青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第110回

第110回 – 2010年3月

日本テレビ『左目探偵EYE』2月13日放送分の局からの回答について

フジテレビ『はねるのトびら』について …など

3月23日に開催した第110回青少年委員会では、日本テレビ『左目探偵EYE』の回答について審議した。また、2月16日から3月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見をもとに、ドラマ1番組について視聴の上審議した他、3月度の中学生モニター報告について、担当委員からの報告及び審議が行われた。

議事の詳細

日時
2010年 3月23日(火) 午後4時30分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

日本テレビ『左目探偵EYE』2月13日放送分の局からの回答について

審議内容については前回の議事概要を参照。

【青少年委員会からの「回答のお願い」】

(1)全体的に暴力的シーンが数多く見られる上、劇中で歌われる歌詞が扇情的なものになっていると感じますが、その意図についてお聞かせください。
(2)番組制作において台本段階及び編集段階等でのチェック体制についてお聞かせください。
(3)番組の主役の人気アイドルは中学生という設定で、多くの子ども達が視聴対象になっていると思いますが、子ども達への影響についてはいかが認識されていますか。
(4)民放連放送基準では、9章で暴力表現について規定しています。特に65条の留意点に照らして、当該番組の放送表現についてのお考えをお聞かせください。

【日本テレビからの回答】

(1)について
『左目探偵EYE』は許されざる人間の「悪」を問うべく、様々な局面に毅然と立ち向かう主人公の姿を描く連続ドラマです。主人公は、「悪」に端を発する犯罪を憎み、必死に犯罪の実行を食い止めようとします。第4話は、事件の首謀者である犯罪プランナー(主人公の兄)が、売れないロックバンドの弱い心を利用して犯罪を予言する歌を歌わせ、その予言通り、ライブ会場で暴動事件が起こるというものでした。主人公の中学生、田中愛之助は、危険を顧みずライブ会場へと潜入し、身体を張って友人を助け、この暴動事件の実行を阻止するというストーリーです。本作では、犯罪の「恐ろしさ」、暴力の「恐ろしさ」と、それを憎み、それに対して立ち向かっていく主人公の「勇気」、悪の犯罪から友人らの命を守りきる主人公の「活躍」を主軸に描きました。
(2)について
台本は制作した段階で責任者であるチーフプロデューサーなど番組制作サイドで確認し、考査をはじめとする社内各所でチェックを行い撮影に進みます。撮影現場や編集・仕上げ現場には番組担当プロデューサーが立会います。その後社内試写を行い、サブミリナルチェック等を経て放送します。
(3)について
このドラマを見て、犯罪の「恐ろしさ」を理解するとともに、どんな困難にも挫けずに挑む主人公の姿を通して、「正義」や「勇気」を感じ取ってもらえたらと考えております。
(4)について
犯罪の「恐ろしさ」など放送の意図を伝えるため、暴力や殺人行為の表現は避けません。しかし、子どもの視聴を認識し、表現への配慮を行います。
例えば鮮血はグロテスクにならないように映像の構図や質感に工夫をし、暴力シーンでは必要が無い限り傷などをリアルに表現しすぎないように配慮しています。また、暴力や殺人シーンによって犯罪の恐ろしさを伝えるとともに、主人公がその犯罪を憎み、「人を傷つけるのはやめろ」と発言し、犯罪という人間の行為が如何にいけないことか、許されるものではないことかを強調するように構成しています。『左目探偵EYE』第4話においても、集団暴動を起こす犯罪プランナーの「悪」「恐ろしさ」を表現しながらも、それを「許せない」とする主人公の「勇気」や「正義」、友達を救うために必死に頑張る姿にドラマの主眼を置きました。さらに3月13日の最終回では、哀しみや孤独が憎悪等「負」の感情を生むことがあっても、それを理由に他者を傷つけて良いことにはならないと主人公に強く訴えさせてドラマを締めくくりました。しかしながら、「恐ろしさ」等の表現において、不快感や懸念を抱かれた視聴者がおられた事実は認識致しました。制作者の意図が視聴者の皆様に十分伝えきれなかったとすれば遺憾なことであります。今後も視聴者の皆様のご意見を活かしながらより良いドラマ作りに努めてまいります。

【「回答」に対する委員会の対応】

(1)(2)について、再質問書を送付しさらに説明を受けた上で、審議を行うこととした。

フジテレビ『はねるのトびら』について

当該番組の罰ゲームで、大量の水を飲む行為の危険性について前回委員会で審議し、意見を述べたことについて、局から番組の趣旨及び経緯の報告書が送付された。審議内容については前回の議事概要を参照。

【報告書】

この度、弊社制作のバラエティ番組『はねるのトびら』の1コーナー「しりたしキャバクラ」内で行っている”水を飲むゲーム”(オチ)に関して、その発想の原点および過程と、実際の安全性について、下記の通り、ご報告申し上げます。

  • 発想の原点
    「しりたしキャバクラ」コーナーでゲーム(オチ)を考える上で、私どもが最優先課題に置いたのが”これまでに無い、史上最も危くないゲーム”というものでした。その大前提の中で、キャバクラという設定も踏まえつつ熟考した末、”酔いを醒ますために水を飲む”という内容を考えたわけです。
  • 安全性
    “水を飲む”という行為は、基本的には極めて安全なものですが、唯一考えられる可能性として、「水中毒」というものが存在します。「水中毒」とは、体内の水分が過剰となり、低ナトリウム血症(体内血液中の塩分濃度が低下し、塩分のバランスが崩れる)を引き起こすものです。症状が進むと、精神錯乱、頭痛、痙攣、昏睡状態に陥ることがあるそうです。過去の事例では、アメリカの女性が水を大量に飲む大会に出場し、一気に約8リットルの水を飲みきり、その結果死亡したというのがあるらしく、BPOに寄せられた『水を飲み過ぎると危険だ』という指摘の背景には、このニュースの存在が考えられます。ちなみに、当該コーナーでは、1回のゲームにつき、ミスを犯したプレイヤーが飲むのは400ミリリットルの水を1杯飲むことになっており、しりたしゲーム自体は5回程度行うので、仮に全部飲むことになっても(企画の特性上、その可能性も極めて低いです
    が)、せいぜい2リットル強の水の摂取となります。この2リットル強という水の量に関しては複数の専門医に相談したところ「一般的には10リットル~15リットルの水を一度に飲むと、水中毒の危険性があると言われており、2~3リットルの水を摂取したぐらいでは水中毒になることは到底考えられない。」との見解を頂きました。(「あくまでも個人差があるため、上記のアメリカの事例のように8リットルで死亡するというケースがまれに起こるかもしれないが、とはいえさすがに2~3リットルではその可能性はゼロに等しい。」とのことです)
  • まとめ
    上記の通り、私どもは万全を期して番組制作に臨んでおりますが、今回の件は、海外のしかも『水を飲んで死亡した』という珍しいニュースが、『約8リットルの水』という一番肝心な量の情報が抜けたまま、人々の記憶に残ってしまっていたことが招いたある種の誤解だ、と考えております。今後につきましては、放送中に「マネをしないように云々…」のテロップ等でいたずらに視聴者の不安を煽るようなことはせず、また「水中毒」についての説明をわざわざ入れたりせず、しばらくは事態を静観する形で、当該コーナーならびに水を飲むゲームを続けていきたい、と考えております。

【報告書に対する委員の主な意見】

  • 子どもがまねしやすいゲームになっており、子どもにはストッパーがかからない可能性が高い。ほんの少しでも死のリスクがあるならやめるべき。
  • このコーナーに危険性や不快感は感じなかった。果たして子どもがまねをするだろうか。
  • テロップで注意喚起をすればすべて済むわけではないし、確かにテロップが逆効果を生むこともあるので、局の説明も理解できる。

以上審議の結果、上記委員の主な意見をBPO報告及びホームページに掲載することとした。

視聴者意見について

テレビ東京『マジすか学園』
「深夜とはいえ血みどろの暴力シーンの連続」「人気アイドルが出演する学校を舞台にしたドラマで、若年層もたくさん見ており、子どもたちに悪影響を与える」という批判意見が多く寄せられ、番組を視聴の上審議し、委員からは以下の意見が出された。

【委員の主な意見】

  • リンチや暴力シーンだけが突出して多く、暴力を憎む気持ちが湧くというより、いたずらに恐怖や不安を煽るだけのように感じられる。
  • 全体的に残酷で恐怖を煽るシーンが多い。深夜の放送とはいえ、青少年に非常に人気のあるアイドルグループ「AKB48」を起用しており、録画視聴などを考えると、青少年への影響を憂慮する。
  • カルト風の作りで、最初から最後まで血だらけで何をテーマに何をいいたいのか理解できない。
  • 真似をする者がたくさん出るとは思わないが、文化的には理解できないし、公共のメディアを使って流す番組とは思えない。
  • 「青少年への配慮」や「暴力表現」などについて定めた民放連の放送基準をどう認識しているのか。

以上の意見を踏まえ、委員会としては番組内容に関する局の考えについて回答を求めることとした。「局からの回答」を受けて次回委員会で審議する。

中学生モニター報告について

3月のモニター報告は2009年度後期モニターの最後のレポートで、テーマは半年間中学生モニターを担当してみて「今、テレビについて一番考えること、要望すること」について、28人から報告が寄せられた。

【主なモニター意見】

今回の大きな特徴は、個別の番組に対する意見よりも、現在の放送局に対して”作ってほしい放送”、もしくは”あってほしい制作者像”などについての意見が数多く寄せられたことである。
まず「作ってほしい放送」では、”もっと笑えるバラエティーを”という意見が5件、”人を傷つけない放送を”という要望が2件寄せられた。そのほか”視聴者が参加できる放送”、”視聴者の意見を反映させた番組を”という意見や、”日本をもっと知りたい”“ニュースやドキュメンタリーを拡充してほしい”という声もあった。
次に、放送局に対する要望としては、”品格のある信頼される放送局に”という意見や、”各局のオリジナリティーを生かした番組作りを”、”もっと自由にチャレンジしてほしい”という声や、食事時間などを考慮して”時間帯を考えた編成を”という声が寄せられた。
3年生女子からの報告。「モニターをすることで、今までよりいろいろなことを考えながら、テレビを見たような気がします。そして今思うのは、”番組の制作者は本気でこれを面白いと思って自信を持って作っているのか”ということです。例えば、バラエティーならすべてのコーナーを、”自信を持って見てほしいと思っているのか、すべてのシーンを見逃さないでほしいと思っているのか”、と疑問に思ったりします」。
2年生女子の意見。「私が今いちばんテレビに要望することは、同じ時間帯に他局と同じようなクイズ番組やバラエティー番組、同じような人たちが出ている番組をやめてほしいことです。今、テレビをつけても似たようなものばかりで、見る気が失せてしまいます。どの局も、他局の”パクリ番組”をやるのではなくて、自分たちの局の特徴をそれぞれアピールしてほしいと思います」。
3年生女子の意見。「最近のテレビには面白い番組が少なくなってきていると思います。なぜなら、家族でテレビを見ているとき、見たい番組があまりないからです。だから、リモコンでチャンネルを変えるときは、『これが一番マシやない?』というふうに番組を選ぶことになります。具体的にいうと、水曜日の午後の7時から8時あたりは、全くといっていいほどいい番組がありません。ですから、この時間帯に新番組ができるとみんなその番組を見るようになるのではないでしょうか?」。
1年生男子の意見。「今、テレビについていちばん要望することは、面白くて笑える番組を作ってほしいということです。それと、むだにセットにお金をかけるのはもったいないから、面白い人を呼ぶためなどに使ってほしいと思います。また、スポーツをテーマにしたバラエティー番組も作ってほしいです。理由はなんといっても、子どもから大人まで、幅広い世代の人たちから親しまれる方がいいからです。それと、『めちゃ2イケてるッ!』みたいにちょっと度が過ぎているかも知れないけれど、そういう番組もあっていいと思います。もしバラエティー番組の罰ゲームなどが、安全面だけを考えてやってしまうと、視聴者からみると面白くないし、芸人なら芸人らしく体を張ってやってもらいたいからです」。
3年生女子の意見。「最近の放送は、あまりに規制が多すぎて自由な番組が減っていると思います。以前のレポートで、『8時だョ!全員集合』の話が出ましたが、その番組は結構下品なシーンが多く、親が見せたくない番組のひとつだったと思います。でもその番組は、当時子どもだった今の大人たちの心に残っています。来週が待ち遠しく、安心して、クラスのみんなとの話題にできる番組だったからでしょう。『親が子どもに見せたくない番組ランキング』の上位に入っている番組はだいたい下品な笑いを誘うものが多いので、それを大人が見せたくないと思う気持ちも分からなくはありません。しかし、子どもからすれば『なんで勝手にそんなものを決めるんだ』と少なからず思うでしょうし、私もそう思います。大人たちにすれば、子どもは外部からの情報をすぐに吸収するので、それを防ぐために必要のない情報や悪影響を与える番組を見せたくない、と思うのでしょう。ですが、やはり納得できません。自分が『これは正しい、よいものだ、知りたい』と思うものを、子どもは選んではいけないのでしょうか?」。

【委員の所感】

  • 今期の中学生モニターの皆さんは、毎回、知りたいことをかなり具体的に指摘して意見を書いてくれ、意見も具体的で、読み手にとっても、とても分かりやすく読み応えがあった。
  • モニターの多くは、最近の番組は視聴者のことをあまり考えていないと感じていること、もっと幅広い番組を見たいと考えていること、視聴者参加型の番組を期待していることなどが読み取れた。
  • あるモニターからは、番組作りに規制が多すぎて「自由な番組」が減っているのではないかという指摘があり、多くの番組の中から大人に押し付けられないで、自分で自由に選んで視聴しているという意見も付け加えられていた。「中学生をバカにしないで。良いものと悪いものの違いは自分で決められる」という心意気が強く感じられ、頼もしかった。
  • 制作者が、自分の感覚だけで番組を制作し、受け手である視聴者の意思や気持ちを無視して番組を垂れ流していては、いずれテレビが廃れてしまうのではないと危惧する。

2010年度「中高生モニター」募集について

2010年度「中高生モニター」には、中学生と高校生あわせて241人の応募があり、その中から34人を選出してモニターを委嘱した。任期はこれまでの半年から1年に変更、毎月のモニター報告も3~4か月単位で「バラエティー・クイズ、音楽」、「情報・報道、ドキュメンタリー」、「ドラマ・アニメ」とジャンルを決めて取り上げ、報告をしてもらう。

その他

4月から新たにホームページ上に開設する「青少年へのおすすめ番組」ページについて、事務局より報告があり了承された。