放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第89回

第089回 – 2004年6月

「国会・不規則発言編集問題」の総括

苦情対応について…など

「国会・不規則発言編集問題」の総括

6月4日に行われた申立人・被申立人双方に対する委員会決定の通知と記者会見の模様を事務局が説明した。説明内容は以下の通り。申立人藤井孝男議員は国会の都合で出席できなかったが、代わりに代理人弁護士が出席し通知を受け取った。被申立人側はテレビ朝日編成制作局専任局次長らが通知を受けた。この後、決定についての記者発表が行われた。通知後申立人・被申立人双方からコメントが出された。

次に、テレビ朝日から提供された「委員会決定」の主旨を伝える同局のニュース並びに当該番組「たけしのTVタックル」等のVTRを視聴した。(当日の夕方のニュース「ニュースステーション」をはじめ、あわせて4日間6回の放送)

委員からは、「既にお詫び放送により名誉が回復されているからそれでいいということにはならない。視聴者に対する説明責任が大切だ」「公人であっても人格権の侵害があれば取上げるべし。公人だから手厚くしているとの印象をもたれるのは心外」「視聴者に対する説明責任を命じたのは今回が初めて。テレビ朝日の今後の対応を注目したい」などの意見があった。

委員会は、3か月以内にテレビ朝日から出されることになっている社内体制の整備など放送倫理に対する今後の取り組み方についての報告を見守ることにした。

苦情対応について

「放送人権委員会が出来てから7年余りの間に、14の決定が出たが、うち3件がBPO発足以降のこの1年間に出たということなる。また、これまで勧告は4件。それがこのわずか2か月間に2件の勧告が出たことになる」と事務局より報告。

5月の苦情対応概要

BPOに寄せられた5月1か月間の苦情のうち人権関連は次のとおり。

◆人権関連の苦情〔20件〕

  • 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名や連絡先 番組名などが明らかなもの)・・・11件
  • 人権一般の苦情 (人権関連だが、関係人・当事者ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・9件

次の斡旋中事案について現状が報告された。

「ストーカー被害者として顔出しで放送された」との苦情

6月8日苦情申立人の愛知の女性から「ストーカーの被害者として報道された際顔出しでニュースなどで放送された(3月)。訴訟をするつもりだったが、放送人権委員会に申し立てることにした。」との電話があった。委員会では次回までに当該テレビ局に当該番組の同録テープ並びに対応経緯等を送ってもらい委員会で審理対象にするかどうかを決めることになった。

その他

民放連の「視聴率等のあり方に関する調査委員会」(座長清水BPO理事長、有識者委員として飽戸放送人権委員会委員長が参加)の報告書について三好事務局長より報告。

飽戸委員長より「視聴率だけでなく視聴質というようなものをきちんとみんなで研究して、それによっていい番組を作る努力するということは提言の最初の柱に入っていたが、放送局側がすぐにやることは難しいということで最後は取り下げた。替わりにいい番組を表彰する新しい賞揚システムを考えようということになった。実現可能性の非常に高い現実的な提言となったと思う」との説明があった。

次回の定例委員会を7月20日(火)に行うこときめ、議事を終了した。

以上