放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会 議事概要

第39回

第39回 – 2010年6月

農水大臣が外遊中にゴルフをしていたと誤報したTBSの『みのもんたの朝ズバッ!』およびニュースとフジテレビの『とくダネ!』

委員会の意思表明の方法について…など

TBSとフジテレビの複数の番組で放送された、農水大臣の外遊先におけるゴルフ報道が誤報であった事案について討議した。その結果、TBSについては、取材からお詫び放送までの経緯に明確でない部分があるので、当該局に質問書を出し、回答を得た上でどう扱うかを決めることとした。 委員会で審理・審議した内容は、記者発表やBPO報告で公表しているが、審理や審議に至らなかった議論の内容が、制作現場に伝わりにくいという現状について、どう改善すべきかを検討した。 事務局からは、昨年秋に続く2回目のBPO事例研究会を、8月3日に開催することを報告した。

議事の詳細

日時
2010年6月11日(金) 午後5時~8時15分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
川端委員長、小町谷代行、吉岡代行、石井委員、香山委員、是枝委員、立花委員、服部委員、水島委員

農水大臣が外遊中にゴルフをしていたと誤報したTBSの『みのもんたの朝ズバッ!』およびニュースとフジテレビの『とくダネ!』

TBSは『朝ズバッ!』(5月20日放送)およびその他のニュース枠で、複数の民主党幹部からの証言をもとに、口蹄疫発生後に中南米に外遊した当時の農水大臣が外遊先でゴルフをしたと報じた。
しかし、農水大臣が抗議し、取材した民主党幹部も証言を翻したことから誤報であることが判明したとして、当日昼前のニュース等でお詫び放送をした事案。当該局は自主的に原因究明を行い、裏付け取材が不十分だったことや局内のチェックのミスを認めて、既に社内処分も発表している。委員会はそうした当該局の自主的な対応を理解しつつも、誤報に至った事実関係に明確でない部分があるので、当該局に対して質問書を出し、その回答を待って取り扱いを決めることとした。
フジテレビの『とくダネ!』は、TBSの報道をキャスターが引用しただけであり、お詫びもしているので取り上げないことにした。

【委員の主な意見】

  • 報道は当初、口蹄疫の問題がありながら長期間日本を留守にしたことが問題という伝え方だったが、2回3回と報道を重ねるに従って、外遊先でゴルフをしたことに重点が移っていった。ゴルフの方が責めやすいからなのか。
  • コメントでは「ゴルフをしたという民主党幹部の発言から生じた疑惑」を伝えているのに、テロップでは「農水大臣ゴルフ」と断定し、齟齬をきたしている。ファクトではなくクオート(引用)だというなら、徹底してそう表示すべきだ。
  • 記者の問いかけに対して、大臣が当初は否定せず無言であったことを、取材者側は肯定の根拠と判断したということだが、手前勝手な解釈だ。
  • 「言論の自由」の中には誤報も含まれ、それは常に起こり得ることだ。間違いが起こった場合、原因を調べ、どう対応したかが問題になる。このケースで、TBSはそれなりに対応しているし、大きな問題ではないと思う。
  • 民主党の複数の幹部の発言として「こんな時期に外遊するのはケシカラン」「その際ゴルフをした」、と報じたのは取材不足とはいえない。しかし、ゴルフについて本人が否定し、民主党の幹部も自らの発言から逃げたので、結果としてファクトではなかった。
  • TBSの取材について、どのような裏づけがあって、あのような放送になったのかは、時間軸に沿ったきちんとした説明がないと正確なことがわからない。
  • 今回のケースは、クオートのときにどういう報道の仕方なら許されるのか、本人が否定したときにどのように対応するかという問題だ。
  • お詫び放送は、TBS側の問題点に関しては頬被りして、民主党幹部が発言を変えたことに原因があると逃げているように感じる。
  • TBSは取材が不十分であったことはお詫びしているが、肝心のゴルフをしたかどうかについては触れていない。フジテレビのキャスターは農水大臣には謝るが視聴者に向いていない。

委員会の意思表明の方法について

委員会の決定内容を、放送局の一部だけの人ではなく、主に、実際に制作現場で働いている人たちに広く知ってもらうためにはどうすべきかについて検討した。審理や審議に入った事案は、決定内容を記者発表し、「BPO報告」やホームページにも詳細に掲載しているが、審理や審議に至らなかった議論の内容は、制作現場に伝わりにくいという指摘がある。今後、事案の内容に適した公表の方法を事案ごとに検討し、改善に努めることになった。

連絡事項

昨年秋から始めたBPO主催の2回目の事例研究会を、8月3日に開催することにした。検証委員会関係のテーマは、TBSのブラックノート詐欺事件報道を踏まえた「委託制作における放送局の責任~取材・報道のあり方をめぐって」で、服部委員が参加・報告する。

以上