青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第71回

第71回 – 2006年9月

日本テレビ『ウタワラ』の「チビっ子エロかわダンス選手権」について

低年齢層の子どもたちを性的対象とする番組への要望について …など

日本テレビ『ウタワラ』の「チビっ子エロかわダンス選手権」について

前回委員会では、放送前であったため、委員がビデオを視聴したうえで審議に入り、次のとおり意見が出された。

  • 親が娘の性を商品化としていることに対して、自覚が足りないのではないか。国際的に見て幼い少女の性的被害が問題になっている時に、公共の電波を使ってあのような映像を流すことは問題だと思う。
  • 最近、子どもを使ったダンス選手権といった番組がよくあるが、テレビ局側は子どもを利用して視聴率を取っているという構図が全般的に見られる。
  • 学芸会的な微笑ましいダンスを混ぜることで、全体的な雰囲気を緩和しようとする意図は感じられるが、中にはショックを受けたものもある。局としてテレビの公共性をどう考えているのかと改めて思った。
  • 10年位前はエロという言葉がテレビ番組に堂々と出てくること自体ありえなかった。エロという言葉を子どもに使ったり、日常のなかに平気で飛び交っていることに違和感があり、嘆かわしく思う。
  • 性的な事件との因果関係を見つけることは難しいが、ある特定の人にとっては、幼い少女に性的な欲求を抱くこともあるのではないか。また、子どもが成長している時に、早くからエロティシズムを喚起して何のメリットがあるのかと感じた。
  • 児童ポルノ禁止法や児童の権利に関する条約の議定書は、”子どもを性の対象として扱うことは、子どもが被害者になることだ”ということが前提になっている。そのことがあまり理解されていない。子ども本人は勿論のこと、親がいいといっても子どもの人権から見ると親も加害者になる。放送局は子どもにとって最善の利益を考えてほしい。

なお、今委員会で審議した内容については、当該局に文書で報告した。

低年齢層の子どもたちを性的対象とする番組への要望について

上記の『ウタワラ』での審議を踏まえ、前回委員会で申し合わせたとおり、最近のテレビ番組全般に見られる性的対象の低年齢化傾向について、個別番組に対してではなくテレビ界全体の問題として考え、青少年委員会として要望を出すこととした。

要望書の作成にあたっては、本田委員長、大日向委員、山田委員が起草委員となり、次回委員会で更に検討・審議することとした。

山口県徳山高専女子学生殺害事件の実名報道について

山口県で起きた徳山高専女子学生殺害事件の実名報道に関しては、死亡した容疑者少年の実名・顔写真を放送したことに対して、「死亡したのなら少年法の適用外になるのか」「すでに自殺している少年の名前や顔をさらす必要があるのか」など、視聴者から意見が寄せられ、またマスコミ界全体でも様々な議論がなされている。青少年委員会でも、今後の少年犯罪報道のあり方について考えるため、NHKと民放テレビキー5局に対し、同事件報道についての対応への回答を求め、それを基に少年法の規定や今回の報道について議論した。

【各局からの回答要旨】

・ 実名報道をした局

  • 日本テレビ:少年が死亡した時点で少年法の趣旨である「少年の更生の機会」は自動的に失われると判断した。本事件が重要事件であること、あと数カ月で20歳を迎えるなども総合的に考慮した。
  • テレビ朝日:容疑者少年が死亡したことによって、少年法の基本的な目的である「保護」「更正」の機会が失われたことや、事件の重大性などを考慮した。

・ 匿名報道をした局

  • NHK:逃走中とはいっても新たな事件が引き起こされるおそれが低いことなどの事情を総合的に判断した。
  • TBS:少年法の精神を尊重した。少年事件容疑者の実名報道に関して系列各局とともに、今年2月以来社内議論を重ねていたが、死刑判決が確定しても罪を犯した時に少年であったものについては、匿名を守るという判断をし、今事件もこの考え方を準用した。
  • フジテレビ:事件の性質、経過を考えると実名に切り替える理由はなく、放送の公共性・公益性を総合的に判断した。
  • テレビ東京:容疑者の少年が死亡したことによって罪は「確定」できない。少年法の趣旨を尊重した。

委員の意見は次のとおり。

  • 少年法第61条での例外を一切認めないのか、例外を認めるのかで判断が大きく分かれる。法律的に見て、表現の自由から考えると例外はあり得るが、それは、加害者が逃走中で次の事件を起こす可能性があると思われる場合である。今回のように加害者の少年が死亡した場合、少年法にある匿名が少年の更正・保護のためと考えれば、禁止する理由そのものがないので、実名報道するか、しないかはメディアの判断となったと考えられる。ただ、少年法には罰則がなく、例外も明記されていないので、今後、少年法そのものを検討する必要があるのではないか。
  • 逃走中で次の犯罪を起こす危険性があるとか、銃を持っているとか、などの場合を考えると例外を認めるかどうかの議論をする必要がある。ただ、少年法第61条の立法趣旨から見て、死亡したら規定が外れるということではないと思う。そういうことなら犯罪事実が確定後に、少年刑務所で死亡した場合も報道していいことになるわけで、それでは少年法の趣旨が損なわれる。死亡後でも少年法の趣旨を生かすことは、その少年だけでなく罪を犯した少年たち全員の更正を願うことが一つと、1人の人間の成長過程において少年時代の過ちは問わないという意味がある。
  • 今回の報道を考えれば、実名報道をしたメディアにやった者勝ちみたいな論理があったのではないか。この問題について普段から論議を高めていろいろなケースを考えながら報道したのであればいいのだが、報道する時点で考えたのだとすれば非常に危ういのではないか。
  • 局によっては、以前から検討会を設け、家裁の調停官や少年事件に詳しい弁護士などの意見を参考に、社内での議論を経て、局としての考え方をまとめたと報告がある。こういった姿勢には好感が持てるが、国民の知る権利だからといって実名報道したことには疑問を感じる。
  • テレビの中で1社でも実名報道すれば分かってしまうので、報道機関で協議はできないものだろうか。
  • 最近ではテレビが匿名にしても、インターネット上で名前や写真が流されることがあるのだから、テレビが少年法を遵守していてもかえって偽善と思われる恐れがあるのではないか。ネット上でいい加減な情報が流れるのだったら、マスコミが実名などの正確な情報を流すほうがいいという意見もある。
  • テレビとインターネットとの境界線が崩れてきているように思う。建前かもしれないが、テレビの持つ公共性から、あえて出さない情報があってもいい。
  • これを機会に民放連、各局で議論してほしいが、なにもかも細かくガイドラインを作ればいいというものではないので、そのあたりも検討することが望ましい。

青少年に関する視聴者意見について審議

プロボクシング世界対戦中継関連で、「亀田選手の横暴な態度や暴言を公共の電波にのせて放送していいのか」「八百長のような判定の試合は放送すべきではない」「暴力団との関係があるのではないか」といった視聴者からの批判が多く寄せられ、委員からは次のような意見が出された。

  • ボクシングファンから見ると批判したくなると思うが、多くの人がその批判に乗って反応しているのではないか。一過性の批判だと思う
  • 所詮、ボクシングもプロレスと同じショーの世界だからテレビ局も演出としてやっているのではないか。言葉遣いは本人の問題だ。
  • ボクシングはプロレスとは違うので、あのような放送ではスポーツとしての価値を落とすのではないか。視聴率稼ぎみたいな作り方をすると、ソフトとしての評価も下がりテレビ離れが加速することになる。

このほか、10月から始まる新ドラマで中学生が母親になる番組について、「義務教育中の14歳で母親になることを肯定するようなドラマは放送すべきでない」「”命の尊さを問う”と言っているが刺激的な事象をドラマにすることは倫理的に許されない」などの視聴者意見が寄せられ、委員からは、「今後、注視していきたい」との発言があった。

中学生モニターについて

今月は25人から、29件(一人で複数件の報告有)の意見が寄せられた。ドラマが最も多く11件、バラエティーが9件、情報・ドキュメント・ニュースが7件、そしてスポーツが2件だった。今月、意見が複数寄せられた番組はドラマ分野だけで、『僕たちの戦争』が3件で『マイボス・マイヒーロー』が2件だった。今回は最終回が多かったドラマを中心に内容を紹介する。

  • 『僕たちの戦争』は「現代と戦時中の青年がタイムスリップする設定がおもしろく、戦時中の青年が現在の渋谷の街に来て、”仲間はこんな未来を作るために死んでいったのか”と語る言葉に感銘した」など3件とも好評だった。
  • 『マイボス・マイヒーロー』には継続的に意見が寄せられたが、「途中から見始めたがおもしろくてはまってしまった。できれば再放送をしてほしい」、「とても新しい青春ドラマだなぁと思いました。見ていて脚本がよいのかなと思いました」と2件とも好評だった。
  • 『誰よりもママを愛す』は「本当に心が暖かくなったドラマです。私も将来、あんな家族をつくってみたいです」、『純情きらり』も「つらい事も悲しい事も、すべて音楽で乗り越えてきた桜子。私に再び音楽の楽しさを教えてくれたこのドラマが、私のお気に入りです」といずれも好評だった。『夏の冒険ミステリー カクレカラクリ』は「このような番組は見る側もいろいろ考えながら見ていることができるのでおもしろいし、楽しい」と好評。また『タイヨウのうた』には「病気なのに元気に、そして恋もして、夢に向かう…みたいな病気の話は本当に病気の人にとってイヤなんじゃないかと思います」という注文が寄せられた。
  • その他の分野では、『NYテロ5年目の真実』に「テロは何の意味もなく人を殺し、さらに戦争までも起こすということです。私たちはこのことを後世に伝えていかなければいけないと思いました」と共感する意見が寄せられた。
  • ニュースでは、紀子さま出産報道に関して「同じことを繰り返し一日中やっている」という注文が2件、自民党の総裁選挙についても「候補者は3人いるが、マスコミはそのうちの1人のことしか報道をあまりしていない」という注文が寄せられた。
  • 司会者にまつわる番組への批判が2件あった。『芸恋リアル』には「ゴールデンにあっていいのかと思うほど下品な番組だと思う。司会者はいつもおもしろがって下世話な質問ばかりをするし、傷つく芸能人がいるだろうランキングも平気でやっている」という意見、『アッコにおまかせ!』には「司会者女性の言動(未成年がお酒を飲むときは親がついていればいいと思っていたという発言など)や、メインになった企画には閉口するものが多い。やっぱりテレビは常識に添って作ってください」という注文が寄せられた。

委員会で出された青少年委員の意見を紹介する。

  • 『世界まる見え!テレビ特捜部』に「最初の30~40分ぐらいは全くCMがないのに、それをすぎるとCMが極端に多くなります」という意見が、『アンテナ22 密着!24時間テレビふたりの絆で激走100キロメートル』でも「感動的なエンディングの部分に下品な次回予告CMが入り腹がたった」という意見があった。中学生モニター会議でも話題になったが、CMについて関心が高いのでこれからも継続的に見つめていきたい。
  • 紀子さま出産報道に対する意見には同感。ニュースがバラエティー化しているところに問題がある。ニュースはもっと簡潔で分かりやすくていい。
  • 中学生モニターの指摘通り、トーク番組で議論にならない番組が多い。議論の仕方を習う場が学校にもどこにもないのが問題だろう。
  • 概してドラマについては中に入り込んで感動して意見を書いているが、バラエティーはちょっと引いた感じで見ていて、面白い時には余り触れず、気になるところがあると書いてくるような気がする。2つの分野の番組の見方が違う理由を知りたいと思う。

なお、第6回の中学生フォーラムを、12月25日(月)に千代田放送会館で開催することが決まり、中学生モニターが、テレビの現状とこれからについて、東京キー局の番組制作者に対して問題を投げかけ、話し合うことなどをメインに実施を図ることとした。

調査・研究活動について

橋元委員から、調査企画チーム(第7、8回会合)の概要について、下記のとおり報告があった。

  • 調査企画チームはこれまでに8回会合を重ね、活発な議論をしてきた。8月には6人の小・中学生に面接調査のプリテストを行い、それを基に本調査での事前アンケートや面接調査の質問項目を再検討した。
  • プリテストで分かったことは、今の子どもたちは昔ほど友達とテレビを話題にはしていない。それがなぜなのか、ほかのメディアに興味があるからか、あるいはテレビがつまらなくなったのか、といったことも詳しく調査したい。
  • 本調査では、子どもたちのテレビの見方について、どういうスタンスで、どのくらいの熱心さで、誰と見ているか、などを詳しくインタビューする。
  • 本調査は、10月から来年2月までの間に、1回6人ずつ、計6回で36人を面接する。