第117回 – 2006年11月
「放送人権委員会運営規則」について
苦情対応状況報告…など
「放送人権委員会運営規則」について
設立10周年を来年に控え、放送人権委員会は、その運営規則の改正を検討してきたが、11月の委員会で改正検討小委員会から出された案をもとに慎重に協議を続けた。
現行の放送人権委員会運営規則には、10年間の運営の実情に照らし、必ずしもこれに適合しない規定が出てきており、また「公平・公正」の問題など、放送事業が今後直面するであろう諸問題に対応できる規則の整備が必要となってきている。
「改正運営規則」案は、さらに検討を重ね放送人権委員会での議決を経た後、BPO理事会の承認を得て施行されることになる。
苦情対応状況報告
11月委員会で下記の2件が放送人権委員会による「仲介・斡旋解決事案」として承認された。
1.「疑惑解明に後ろ向きと報道され名誉を傷つけられた」との市議会議員の訴え
9月、ある地方都市の保守系市議会議員が「地元局で放送されたニュース特集で、議員としての名誉を著しく傷つけられた。報道姿勢に問題があると思うので放送人権委員会で審理してもらいたい」と、文書で要請してきた。
このニュース特集は、「福祉と利権の構造」をテーマにしたもので、市の特別養護老人ホームをめぐる贈収賄事件を調査する百条委員会が「選定過程に問題はなかった」との結論を出したことを受け、市議会の不作為を糾弾する内容だった。
苦情を申し立ててきた市議会議員は、「百条委員会で疑惑解明に後ろ向きの言動を取り続けたように描かれた」と主張していたが、当該局では「報じたことはすべて事実であり、また本人に直接取材を申し込んだが拒否された。報道機関としての対応は十分にしている」と反論していた。
放送人権委員会事務局では「名誉を傷つけられたとの主張に具体性がなく、また間違った事実関係が報道されていないので、放送人権委員会への審理要請案件としては無理がある」ことを議員に説明、再考をうながしていたところ、間もなく「事務局の指摘を考慮し、苦情申立てを取り下げる」と伝えてきた。
2.「説明された企画意図とは違い、虚偽の内容を含む形で放送された」との映画製作者の抗議
10月、東京の映画製作会社の代表から「製作した映画の紹介をするという企画意図だったので取材に応じたが、放送では監督個人のことに終始し、虚偽の内容を含む捏造としか思えないものもあった。取材に来たテレビ制作会社に抗議したが、何の回答もない」と強い苦情が寄せられた。当該局に問い合わせたところ、「すぐに社内調査する。事実関係がわかり次第報告する」ということであった。
映画は、在日コリアンである監督自身の家族を10年にわたって追い続けたものだが、映画製作者側が最も問題にしていたのは、監督と朝鮮総連が対立的にあるように扱われたことだという。
しかしその後、映画製作会社の代表から「放送人権委員会の仲介で当該局の番組責任者とようやく会えて話し合うことができた。放送人権委員会から声をかけられて初めて局が動いたということになるが、相手の態度に誠意を感じたので穏便にことを納めようと思う」と伝えてきた。またその翌日、局からも「監督の在日コミュニティーの中での立場が悪くなったとするならば、申し訳ない」旨の当方の反省を理解してもらい、和解した」との報告があった。
人権等に関する苦情[9・10月]
2006年9月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり
◆人権関連の苦情(11件)
- 斡旋・審理に関連する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・7件
- 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・4件
2006年10月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。
◆人権関連の苦情(19件)
- 斡旋・審理に関連する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・16件
- 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・3件
近畿地区放送事業者と放送人権委員会委員との意見交換会
11月28日大阪で開かれる近畿地区放送事業者と放送人権委員会委員との意見交換会について、事務局から参加局、人数、スケジュールなどが報告され、テーマとして取り上げる議題等について話し合った。
その他
次回委員会を12月19日に開催することを決め、閉会した。
以上