「国家試験の元試験委員からの申立て」審理入り決定
放送人権委員会は8月21日の第186回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となった番組はTBSテレビの『報道特集』。本年2月25日に「国家資格の試験めぐり不平等が?疑念招いた1冊の書籍」と題した特集を放送、大学教授で社会福祉士試験委員会副委員長を務めていた申立人が、その著書で社会福祉士資格試験の過去問題を解説し、大学の授業でこれをテキストとして用い、期末試験でも社会福祉士の試験問題と同じ形式で出題していたこと、厚生労働省の調査を受け申立人が試験委員を辞任したこと等を報道した。
この報道に対し申立人は人権侵害を訴え、7月2日付で申立書を提出した。申立書では「本件番組は、申立人がいかにも国家試験の試験問題を漏洩したり、試験委員としての職責に背く行為をしたかのように視聴者に印象付け、その名誉と信用を著しく毀損した」とし、TBSに謝罪と放送の訂正等を求めている。
これに対しTBSは、「報道は、試験委員であった申立人の行為が国家試験の受験生に不公平感を醸成し、公正であるべき国家試験自体への不信の念を生じさせるのではないかと問いかけたものであり、問題漏洩等の疑惑については一切報道していない」と局の見解で反論している。
委員会は、委員会運営規則第5条の規定に照らし、本件申立ては要件を充たしているとして審理に入ることを決めた。
次回委員会以降、実質審理に入る。
放送人権委員会の審理入りとは?
委員会は、「放送によって人権を侵害された」等と申し立てられた苦情が、審理要件(※)を充たしていると判断した時、「審理入り」します。
「審理入り」が、ただちに、申立ての対象となった番組に問題があるという判断を意味するものではありません。
(※審理入りに必要な要件については委員会運営規則第5条をご覧ください。)