放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第113回

第113回 – 2006年6月

「若手政治家志望者からの訴え」事案

「民主党代表選挙の論評問題」審理要請案件…など

「若手政治家志望者からの訴え」事案

本件事案は、若手政治家志望者から「日本テレビが05年11月に放送した報道番組で、我々が作った政党と個人の活動について、誤解を与える表現と作為的な編集等によって、名誉が傷つけられた」と申立てがあったもので、4月の委員会で審理入りを決めている。

5月の委員会で本格的な審理を行ったのに次いで、6月の委員会では、申立人・被申立人双方から個別に意見等を聴くヒアリングが行われた。出席した申立人・被申立人は、それぞれ50分余りに亘って意見を述べるとともに、委員の質問に答えた。ヒアリングの後審理に移り、右崎起草委員がまとめた素案を基に意見を交わした。

その結果、7月上旬に起草委員会を開いて起草委員会原案をまとめるなど、「委員会決定」策定に向けての作業を進めることになった。

「民主党代表選挙の論評問題」審理要請案件

5月24日、衆議院議員の仙谷由人・枝野幸男両氏から「4月4日および5日放送の民主党代表選挙に関するテレビ朝日の『報道ステーション』の報道によって、私たちは虚偽の事実を摘示され、著しく名誉を侵害された」との連名の苦情申立書が放送人権委員会に届いた。

申立人は、「民主党において代表選挙を行うこと自体が挙党態勢を崩すという構成のもとに、若手・中堅議員グループの後見人として仙谷氏がいて、小沢氏と対立している、などといったコメンテーターの論評はどのような事実に基づいているのか、申立人両名に対する取材もなく、諸点において報道は事実に反している」と訴えている。

これに対しテレビ朝日は、「民主党の代表選びの行方が視聴者の関心となっている中で、民主党内の勢力関係の現状と代表選挙の見通しを分かりやすく放送した。ゲストとして出演した政治ジャーナリストのコメントは、複数の情報源から取材した情報をもとに解説論評したもので、仙谷氏らが指摘するような虚偽の報道をして名誉を傷つけたものではないと考える」との見解を示している。

放送人権委員会では、苦情申立書とテレビ朝日から提出された経緯説明書等を慎重に検討、また当該番組のVTRを視聴したうえ、本案件を審理事案とすることを決め、次回委員会から本格的審理に入ることになった。

「秋田連続児童遺体発見事件」での要望

上記事件取材について、放送人権委員会が、5月25日に、地元・在京のテレビ・ラジオ放送各社に取材に当たっての「要望」を出し、集団的過熱取材を厳に慎むよう求めた。委員会では、この要望に対するメディア各社の対応や評価などについて話し合った。

そして、この種の要望は「桶川女子大生殺害事件」についで、2度目のことになるが、委員会では、今後もメディアスクラムによる被害者が出ないよう、タイムリーにしっかりと見守っていくことを確認しあった。

「バラエティー番組における人格権侵害の訴え」改善報告

標記事案の委員会決定(3月28日)を受けて、関西テレビから6月13日、「委員会決定後の対応と取組みについて」という文書が委員会宛に提出された。

報告内容は、決定の趣旨の社内各部署への周知徹底などの勧告後の対応と各種研修会の開催チェック体制の強化など再発防止に対する取組みからとなっている。

この報告書の提出を受けて、各委員からは放送人権委員会の委員会決定を受けた放送局に対する最近の総務省の動きを懸念する意見が相次いだ。

苦情対応状況報告[5月]

2006年5月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情(29件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・9件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・20件

その他

大木圭之介椙山女学園大学教授(前BPO専務理事)が、『月刊民放』6月号に掲載した「”装置”としての第三者機関に-10年目を迎える放送人権委員会」について意見交換した。

次回委員会は、7月18日(火)に開くことを決め、閉会した。

以上