放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第114回

第114回 – 2006年7月

「若手政治家志望者からの訴え」事案 最終審理

「民主党代表選挙の論評問題」事案 審理…など

「若手政治家志望者からの訴え」事案 最終審理

委員会では、本事案の「委員会決定(案)」について、最終的な文言の修正・手直しを行った後、全員一致でこれを了承した。「委員会決定」の申立人・被申立人双方に対する「通知」は7月26日午前と決まり、この後記者会見で「委員会決定」を「公表」することを決めた。

「民主党代表選挙の論評問題」事案 審理

本事案は、テレビ朝日が4月4日、5日の「報道ステーション」で、民主党代表選挙に関して報道した際に、「政治評論家によって、虚偽の事実を摘示され、著しく名誉を毀損された」と民主党の仙谷由人議員と枝野幸男議員が申立てていたもので、6月の委員会で審理入りが決定していた。

これまでに、申立人から、「申立書」の他に「反論書」、被申立人のテレビ朝日からは「答弁書」「再答弁書」等が提出されており、7月の委員会では、双方の論点を整理して本格的な審理を行なった。

申立人が「謀略的な内容を一方的に放送し、裏づけ取材なく虚偽の放送をした」などと主張しているのに対し、テレビ朝日は「真実ないし真実と信じるに足る相当な理由がある事実に基づいて論評を行なったものだ」と反論している。

放送人権委員会では、さらに審理を深めるため、8月の委員会に、申立人、被申立人の双方を招いて直接意見を聴取するヒアリングを行うことになった。

「放送における公平・公正について」意見交換

5月の委員会から始まった「放送における公平と公正」についての議論が7月の委員会で本格化し、審理対象の拡大につながる放送人権委員会の運営規則の見直し等については、小委員会を設けて具体的対応策を検討することになった。

今回の委員会では、まず竹田委員長が「これまで放送人権委員会は政党等の団体からの苦情申立てについては審理を断ってきたが、しかし否応なしに政治的関わりのある問題についても人権の観点から受け入れざるを得なくなってきているのではないか。これに対応して放送人権委員会の機能を拡充していくことができるのかどうか、委員会の運営規則から具体的に議論する必要がある」と述べた。

委員からは、「(現在は原則個人の苦情のみを審理対象にしているが)団体の苦情申立ても視野に入れてはどうか」「どういう団体の申立てを受け入れるのか、その線引きが難しい」「政党や宗教団体にはどう対応するのか」「申立人の資格をどう限定するのかが問題となろう」「放送人権委員会の目的は基本的には弱者救済であることに変わりはない」等の意見が出された。

放送人権委員会は、来年春に創立10周年を迎える。これを契機に「審理対象の間口を拡げる」という方向で議論がまとめられるかどうか、具体的には小委員会を設けて集中的に対応策を検討しようということになった。

苦情対応状況報告[6月]

2006年6月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情(36件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・14件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・22件

その他

次回委員会は、お盆のため、定例日より1週間ずらして8月22日(火)に、更に「民主党代表選挙の論評問題」事案のヒアリングを行うことにしたため、時間を繰り上げ午後2時半からの開会を決め、閉会した。

以上