第131回 – 2008年1月
新たな申立て案件
判断基準・改訂版の編集進捗状況…など
新たな申立て案件
1月15日、東北地方の会社社長から事件報道に関して苦情の申立てがあった件について、事務局から報告。
申立人は、ニュース報道で、取材を拒否したにもかかわらず、隠しカメラで撮られた映像や音声が使用され 、権利を侵害されたと訴えている。
委員会では、当該局に事実関係と見解を問い合わせたうえ、次回委員会で本案件を審理事案とするか否 か協議することになった。
人権等に関する苦情
12月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。
● 人権関連の苦情[11件]
- 審理・斡旋に関する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・・・・・ 6件
- 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・・・・・ 5件
判断基準・改訂版の編集進捗状況
事務局から「判断基準2008」の編集作業の進捗状況について、中間報告を行った。「判断基準2005」発行以 来の約3年間に新たに決定が下された10事案の委員会判断からポイントとなる判断部分を抜き出して一覧 にした資料を提出した。政治報道の論評の自由、バラエティー番組における名誉毀損、ラ・テ欄表記の適切 な表現などが新しい判断基準として追加される。
「放送人権委員会判断基準2008」は、1997年の放送人権委員会発足以来の11年間に下された26事案35件の決定で打ち出された 判断を総まとめしたものとなり、取材・編集・放送などのカテゴリー別に分類・整理された判断基準は、あわせ て90項目ほどになると見られる。4月を目途に発刊の予定。
放送人権委員会の運営等について意見交換
委員会運営の問題点や新年度に向けての課題等について意見交換を行った。
まず、事務局から次のような現状と運営上の問題点を提示した。
- 放送人権委員会が設立されて10年経つが、BPOと放送人権委員会の関係も多くの人は理解していないと思われる。放送人権委員会という名称が分かりづらいという声もある。
- 委員会決定における人格権侵害に関わる法律的な判断基準は明確でも、放送倫理上の問題に対する判断基準はわかり難いという意見もある。
- 書面提出を中心とした現在の苦情申立て審理の手続きは、弁護士など代理人を立てない個人の申立人には難しすぎる面がある。
これに対し委員からは、1の現状については
・「たとえば”映倫”の名前は、何をしているかはよく解らなくても、すぐ覚えられるが<放送と人権等権利に関する委員会>では、なかなか覚えられない。放送人権委員会というアルファベットの略称もなんとかならないか」等の意見が出た。
また2の問題については
・「名誉侵害は”救済の論理”であり、放送倫理は”放送のあり方”の問題である。救済の論理と放送のあり方は次元を異にするが、我々はその両方にまたがって議論している。
・「裁判所は権利侵害で終わり。放送人権委員会にもほとんどの人が権利救済を求めてくるが、我々は放送のあり方としてどうかということも考え、局に言うべきことは言わなければならない」等の考えが示された。
さらに3については
・「放送人権委員会の敷居が高いのではないかという問題には、できるだけ苦情申立ての手続きを簡単にするべきではないか」等の考えが出された。
今後も、引き続いて放送人権委員会の運営上改善すべきところ等について議論を続けることになった。
次回委員会を、2月19日に開くことを決め、閉会した。
以上