放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第119回

第119回 – 2007年1月

審理要請案件

仲介・斡旋事案…など

審理要請案件

「動物愛護団体関連報道」について

動物の救済・愛護の方法をめぐる報道で、関西在住の男性から名誉毀損の訴えと訂正放送を求める申立書が出ている案件について、審理入りするかどうかの討議を行った。その結果、事態が進行中であることから事実関係の推移をもうしばらく見た上で判断することになった。

仲介・斡旋事案

「ひと間違い報道の訴え」について

秋田県在住の女性から、「不審死した幼児の母親と間違われて放送され、仕事に行けなくなった」との苦情申立てがなされた事案について、事務局による仲介・斡旋で解決したことが報告され、委員会で承認された。

この事案は、06年10月、秋田県大仙市の農業用水で不審死した男児の遠縁という若い女性から「葬儀の際に、男児の母親(後に殺人容疑で逮捕)と間違われて、泣いている顔を正面から写されテレビのニュースで放送された」と訴えてきたもの。

さらに当該女性の母親から「番組では”31歳の子持ち”とコメントされたが、娘は20歳代で来年早々に結婚を控えている。娘は興奮し、仕事にもいけない状態だ」と、苦情を申し立ててきた。

当該局からは「すぐに訂正し、担当責任者がお詫びに行き、詫び状を手渡した」との報告があったが、その後、女性は退職を余儀なくされたという。

しかし、12月初めになって、本人の父親から「娘の病状はだいぶ回復した。当該局の番組責任者が3度も秋田に来られ、謝罪をされ、誠意を感じるようになった。いかがすべきだろうか」との相談があった。放送人権委員会事務局から「局の誠意を感じるのであれば、和解されてはどうか」と伝えたところ、まもなく局側から「無事、和解・解決した」との報告があった。

06年度の放送人権委員会による仲介・斡旋解決事案は、これで3件目となった。

苦情対応状況報告

2006年12月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

◆人権関連の苦情(14件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・9件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・5件

「放送人権委員会運営規則」の改正について

放送人権委員会では、本年5月に迎える設立10周年に合わせ、昨年5月から運営規則の改正論議を続けてきたが、この程ようやくその改正案をまとめ、委員会で改定条文の字句等を最終チェックした。

放送人権委員会の運営規則の一部を改正する主な理由は次の2点である。

  • 放送人権委員会は、この10年間に、人格権を侵害した放送がなされたこと、あるいは放送倫理に反し人格権に対する配慮を欠く放送がなされたことを理由とする数多くの苦情の申立てを処理してきたが、その運営に関する手続きを定めた規則には、10年間の運営の実情に照らし、必ずしも十分でないものが出てきている。
    たとえば、これまで放送人権委員会は、人格権の侵害だけでなく多くの放送倫理上の問題を扱ってきたが、現行運営規則には倫理問題を扱う根拠が明確には規定されていない。また、金銭の賠償を求める審理要請には応じてこなかったが、そのことを明文化した規定はなかった。
    これら諸点に関して、この際、運営規則を実情に適合させるために改正する必要があること。
  • テレビやラジオが国民の「知る権利」の実現に奉仕するに当り、憲法に定められた「表現の自由」のもと放送法の規定を遵守しつつ、公権力による不当な支配を受けることなくその業務を遂行していくためには、第三者機関である放送人権委員会が放送の公平・公正の実現に一定の役割を担うことが適切であり、今後、放送人権委員会が放送の公平・公正をはじめ放送事業が直面する諸問題に対応できる態勢を整えるための規則の整備を行う必要性が強くなってきたこと。

放送人権委員会では、次の委員会でも、さらに運営規則の改正の審議を詰めることにしている。

その他

次回委員会を2月20日に開催することを決め、閉会した。

以上