るようにならなければならないと思います。だから、テレビ局はニュースや時代の流れ、政治などに興味を持ってもらえるきっかけとなるような報道色のあるバラエティー番組作りに力をいれてほしいと思いました。」 (静岡・高校2年男子)
  • 「私は政治や社会問題の動きを知りたいから新聞を読む感覚でニュースを見ています。私はニュースは視聴者が普通の生活を送っていては知らないことを知り、判断するためのものだと思っています。”知る”ことよりも”判断する”ことのほうが最終目的なのです。ですからニュースは “知る”ことの手伝いをするだけでなく、”判断する”ことの手伝いもするために、頻繁にではなくてもいいので、1週間に一回ぐらい、なぜニュースになるくらいこの事件は大事なのか、ニュースの意味も知らせてほしいです。」(北海道・中学3年女子)
  • 「『VOICE』と、『スーパーニュースアンカー』をよく見ています。両番組の特集コーナーは、違法駐輪や就活、西成の現状など身近なテーマを取り上げ、両方の立場の意見も伝え、最後に今後の問題点や私たち一人一人が考える課題点を投げかけて締めくくります。私にも分りやすい映像で、ナレーターの方の声のトーンも聞きやすい点が好きです。」  (大阪・高校1年女子)
  • 「9月5日に発生した長野県上田市の浦里小学校火災に関する『abnステーション』の取り扱いについての感想を述べさせていただきます。このニュースは、大正13年に建設された浦里小学校が、『南極大陸』(TBSテレビ)などドラマや映画のロケ地として何度も使われたことで全国放送でも大きく取り扱われていました。しかしその報道内容の大半は、ロケ地として有名な浦里小学校が全焼、というものばかりでした。しかし、今回視聴した『abnステーション』では、さすが地元局だけあって興味本位にロケ地として有名な浦里小学校というフレーズは一切使われず、地元で大切にされ続け愛され続けた浦里小学校、という視点で取材をされていて胸が熱くなりました。元気にランドセルを背負って登校してきた小学生の後姿がとても明るかったけれど、これからのことを思うと何だか複雑な心境になりました。」 (長野・高校1年女子)

【委員の所感】

  • 火事のニュースで、全国ネットに比べて、ローカルでは地元の人たちの視点から報道していた点を評価しているが、素晴らしいと思った。
  • 報道番組と情報番組との違いを、見る側はそんなことに気をつけて見ていないということを、作る側は肝に銘じて作ってほしいと感じた。
  • 今回のリポートの中で、取材中シリアで銃撃されて死亡したジャーナリストの山本美香さんについての報道に、誰も触れていなかったのは残念だった。
  • 報道番組を分りやすくしてほしいが、芸能ニュースなどで面白くする必要はないという意見に同感である。
  • ニュースに興味のある人と、興味のない人と両極端という印象だったが、みなさんのリポートを読むと、一生懸命考えている若者がたくさんいることに安心した。
  • •報道番組と情報番組を区別することは難しいとは思うが、中高生にはもっと国内外のニュースに関心を持って番組を見てもらいたい。

【今月のキラ★報告】 (東京・高校1年男子)

僕は今回『報道ステーション』を見ました。全体的に見ていて分りにくかったのですが、それは番組が悪いというより、自分がニュースを深く掘り下げることなく過ごしているからだと思いました。それと同時に、例えば小学生の頃までよく見ていた『週刊子どもニュース』のような分りやすい番組があるといいと思います。なぜなくなってしまったのだろう、と今さらながら思いました。
僕が良いと思う番組はテレビではなくて、毎週月曜日から金曜日の午後8時から9時50分までJ-WAVEでオンエアされる『JAM THE WORLD』です。政治経済、国際的なニュース、そのほかありとあらゆるテーマなどの興味深い内容を取り上げていて無駄がほとんどない充実した内容で、そしてなにより何かをしながら情報を入手できるということが自分には合っています。そして聞くだけで、情報を手に入れるというより自分で調べたりするきっかけになっています。入浴中や勉強中によく聞いています。また、このラジオ番組のナビゲーターは、メディア側の責任というものを、よく自覚していると思います。
気になったことといえば、報道・情報・ドキュメンタリー番組とはいっても様々ですが、最近あるアイドルグループのメンバーがグループを卒業する、ということをかなり多くの報道番組が取り上げていたことです。これについてはけっこう失望しました。だれがどう思うかは勝手だし、クールジャパンとして評価する面もあるかもしれませんが、明らかにやりすぎ。僕には、なぜあれがトップニュースレベルになるのかが理解できなかった。逆にレディー・ガガが前回来日した時の虹色に染めた髪も、日本ではただの奇抜なレインボーヘアーなどと報道されていましたが、あれに込められたガガからのLGBTの人々に対して、決して開かれているとは言えない日本に対するメッセージだったことを理解している人は少ないと思います。また、それこそ報道するに値するものだったのではないかと思っています。興味深いテーマを扱えば視聴率が良いのかもしれません。しかし大切なのは大切なテーマを分かりやすい構成にする、という工夫です。
最後になってしまいましたが、中高生にも分りやすい番組となるとなかなか難しいものだと思います。なぜならニュースや時事問題に興味のある中高生とそうではない中高生というのは、きっとかなりの差があって、二極化していると勝手ながら予想しています。とりあえず、ニュースを手に入れる方法として、テレビ番組を見るだけではなくJ-WAVE『JAM THE WORLD』を”オススメ”したいです。

【委員会の推薦理由】

報道番組であるにもかかわらず、視聴率を考えて人々が興味を持ちそうなことがらを取り上げすぎる傾向が強いのではないか、という疑問を持ち、報道番組に求められるべきことは、大切なテーマを分りやすい構成にして伝えることではないか、と考えたことが高く評価された。

【自由記述】

  • 「最近のテレビはあまり見る気がしません。マンネリ化が感じられます。全ての番組において、もっと斬新さやインパクトを大事にしてもらいたいです。」
  • 「バラエティー番組などでよく見られる芸能人同士の喧嘩を放送するのをやめてほしい。面白いと思っているのかもしれないが、見ていて不愉快な気分になる。」
  • 「最近はtwitterやfacebookを活用した番組作りが増えていると思います。これからもっと増えていけばいいと思います。」
  • 「CMまたぎが多い気がします。本当におもしろい番組なら、話題の変わり目など区切りがいいところでCMを入れても、続けて見る人が多いはずだと思います。」
  • 「僕はラジオがすごくいいと思います。自分が知らなかったり興味がなかったりしたことでも、自然と耳に入ってきます。僕の家ではかなりの割合でラジオがかかっていて、ラジオの話題で盛り上がることも結構あります。」

2012年度青少年委員会活動について

8月から加藤新副委員長、4月から川端・最相新委員が就任したことから、NHKおよび在京テレビキー局6局の青少年委員会連絡責任者に出席してもらい、各委員との意見交換会を行った。冒頭、汐見委員長から青少年委員会の役割と、新たに委員会審議の運用に段階を設けることを説明した後、フリーディスカッションに入った。主な内容は、青少年へのおすすめ番組の選定方法の変更についての感想や教養系のドキュメンタリーも推薦してほしいこと、青少年や幼児向け番組が減少していることについての意見などが活発に交わされた。

委員長コメント一覧