放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第126回

第126回 – 2007年8月

「部落解放同盟大阪府連幹部からの訴え」事案の審理

「広島ドッグパーク関連報道」事案の総括…など

「部落解放同盟大阪府連幹部からの訴え」事案の審理

本事案は、部落解放同盟大阪府連書記長ら2人が「大阪市の民間福祉施設への補助金問題に関する毎日放送の報道は、特定の法人だけが補助金を受給してきたような誤解を視聴者に与える内容で、解放同盟やそのリーダーである個人の名誉権を著しく侵害している」と訴えているもの。

8月の委員会では、申立人から提出された「反論書」とそれに対する毎日放送からの「再答弁書」それに事務局でまとめた「論点対比」などを基に審理を行った。

この中では「当該番組で放送された部落解放同盟幹部の肩書きで、個人名が視聴者に特定されるか」「番組は、解放同盟関係の法人と償還金補助とのかかわりを伝えていて、法人幹部の個人を対象にしていないのではないか」「それなら肩書きを放送する理由はないのではないか」「肩書きによって個人が特定されるか否かは番組が放送された地域との相関関係で捉える必要がある」「大阪市側の手続きの遅れから2年分の補助金が一度に支給されたのを2倍支給されていたと表現した点は妥当だったか」「肩書きまで放送しながら直接取材しなかった点に問題はなかったか」等の意見が交わされた。

放送人権委員会では、更に審理を続ける一方、9月の委員会では申立人と被申立人をそれぞれ個別に招いてヒアリングを行うことを決めた。

「広島ドッグパーク関連報道」事案の総括

上記事案については、8月3日に「委員会決定」を通知・公表した。

8月委員会では、大阪市に出向いて申立人の動物愛護団体代表に「決定」内容を通知した模様を担当調査役から報告した。

また、「委員会決定」の放送対応では、在京キー局の5社が「決定」内容を伝え、新聞3社が翌日の朝刊で記事を掲載したことが報告された。

委員会では、この後、被申立人の朝日放送が「委員会決定」の主旨を伝えたニュースのVTRを視聴した。

「”グリーンピア南紀”再生事業の報道」事案の審理

本事案は、和歌山県那智勝浦町にある”グリーンピア南紀”の再生事業を請け負った香港ボアオのオーナーが「読売テレビの朝の報道番組(5月26日、6月2日放送)で事実と異なる報道がなされた結果、自分の名誉が著しく傷つけられ、また、取材・放送によりプライバシーが侵害された」と申し立てたもので、当該局は、「取材した事実と公的な資料に基づいて公正な報道をしており、名誉権を侵害していないし、プライバシーの侵害もしていない」と反論している。

8月委員会では、申立人から提出された「申立書」、「反論書」、被申立人から提出された「答弁書」、「再答弁書」に基づき、双方の主張を整理して審理を進めた。

次回9月委員会でも引き続き審理を進め、10月委員会で双方から直接事情を聞くヒアリングを行うことを決めた。

苦情概要

7月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次の通り。

◆人権関連の苦情[28件]

  • 審理・斡旋に関する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・12件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・16件

その他

放送人権委員会設立10周年記念イベントについて

1997年にスタートした放送人権委員会は、今年で設立10周年を迎えた。その記念イベント2件が8月の委員会で了承された。

1.「BPO放送法研究会」

総務省が放送法に行政処分条項を新設する動きを見せる一方、総務省の「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」が”放送・通信の法体系の一本化を目指すべき”との中間とりまとめを発表するなど、放送法を巡る動きが顕在化してきたことから、放送活動を包括的に規定している放送法の今日的諸問題を考察・論考していこうとBPOの各委員会の委員有志を核に企画したもので、第1回研究会を9月25日に千代田区紀尾井町の千代田放送会館で開くことになった。事務局としては1~2か月に1回程度の割合で講師を招くなどして研究会を開き、その成果を適当な時期に取りまとめて刊行物にすることなどを考えている。

2.「放送人権委員会フォーラム」

12月上旬を目途に「放送による人権侵害と放送倫理」(仮題)をテーマに、全国の放送局の考査・危機管理担当者や制作・報道担当者等300人を対象にフォーラムを開催する。基調講演とパネルディスカッションを予定していて、パネリストには放送人権委員会委員や放送局側の代表、ジャーナリスト等から人選する考え。

新委員の山田健太氏が初参加となる次回委員会を、9月18日に行うことを決めて、8月委員会は閉会した。

以上