青少年委員会

青少年委員会

2006年10月26日

「少女を性的対象視する番組に関する要望」について

2006年10月26日
放送倫理・番組向上機構[BPO]
放送と青少年に関する委員会委員長
本田 和子

青少年委員会では、2006年6月から、少女を性的対象視する番組への視聴者からの厳しい意見を踏まえ、議論を続けてきました。

その結果、児童の人権・福祉の観点からも看過することはできないこととして、2006年10月26日に「少女を性的対象視する番組に関する要望」を公表し、NHK、民放各社に対し配慮を求める要望書を送付しました。

最近のテレビ番組において、幼いエロティシズムの過剰表現を素材とする番組が目立つように思われる。こうした傾向は、少女を性的対象視する風潮を増幅する危険性が高い。
また児童が被害者となる性犯罪が頻発していることから、視聴者からも、このような番組が性犯罪に及ぼす影響を懸念する意見が多数寄せられている。
委員会においても検討を重ねた結果、児童の人権と福祉の観点からも憂慮すべき傾向であり、このまま看過することはできないとの結論に達した。
青少年問題に関する規制強化の動きに対して、放送局の自主自律を堅持するためにも配慮をお願いしたく、下記のとおり要望するものである。

幼い少女に過度に性的な姿態を演じさせ、それを競わせるような番組は、少女を性的対象視するものに他ならない。幼少期から過剰に性的対象視されることは、少女自身の形成途上の自我意識を、肉体や性に固着した皮相な自己関心に陥らせる危険がある。
さらには、本来成人による児童の性的搾取あるいは性的虐待ととらえられるべき、いわゆる“援助交際”を、単なる風俗上の関心のみで扱った情報系番組が散見される。
これらは、いずれも児童の性および性意識の発達に関する権利と福祉の侵害であり、「児童の権利条約第34条」、「児童買春、児童ポルノに係わる行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」に抵触し、さらには、放送界が自主的に定めている「放送基準」や「番組基準」の趣旨に反するものとして危惧の念を禁じえない。
また、仮に当該児童および保護者の同意が得られたとしても、当該番組が出演者のみならず視聴者の上にも及ぼす影響を勘案するとき、同様の懸念を抱かざるを得ない。
よって、本委員会は、今後児童を出演させる番組、および児童を対象とした情報系番組等の制作に関して、上記の法および基準の趣旨を十分に尊重され、出演者および視聴者に対して適切な配慮がなされることを要望する。

[参 考]

「児童の権利に関する条約」

第34条 締約国は、あらゆる形態の性的搾取及び性的虐待から児童を保護することを約束する。このため、締約国は、特に、次のことを防止するためのすべての適当な国内、二国間及び多数国間の措置をとる。

  • a. 不法な性的な行為を行うことを児童に対して勧誘し又は強制すること。
  • b.売春又は他の不法な性的な業務において児童を搾取的に使用すること。
  • c.わいせつな演技及び物において児童を搾取的に使用すること。

「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」

第1条 この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性にかんがみ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利の擁護に資することを目的とする。

「日本民間放送連盟 放送基準」

  • (4)人身売買および売春・買春は肯定的に取り扱わない。
  • (21)児童を出演させる場合には、児童としてふさわしくないことはさせない。特に報酬または賞品を伴う児童参加番組においては、過度に射幸心を起こさせてはならない。
  • (79)出演者の言葉・動作・姿勢・衣装などによって、卑わいな感じを与えないように注意する。

以上