放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第158回

第158回 – 2010年2月

「拉致被害者家族からの訴え」事案の審理

「旅館再生リポート・女将の訴え」事案の審理 ……など

「拉致被害者家族からの訴え」事案の「委員会決定」修正案について審理した。「旅館再生リポート・女将の訴え」事案の 審理が行われ、本事案の和解に向けた動きについて堀野委員長より報告があり了承された。「上田・隣人トラブル殺人事件報道」事案の本格的な審理は次回以降に持ち越された。

議事の詳細

日時
2010年 2月16日(火) 午後4時~8時15分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、大石委員、小山委員、坂井委員、武田委員、田中委員、山田委員

「拉致被害者家族からの訴え」事案の審理

前回の委員会審理を受けて起草委員が手直しした「委員会決定」修正案が、2月11日の第2回起草委員会での検討を経てこの日の委員会に提出された。
委員会では時間をかけて詳細な検討が行われた。この結果、修正案は基本的に了承され、一部表現の手直しをしたうえで持ち回り委員会により最終了承される見通しとなった。また、委員のひとりが補足意見を書くことになった。
本事案は2009年4月24日深夜のテレビ朝日『朝まで生テレビ!』において、番組司会者でジャーナリストの田原総一朗氏が拉致被害者の横田めぐみさんと有本恵子さんの名前を挙げ「生きていないことは外務省も分っている」などと発言し、「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」から「最も重大な人権侵害」との申立てがあったもの。

「旅館再生リポート・女将の訴え」事案の審理

本事案は2009年7月17日のフジテレビ「FNNスーパーニュース」の放送内容をめぐって、宮城県の温泉旅館の女将が申し立てたもの。
同年11月に審理入りし本年1月までヒアリングを含め3回の審理を行ったが、堀野委員長は、本件事案は人権侵害を訴えるものでなく 放送上の表現や編集の仕方が問題になっていた事案である ことから、和解による解決が望ましいとして今月の委員会に提案し了承を得た。これによって、本件は委員会の和解斡旋で解決する運びになった。
放送は不況下での旅館の女将さんたちの奮闘ぶりを紹介したものだが、申立人は、放送内容は売り上げが伸びない旅館という負のイメージを視聴者に与え、温泉街も暗いシーンばかりが編集されるなど事実に反するものだったとして、謝罪などを求めてきた。これに対してフジテレビは、「当番組はニュース・報道番組であり、取材に基く事実を伝えたものです」と主張してきた。
(2月18日に申立人と被申立人の間で和解の手続きがとられ、本件は解決した。詳しくは仲介・斡旋解決事案の項をご参照ください)

「上田・隣人トラブル殺人事件報道」事案の審理

テレビ朝日が2008年12月23日の『報道ステーション』で、「特集 身近に潜む境界トラブルの悲劇・住宅地の惨劇はなぜ起きた」を放送したのに対し、被害者遺族から、放送内容が事実に反し、亡くなった両親への敬愛追慕の情を侵害され、申立人自身の名誉も毀損されたと申立てがあった。
昨年12月の委員会で審理入りを決定、今月の委員会では他の事案との関係もあって、申立人から提出された「申立書」および「反論書」、被申立人から出された「答弁書」および「再答弁書」等の書面についての説明にとどめた。
次回の委員会以降、本格的な審理を行う予定である。

1月の苦情概要

1月中に BPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・・・・0件
    (個人又は直接の関係人からの要請
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・・・・39件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

その他

  • 放送法の研究を目的として2007年9月にスタートしたBPO放送法研究会での討議の成果が、このほど『放送法と表現の自由~BPO放送法研究会報告書』としてまとまった。事務局より報告した。
    なお、同研究会は所期の目的を果たし既に解散している。
  • 次回委員会は3 月16 日(火)に開かれることになった。

以上