青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第104回

第104回 – 2009年9月

視聴者意見について

中学生モニターについて

9月29日に開催した今年度第5回青少年委員会(通算104回)では、7月16日~9月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、情報系2番組とバラエティー1番組を視聴したほか、子ども向けの1番組について審議した。中学生モニター報告の審議のほか、8月に開催された「中学生モニター会議」及び2009年度後期の中学生モニターの決定等について事務局から報告があった。

議事の詳細

日時
2009年9月29日(火) 午後4時30分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

1.読売テレビ『情報ライブミヤネ屋』

「薬物の恐怖」を喚起するコーナー内で”あぶり”といわれる吸引方法を放送したことについて、「夏休みの子どもが見ている時に、興味を持たせる放送は問題」といった意見が寄せられ、番組を事前視聴の上審議し、委員からは以下の意見が出された。

<委員の主な意見>

  • できるだけ多様な視点からわかりやすく報道しようとの現場の意気込みについては理解できる。
  • 犯罪の種類によっては、手口を示すことで抑止効果があるケースもあるが、薬物の吸引方法を放送する意味はない。
  • どういう文脈で行われたかが大事。その怖さ、深刻さを示すために必要なシーンであれば問題はないが、唐突であれば興味本位と思われても仕方ない。
  • 事件のキーワードとなった”あぶり”について知らせることも報道の役割。

上記のように審議では意見が分かれた。委員会としては、放送局各社に改めて民放連放送基準67条「犯罪の手口を表現する時は、模倣の気持ちを起こさせないように注意する」及び69条「麻薬や覚せい剤などを使用する場面は控え目にし、魅力的に取り扱ってはならない」の趣旨を踏まえて番組制作にあたるよう、「BPO報告」及びホームページに記載することとした。

2.TBS『アッコにおまかせ!』

薬物事件で逮捕・起訴されたタレントの家族の顔写真が画面処理されずに放送されたことについて「子どもの人権を侵害する」といった意見が寄せられ、番組を事前視聴の上審議し、委員からは以下の意見が出された。

<委員の主な意見>

  • 電波の影響力を考えるとあってはならないことであり、家族に対する重大な人権侵害だ。
  • 番組制作に対するスタッフ全体の緊張感があるのか疑問。制作にあたっては、人権に対して極めて慎重であるべき。
  • 放送素材の作成の段階で二重三重のチェック体制があってしかるべきであり、その体制はどうなっていたのか。

以上の意見を踏まえ、委員会としては放送に至った経緯及び制作体制等について回答を求めることになった。上記番組の「局からの回答」については、次回委員会で審議する。

3.フジテレビ『はねるのトびら』

レギュラー出演者の2人のうちどちらが人気がないかを、選挙開票番組形式で放送したことについて、「公開いじめ」「子どもが真似する」等の批判意見が寄せられ、番組を事前視聴の上審議し、委員からは以下の意見が出された。

<委員の主な意見>

  • 特に青少年に悪い影響を与える内容ではないが、47対0という結末は笑うに笑えない部分があった。
  • 番組はある種のパロディー的な作りで、いじめ助長に結びつく内容ではなかった。
  • 最下位になったタレントがもう少しうまく受けてくれたら、視聴者の意見も違ったものになったのでは。

上記審議の結果、委員会として特に問題にする内容ではないと判断した。

4.テレビ朝日『仮面ライダーディケイド』

このシリーズ最終回の放送で、番組の終わりで新たな戦いが始まるが、「続きは12月公開の映画で」という字幕が流れて終わったことについて、「子どもに対する裏切りである」等の批判意見が寄せられたことについて審議し、委員からは以下の意見が出された。

<委員の主な意見>

  • 放送モラルの問題であり、視聴者の信頼を裏切る手法は、テレビの自殺行為とも言える。
  • 本編だと思って見ている子ども達にとって、それが映画の宣伝であり、劇場に足を運ばなければ見られないと分かった時の落胆は大きい。

以上の意見を踏まえ、委員会としては番組制作手法及び視聴者の意見への見解等について回答を求めることになった。上記番組の「局からの回答」については、次回委員会で審議する。

5.一連の薬物事犯報道について

一連の薬物事犯報道について、BPOに多くの意見が寄せられていること及び「青少年の薬物汚染」については、現代の深刻な社会問題であることに鑑み、次回以降の委員会で引き続き多角的に検討することとした。

中学生モニター報告

9月のモニター報告は、中学生モニターを半年間担当して、現在のテレビにどんな感想を持ったか、こんな注文を出したい、こんなところを変えてほしい・やめてほしい、将来こんな番組を作ってほしいなど、率直な意見を書いてもらった。その結果、2009年度前期の担当者の31人中30人から報告が寄せられた。
今回の特徴は、個別の番組についての意見もあったが、全体的に現在の放送に満足していない様子や、現状を変えてほしいという率直で鋭い意見や感想が多く寄せられ、読み応えのある内容になっていた。

【担当委員の所感】

委員会では、8月・9月の「中学生モニター報告」担当委員が、全体的な感想を述べた。 「9月で中学生モニター前期の半年間(1年間のモニターもいるが)が終わり、毎月、意見を送ってくださってありがとう。最初の頃は何となく散漫な意見が多かったが、次第に書くことやモニターという役割に慣れてきて、いろいろ率直な意見が出てくるようになって、おもしろく読ませていただいた」とねぎらいの言葉を述べたい。
特に、モニターを担当する以前と以後では、テレビの見方が変わった、意見を書くために集中してテレビを見るようになった、面白くないものは面白くない、クイズやバラエティー番組が増えて出演者だけで盛り上がっていてつまらないなど、多くのモニターがテレビを批判的に見る目を持つようになったことが印象的だった。
「私の意見が番組の改編に役立ったかも知れない」と書いてきたモニターがあったが、中学生の率直な声が制作者にしっかりと届いてほしいと考え、青少年委員も子どもたちの声がもっと番組制作に反映される方法はないか真剣に考えていきたい。
他の委員からは以下の意見が出された。

  • ひとりのモニターからの「言葉も音楽みたいなものだから、気持ちよく聴きたいので、乱暴で汚い言葉遣いをやめてほしい」との意見に感動した。中学生たちが真剣にテレビと向き合ってくれたことに感謝したい。
  • 奇をてらったり、自分だけが面白い、数字が取れると考えたりしている番組は、総じて制作者の自己満足にすぎない。中学生が考えていることの方がオーソドックスでまともなことなのだから、その感覚を失わないで欲しい。
  • 中学生モニターの声をもっと制作現場に反映させられるような工夫を、今後もいっそう続けていかなければならない。

【全体集計】

テレビの現状について数多く寄せられた意見は、クイズ番組やバラエティー番組が多すぎること、出演している芸能人たちだけで盛り上がって視聴者の気持ちを考えていないこと、言葉遣いが悪かったり下ネタが多すぎたり、うるさいことなどへの批判の声である。
更に、子どもたちに人気のあった『学校へ行こう!』などの視聴者参加型の番組が減ってしまったことに対する不満、人気グループの嵐が出演している番組について「改編されてから主旨が分からなくなった」という声、また「2世タレントにこびている」「食べ物を粗末にしないでほしい」「食事時などの時間帯を考えた内容や発言をしてほしい」という意見もあった。
ドラマ番組では「内容に現実感がない」「アニメなどの焼き直しが多くてつまらない」 という声や、「学校でテレビよりゲームの方が話題になることが多い」という意見もあった。また、15分間、枠を拡大した『ブザー・ビート』や『オルトロスの犬』の最終回に対しては、「CM明けの繰り返しが多い」「時間内に編集する努力をしてほしい」という注文も寄せられた。
報道番組については、放送倫理違反が指摘された『真相報道バンキシャ!』など安易な報道番組制作への批判、芸能人の薬物スキャンダル報道に見られた「情報番組という名ののぞき見主義への批判」や、通販番組が多すぎるので「放送を休止したら」という厳しい声も寄せられた。
次に、将来作ってほしい番組の要望では、『学校へ行こう!』のような中学生や高校生が主役の番組、『サプライズ』『ナニコレ珍百景』『鶴瓶の家族に乾杯』など各地の視聴者が参加できる番組、『世界一受けたい授業』や『飛び出せ!科学くん』などの勉強に役立つ番組などをもっと増やしてほしいという意見や、小・中学生向けのまじめな番組や家族で楽しめる番組、さらにスポーツ番組や人気漫画の映像化作品なども作ってほしいという要望が寄せられた。 また、6月のモニター報告で『週刊!健康カレンダー カラダのキモチ』が改編されてつまらなくなったと書いたが、そのモニター報告がテレビ局に通じたかどうか、再改編されてからは面白さを取り戻したという意見のほか、『パフォー!』や『今夜も生でさだまさし』などの番組をもっと早い時間に放送してほしいという声もあった。
ラジオ番組についても2人から意見が寄せられ、『安住紳一郎の日曜天国』などパーソナリティーとリスナーの関係が身近で、「聴いていて飽きない」「生きる糧になる」「テレビより参加しやすい」という率直な感想が寄せられた。
全体に共通している意見は、中学生が楽しいと思える番組が少ないので、ぜひ中学生や家族で楽しめる番組を企画制作してほしい、まじめな番組を増やしてほしいという強い要望である。そんな中で、NHKニュースが感情的でなく、偏ったコメントがないことなどを理由に、クラスの友人たちも見るようになっているという報告も寄せられた。
そして、中学生モニターを体験した感想として、「真剣にテレビと向き合った」「友人や家族と話し合うようになった」など、貴重な体験ができたという声が多く寄せられ、「中学生モニター」を経験したことがメディア・リテラシーを身につけるきっかけになったという声が印象的だった。
なお、2009年度後期(2009年10月~2010年3月)の中学生モニターの募集にあたり、全国から127人の応募があり、32人(男子15人、女子17人)の新しい中学生モニターが決定した。学年別では、1年生8人、2年生13人、3年生11人である。