放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第121回

第121回 – 2007年3月

「広島ドッグパーク関連報道」の審理

「エステ店医師法違反事件報道」の審理…など

「広島ドッグパーク関連報道」の審理

本事案は、06年11月から12月にかけて朝日放送で11回にわたって放送された報道番組「ムーヴ」に対し、大阪の動物愛護団体の代表が「犬たちを救済する我々の活動が、あたかも募金目当てであるかのように放送され、名誉を毀損された」と申し立てたもので、2月の委員会で審理入りを決定した。

3月の委員会では、申立人から提出された「申立書」、広島ドッグパーク関連の「会計報告書」及び「反論書」と朝日放送から提出された「答弁書」を基に、コメンテーターの発言内容は適切かどうか、取材は十分に行われたのか等について実質的な審理を行った。

その結果、4月の委員会で「再答弁書」の提出を受けて、これまでの双方の主な主張を項目ごとに対比した形で整理してさらに検討を行い、5月の委員会でヒアリングを行う予定にしている。

「エステ店医師法違反事件報道」の審理

本件事案は、今年2月に東京都町田市のエステ店経営者が日本テレビを相手取って申し立てたもので、経営者は「私が医師法違反で送検されたニュースの中で、日本テレビは本事案に関係ない映像を使うなどして捏造放映した。また、盗撮映像を使って極悪人の如く報道され、個人の人格を否定され、プライバシーも侵害された」と訴えている。

これに対し、日本テレビは「本件報道は、以前に撮影されたという映像とは全く関係がない。また、報道内容は、医師法違反という重大な犯罪容疑に関する情報であって、公益を図るものであり、警察によって書類送検された事実を誤りなく伝えている」と反論している。

3月の委員会では、「反論書」や「再答弁書」など出揃った書類に加えて当該ニュースのVTRを視聴し、本事案の審理にあたった。

その結果、申立人・被申立人それぞれの言い分を確認するためにも次の4月の委員会に双方を招いてヒアリングを行い、その後「委員会決定」の作成を始めることになった。

審理要請案件について

1.山中湖村長からの苦情申立て

2月、山梨県山中湖村長から「東京キー局の報道番組において、取材・放映の客観性・中立性の欠如と捏造の疑いがある旨、局の番組審議会及び報道局長らに文書で申し入れたが誠意ある対応がなされない」との苦情申立があった。
問題にされたのは、山中湖村東部地区の洪水事業に関する一連の報道であったが、当該局では「十分な取材に基づく事実をありのままに放送したものであり、客観性・中立性に欠けているものではない」と主張していた。
放送人権委員会では、「申立書の記載事項から見て、本案件は、放送人権委員会の運営規則第5条に定める申立人又はその直接関係人の名誉、信用、プライバシー等の権利侵害に関する苦情に当らない」として審理の対象外と判断、その旨を村長あて文書で通知した。

2.静岡空港関連で県広報室長が苦情申立て

静岡県の広報室長が個人名で「キー局の報道情報番組で、コメンテーターの一人が『静岡空港を推進する知事を連続当選させる静岡県民はバカだ』という趣旨の発言をしたが、これは、静岡県民を公然と侮辱するものであり、県民の一人である自分の名誉が毀損された」と訴えてきた。
当該局では、「広報室長から『番組内での訂正・謝罪について知事から強い指示がある』との電話があったことからも、これは静岡県からの訴えと考える。また、そもそも番組では広報室長を特定した論評はしていないのであるから、不法行為としての名誉毀損又は侮辱は成立しない」との見解を示していた。
放送人権委員会では「申立人の提出した文書を検討すると、申立人は、静岡県庁の職員として県のための広報活動に携わっている者であって、本件申立ては、実質的に地方公共団体の申立てであり、本件放送により直接権利の侵害を受けた個人の申立てとは認められない」ということで委員全員の意見が一致、審理対象外の通知文書を送付した。

3.「出演セラピストからの訴え」

放送人権委員会では、3月委員会で北海道在住のルーマニア人でセラピストの女性から苦情申立があった上記事案について検討した結果、次回委員会から審理入りすることを決めた。
女性は、「2月にテレビ朝日のバラエティー番組に一家で出演したが、新聞のラ・テ欄に<バツイチ子連れ美女の・・・>等と、できるだけ公表して欲しくなかった家庭の事情が書かれ、また、放送内容が当初説明の趣旨と違っていた」と苦情を申し立ててきた。
これに対し、テレビ朝日は、「前夫との離婚について紹介することは、事前に了承してもらっていた。打合せ時からロケ、スタジオ収録時に番組内容と企画内容を十分に説明し、出演同意書にも署名をいただいている」と反論している。

苦情対応状況報告

2月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

◆人権関連の苦情[19件]

  • 斡旋・審理に関連する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・12件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・7件

その他

3月22日開催の2006年度BPO年次報告会と同日夕刻の記者会見で、「放送人権委員会運営規則の改正」について竹田委員長が公表・説明することになったと事務局から報告。

次回委員会は、4月17日(火)に、「エステ店医師法違反事件報道」事案のヒアリングを行うことにしたため、午後3時からの開会を決め、閉会した。

以上