青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第68回

第68回 – 2006年5月

青少年に関する視聴者意見について審議

中学生モニターについて …など

青少年に関する視聴者意見について審議

視聴者から寄せられた意見を基に審議に入った。

冒頭、委員から中津川女子中学生殺害事件の報道について、「亡くなった中学生の友人が泣いているにも関わらず、執拗にインタビューをして、多感な時期の中学生に心の傷を深める取材を平気で行っている、との視聴者からの意見があるが、これが本当ならば”またか”と言わざるを得ない」と発言があった。この視聴者からの意見に関して事務局が放送した当該局に確認をしたところ、「取材は系列局が行ったが、放送する際にはモザイクをかけて生徒の顔は映していない。報道の公益性からみて妥当ではないかと考えている」との説明があった旨を報告した。委員からは「モザイクをかけさえすれば”配慮していることになる”と考えているのではないか」と意見が述べられた。

次に、脳をテーマにした情報番組で「脳の部品が…」と人間を物扱いにし、命の尊厳が損なわれ軽んじられていたとの視聴者からの意見について、次のような意見が出された。

  • 最先端の科学情報を取り上げるときは、視聴者に分かりやすく放送するのはメディアの責任だが、情報を発信していくうえでどのような人間観になるのかを考えながら作っていく必要がある。
  • 臓器移植のニュースでも、人間をパーツの集合体のように扱っているが、一つの命の存在を解体しているような報道をする傾向があることを把握しておく必要がある。
  • “脳”をキーワードにすることがはやりのようだが、脳の仕組みを取り上げるにしても、特に子どもの問題として”キレる子ども”といった極端な切り口だけで番組を作っているのではないか。
  • 最先端科学を知りたいという問題意識とは別に、一般視聴者の番組ニーズとしては、脳科学の一部分を見て”うちの子はおかしいのでは”と思ってしまうような番組が視聴率を取れるので、作り手も落としどころがわかっている。個々の番組というより方向として大きな問題である。

また、番組の中で男児の裸を映したシーンや幼児番組のコーナーで、下着姿でパジャマに着替えさせることについて、児童ポルノとの関連を危惧する視聴者からの意見に対して次のような意見があった。

  • 視聴者から、小さな子どもの裸であっても問題だという意見がきているということは、児童ポルノについて日本人の感覚も変わってきているので、テレビ局もその辺を意識して作ったほうがいい。
  • 日本には小さい子どもの裸姿を普通に”かわいい”と受け入れる文化がある。こういった表現すべてが児童ポルノの要因になるから問題だと制限が加えられるようになるのはおかしいが、こころに止めておく必要はある。
  • 児童買春、児童ポルノ禁止法ができるまでは、日本は児童ポルノの発信国として世界一だった。その背景には子どもの裸はかわいいと温かく見る庶民文化があるが、欧米先進国においてはそれが悪用されたときには児童ポルノ禁止的な目線で、たとえ子どもであっても性器は出すべきでないという規制の高さがある。国際水準を維持する観点からすると日本の庶民感覚だからいいというわけにはいかない。

このほか、「ニュース番組の中で、ゲームソフトをアルミ箔で包むと万引きの時セキュリティーが作動しないと放送していたが、万引きの手口を教えるようなものだ」との視聴者からの抗議について、委員から「最近の万引きが悪質化していることを報道したのだろうが、テレビで放送するとやり方を広めることになる」「かえってマネをするのではないか」との意見があった。

また、深夜帯に放送されるアニメには、セックス描写や女性の下着姿など肌の露出するものが多いとの批判に対して、委員からは「子どもが見る時間帯ではないから放送していいというものではない。今後、注視していく必要がある」との意見が述べられた。

中学生モニターについて

今月は36人から、51件(一人で複数件の報告有)意見が寄せられた。報告テーマは、前回のモニター報告後5月中旬までに見た番組についての感想・批判・期待することなど。

報告の全体概要は、ドラマとバラエティーが同数で14件、その他情報・教養・ドキュメント等が23件である。2件以上意見が寄せられた番組について紹介する。

  • ドラマでは『クロサギ』に4件で、主人公の詐欺師が詐欺師をだますというストーリーが新鮮という意見が2件、主人公を演じる山下智久の演技をほめる意見が1件、『野ブタ。をプロデュース』の主役2人を系統の違うドラマで使ったため原作の不思議な面白さが十分伝わらないという注文意見が1件。また『純情きらり』の3件、『ギャルサー』の2件はおおむね好評だった。
  • バラエティーでは、一番多く3件意見が寄せられたのは『エンタの神様』。1件は下ネタが少なくテロップが入っていて分かりやすいという賛同意見。2件はたまに驚くほどつまらない芸人が出演する・全然芸をしない女性2人組は見たくない、という注文だった。また『平成教育委員会』のスペシャル番組に2件。今回は出演者が豪華だし問題を一緒に考えられるのが良い。特別授業(正解するとおいしい物が食べられる)も皆が本気で頑張るので面白いと好評だった。
  • その他の分野では、『ぴーかんバディ』で紹介され問題になったダイエットについて科学検証をしてから放送するべきだ等、注文が2件。『日本人の好きな100人の偉人』にも、様々な人物の知らない素顔が分かったという好評意見とスタジオでのゲストの話がほとんど無駄だったという注文意見の2件が寄せられた。

委員からは次のような意見が出された

  • 一般視聴者から『ギャルサー』について青少年への悪影響が心配だという意見が寄せられているが、中学生たちは「ギャルは他人のことを平気で傷つけることばかりやる、でもどんな人たちよりも、友だちのことは大切にするし仲間を裏切ったりしない」というように冷静に番組を見ている。中学生の意見があると偏りなく考えられる。
  • 『日本人が好きな100人の偉人』の報告が2通あり、『NHKスペシャル』や『人間ドキュメント』の報告もあった。いろいろな番組を見ている事がわかり、番組の担当者が読めば随分励まされるだろう。
  • 『もののけ姫』を最初に見てから3年後に見直したら中身が良く分かったという意見があった。再放送をする意味はこんな所にもあるのだろう。

さらに中学生モニターの報告のうち、委員が共感して取り上げた意見を列挙する。

  • 『笑いの金メダル』で芸人が危険でくだらないことをやるのは、やめた方が良い。
  • 『世界一受けたい授業』でスタジオにいる芸能人が多すぎる。ボケッと聞いているアイドルに出演料を払うくらいなら実験などをより豪華にし、お金をかけて欲しい。
  • 『クイズ ミリオネア』の出場者は有名人が多いが、一般人が出場し賞金をもらったほうが喜びが大きいのではないか。
  • 『クレヨンしんちゃん』は、親が子どもに見せたくないアニメランキング1位で、『ドラえもん』が、子どもに夢をあたえるアニメランキング1位だそうだが、のび太は、自立しようともせずに、ピンチのときはドラえもんにすがりついてしまう。そういうのび太を毎回あまやかし、楽をさせるばかりの番組はよくないと思う。『クレヨンしんちゃん』は、確かに下品なところもあるが、実際にありそうな家庭で家のローンに苦しんだりする両親の苦労が面白おかしく描かれている。親子で楽しく見てほしい。
  • 世界卓球の放送で、福原愛ばかり注目しすぎている。第2の福原愛まで登場させているのにはあきれる。
  • 「人を殺したあと首を切った」というニュースが、進展がなくても何日も同じ様に報道されていた。もっと伝えることが他にないのか。
  • 離婚についての番組で、どうすれば妻が夫と有利に別れられるかという説明があり不快だった。テレビの影響力の大きさを真剣に考えて欲しい。

以上のような意見をもとに委員会審議を進める一環として、中学生モニター会議を夏休みに入ってすぐの7月27日(木)に開催することに決定した。

調査・研究活動について

前回の委員会で、橋元・是永両委員が中心となって調査に関する具体案を企画することが決まり、これを受け調査企画チームが設置された。橋元委員から同チームの概要について下記のとおり報告があった。

◎調査企画チーム等について

  • 橋元委員、是永委員のほか、4人の協力メンバーで構成。
  • すでに2回会合を開き、テレビの影響調査などの先行調査を基に検討した。
  • テレビの影響に関しては、アンケートのような量的な調査をしても明確な影響関係を見出すことは難しい。別なかたちの調査をしたい。
  • 調査方法は、グループインタビューまたは個別インタビュー(深層面接)を考えている。
  • 調査対象は、小学校高学年から中学生を中心に実施したい。
  • 調査意図や調査の具体的方法については今後さらに検討を重ねるが、ほかの委員からの意見も参考に進めて行く。

上記の報告を受け、委員から次のような意見が出された。

  • 調査の対象としてヘビービュアーの子どもも必要だが、テレビをあまり見ない子どもたちの調査もしてはどうか。
  • 暴力シーンやセックスシーンについては、子どもの捉え方、大人の捉え方が違うので対比できるものが必要ではないか。
  • インタビュー方式を採用するには、対象者と長く接触して研究することが望ましい。中学生モニターと連動していくことも考えられる。
  • テレビは子どもに役に立っているのか、貢献しているのかも知りたい。60年代のテレビはかなり子どもにとって強い意味合いを持っていた。