青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第70回

第70回 – 2006年7月

青少年に関する視聴者意見について審議

中学生モニターについて …など

青少年に関する視聴者意見について審議

前回委員会で視聴者から批判のあった3番組について、各委員が事前に番組のビデオを視聴したうえで審議に入り、下記のとおり委員から意見が出された。

1.TBS 『リンカーン』

<視聴者からの意見>

「4歳女児の目の前で父親を意味もなく殴り、自室を詮索して性的趣味を妻に暴露して驚愕させるバラエティーをやっていたが、女児のことを思うと児童虐待だ」

  • 女児の父親は芸人であるが、芸人同士のプライベートをバラエティーのネタにするのはどうか。芸人が裸に近い格好をしてテレビに出ることも問題だ。
  • 子どもにとって父親への暴力を見せられるより、裸姿の男性に対するショックのほうが大きかったのではないか。泣かなかった少女を見ているとそれだけに与えた影響が大きいと感じた。
  • テレビに子どもを出すことに対し、親の同意があるなしにかかわらず、子どもが不利益をこうむる問題については、青少年委員会としてチェックしていく必要がある。
  • 低俗な笑いの中に子どもを巻き込み、それを放送することは子どもへの暴力と同じだ。
  • 青少年への影響もあるが、芸人の芸人いじめのようでお笑い文化の質が落ちている。

2.日本テレビ 『ラジかるッ』

<視聴者からの意見>

「”小学生のFカップグラビアアイドル”と紹介していたが、少女の性を売り物にしている」

  • “Fカップ”という表現自体、12歳の少女を性の対象としているし、こういったものを公共のテレビの場で取り上げることは児童ポルノ禁止法からみて国際的に問題だ。
  • “顔は子どもで体は大人”といったアンバランスなところがいいという取り上げ方は、性の対象としている。また司会の女性に対し「○○さんはその逆で、顔は大人だけど体は子ども」と言っていたが、こういった発言はセクハラと受け取れる。
  • 少女のグラビアアイドルを取り上げることが日常化すれば、子どもの性の商品化を日本が容認していくことに歯止めが利かなくなる。

3.テレビ朝日 『ミュージックステーション』

<視聴者からの意見>

「女子高生のような制服を着た女の子たちが出演していたが、品性に欠ける振り付けがあって非常に不快だった」

  • 出演している少女たちの個々の名前と年齢を出すことは、少女たちを性的対象としているように受けとられかねない。
  • 下着が見えるような振り付けより、少女たちのなかに年齢の低い子がいることのほうが問題だ。
  • Fカップといった表現や下着が見えるような振り付けで性的興味を煽っている。児童ポルノ禁止法の主旨、子どもの人権からみて日本は遅れている。

なお、上記審議の後、最近のテレビで低年齢層の子どもたちを性的興味の対象にするような番組が見受けられることについて、児童ポルノ禁止法の精神からもこの状況に歯止めをかけるため、今後、個々の番組に対してではなく、テレビ界全体の問題として検討し、なんらかのかたちで青少年委員会として姿勢を示すことを申し合わせた。

今回の視聴者意見でも風俗嬢を扱った報道系情報番組に「少女たちに売春を手っ取り早い小遣い稼ぎ方法として認識させる報道をしている」といった意見が多く寄せられた。委員からは「この番組の取り上げ方も、少女たちが安易に性を商品化することになりかねない」といった意見が述べられた。

次に、秋田・小1男児殺害事件や奈良・高校生放火殺人事件などの事件報道について「容疑者の生い立ちや卒業アルバムなど事件に直接かかわりのない報道は人権侵害だ。興味本位の報道は避けるべきだ」といった視聴者意見に対し、委員から次のような意見が出された。

  • 加害者の人となりや事件の背景を知らせるために文集や卒業アルバムなどを出しているのだろうが、子どものころを取り上げるときには、ある程度の配慮が必要ではないか。
  • 被害者、加害者にかかわらず、報道の中で女性を扱うときに名字ではなく名前を使っていることがあるが、男性側の視点で報道しているような印象を受ける。報道ではきちんと名字を使ってほしい。
  • 一つの事件をワイドショー的に長時間取り上げ、何度も何度も放送すると、視聴者にあたかも重要な事件と思わせることになり危険だ。
  • 容疑者でもないうちからメディアが一斉に取り上げることは、ある種の偏見や冤罪などの人権侵害を生むきっかけになるのではないか。

このほか、お昼のバラティー番組で、司会の女性歌手が未成年者の飲酒を容認した発言に対し「公共の電波を使って未成年者の飲酒を容認するような発言は問題だ」といった視聴者からの批判が多く寄せられ、委員からは「お酒もタバコも未成年者保護のために禁止するものである。文化とか家庭の価値観のなかでは許されているところがあるかもしれないが、公共の場で容認するようなことを言うべきではなかった」との意見が述べられた。

最後に、日本テレビ『ウタワラ』の「チビっ子エロかわダンス選手権」については、今回委員会では放送前のため審議せず、番組を視聴したうえで、次回委員会で審議することとなった。

中学生モニターについて

今月は27人から、47件(一人で複数件の報告有)の意見が寄せられた。今回は「中学生モニター会議」(7月27日実施)と連動するため、「テレビのこんなところがいや」というテーマを立て報告してもらった。このテーマに沿った意見は31件。内訳はニュースについて9件、バラエティーとドラマについて5件ずつ、情報系番組について4件、テレビ全般とCMについて3件ずつ、ミニ番組と歌番組について各1件であった。その他特定の番組に対する感想や意見が16件あった。

  • ニュースでは、何かが起きるとそればかりをやりすぎる、繰り返しも多く、取材も過剰、という意見が4件。放火犯が芸能人に似ているからと過剰に報道するなどニュースも視聴率至上主義だという意見と、事件が発生して1週間もたつとその事件を取り上げず無責任だという意見が2件ずつあった。
  • バラエティーでは、暴言や脅迫的発言そして失敗したらなぐるなどいじめ的な行為が多い、という意見が3件。その他、下品すぎる、プライベートを持ち込むな、などの意見があった。
  • ドラマでは、リメークや同じような題材のものが多い、という意見が2件。芸人が出演し、良いシーンを壊している、という意見が1件。
  • 情報系番組では、出演者が同時にしゃべり、大人の議論とは思えない。スタジオに不必要な芸人やタレントが多い、などの意見が寄せられた。
  • テレビ全般では、高齢化社会にデジタル化は不必要、セットに懲りすぎて無駄なお金を使いすぎる、など。
  • CMについては、「先が見たいタイミングで入れるのは姑息」など長さやタイミングを考えてほしいという意見だった。

その他特定番組への感想では、2件意見があったのは2番組。『マイボス・マイヒーロー』については、学園ドラマだが新鮮な感じがする、といずれも好評。『26時間テレビ』には、とても面白く特に「ブスかわ」のコーナーが印象に残ったという意見と、生放送の割には緊急オーディションなど大げさな企画が目立ったという注文が寄せられた。

委員からは次のような意見が出された。

  • テレビのいやなところを書いてもらった今回も、もっともだと感じる意見が多い。
    特に『はねるのトびら』の中で、ドイツに行きジーコの真似をしたり裸になって歩いたりして下品だという意見や、「ワイドショーなどの情報番組で、小学生でも思うような事ばかりを口にしているタレントが目立つ。タレントの必要はない」という意見には共感する。
  • ニュース番組に関する意見で、事件発生後1週間もたつとその事件を取り上げなくなるというのが2件あった。報道では、その後をきちんと追うべきだ。
  • アメリカでの心臓移植を扱った番組についての、「単に成功例を紹介するだけでなく、ドキュメンタリーなのだから事実に即してもっと素のままを放送してほしい」という意見も説得力がある。
  • NHKスペシャルの「恐竜」の番組。面白く見たが、中学生モニターの「昔にあったことにしてはやや断定的な感じがした」という意見には同感。

なお、「中学生モニター会議」は、7月27日(木)に12人のメンバーが参加し、千代田放送会館で開かれた。7月のモニター報告をもとに「テレビのここがいや」というテーマで青少年委員会委員と活発な意見交換が行われた。バラエティー番組やクイズ・トーク番組などの問題点、CMやニュースの問題についてなど、テレビのあり方について話し合いが進められた。会議内容をまとめた冊子を9月に発行予定。

調査・研究活動について

橋元委員から、調査企画チーム(第4~6回会合)の概要について、下記のとおり報告があった。

  • 今回の調査では量的調査のアンケートは行わない予定だが、「青少年へのテレビメディアの影響調査」のデータを再分析して、前回調査で触れられていない部分を検証することも考えている。
  • 今回は質的調査が主で、具体的には30人以上の子どもに対し時間をかけた深層面接を行う。
  • 放送局に対しインパクトある提言が出せるような根拠を集積するため、インタビューを活用したい。
  • 本調査を実施する前に、テレビを長時間見る子、テレビをあまり見ない子を合わせた6人に対し、本調査と同じ個別面接のかたちでプリテストを行う。
  • 7月27日の中学生モニター会議終了後に、モニターの中学生に対しテレビ視聴についてのグループインタビューを行い、プリテストでの参考にする。