放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第132回

第132回 – 2008年2月

「産廃不法投棄業者の隠し撮り報道」

審理要請事案「高裁判決報道の公平・公正問題」…など

「産廃不法投棄業者の隠し撮り報道」

福島県いわき市の木材加工会社の社長から、「07年12月5日、工場から出たオガクズなどの産業廃棄物を工場内敷地に不法に投棄していたとして逮捕されたが、その報道にあたり、事前に隠し撮りされていた自分の映像や音声を使われ人権を侵害された」とする申し立てがあった。

これに対し当該局の福島テレビは、「福島県では産業廃棄物の不法投棄が跡を絶たず、最近は企業ぐるみの犯行が増加傾向にある。今回の事件は企業トップの関与が指摘されたケースで、その実態を報道することは社会的要請も高いと判断した」として、「違法でも人権侵害でもない」と反論している。

放送人権委員会では、提出された「申立書」、及び局側からの「対応の経緯と見解」などの資料、局から提出された放送番組の同録DVDを視聴し検討した結果、本事案について審理に入ることを決めた。

この後、各委員から「隠し撮りの必要性はどの程度あったか」「業者の不法投棄の認識はどうだったのか」など意見が出され、次回3月の委員会で、申立人、被申立人をそれぞれ個別に招いてヒアリングを行うことを決めた。

審理要請事案「高裁判決報道の公平・公正問題」

1月25日、「戦争と女性への暴力」日本ネットワークの代表から 「07年1月29日放送のNHK報道番組 『ニュースウオッチ9 』 で、01年1月放送のETV2001シリーズ 『戦争をどう裁くか』 について東京高裁が判決を言い渡したニュースの中で『当事者としてのNHKの言い分』と『報道機関としての報道』を峻別せずに報道したことは,公平原則に照らして到底許されるものではない。また、公平原則を逸脱した部分は、正確な報道を行うという放送倫理にも違反していた」として、謝罪と訂正放送を求める申し立てがあった。

これに対しNHKは、「本件申立ては『裁判で係争中の事案』に該当し、放送人権委員会運営規則の定めからして、審理の対象にならないことは明らかである。また、判決についての原告側の見解を紹介しなかったとしても、必ずしも公平・公正を欠くというものではないし、放送倫理に違反するようなものではない」と反論している。

放送人権委員会では、申立人から提出された「申立書」、及びNHKからの「回答書」等の資料を慎重に検討し、さらに提出された同録テープを視聴した結果、「争われているのは『ニュースウオッチ9』であって、『裁判で係争中の事案』には該当しない」として、次回3月委員会から実質審理に入ることを決めた。

苦情概要

●人権等に関する苦情

1月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

◆人権関連の苦情[10件]

  • 審理・斡旋に関する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・6件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・4件

「BRC判断基準2008」の編集進捗状況

4月初旬発行の予定で、作業が進められており、右崎委員の監修の下、編集の整理・調整が行われていることが、事務局より報告された。

その他

新年度の委員会開催日について

4月からの新年度の委員会開催日について、各委員のスケジュールや都合等を聞いた結果、「原則、従来どおりの第3火曜日で、午後4時から開会」を申し合わせた。

関係者から事情を聞くヒアリング等が予定される場合は開会時間を早める他、4月の委員会は都合により1週間早めて4月8日開催となった。

次回委員会を3月18日に開くことを決め、閉会した。

以上