第28回 – 2009年7月
バラエティー番組の問題点について
第28回放送倫理検証委員会は7月17日に臨時委員会として開催された。今回は、「バラエティー番組に関する問題」について担当委員が示した原案を集中的に議論した。その結果、この問題について審議することが決まり、これまでの議論を踏まえて、委員会としての「意見」案を8月中に作成し、9月の委員会でまとめることにした。
議事の詳細
- 日時
- 2009年 7月17日(金)午後5時~8時00分
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- バラエティー番組の問題点についての集中審議
- 出席者
- 川端委員長、上滝委員長代行、小町谷委員長代行、石井委員、市川委員、立花委員、服部委員、水島委員、吉岡委員
バラエティー番組の問題点について
バラエティー番組全体に見られる問題点を委員会としてどう扱うのかというテーマについて、担当委員から原案が提出された。問題が指摘されている具体的な番組を、あくまで事例として取り上げることと、抽象的な議論にならないようにするという点で一致した。また、「番組向上」に力点を置くべきなのか、バラエティー番組における「放送倫理」をどうとらえるのか、表現の自由を確保しながら制作現場に自覚を持ってもらうためにはどうすべきか-など、さまざまな議論が展開された。その結果、審議入りして委員会の「意見」を出すことにした。
<主な委員の意見>
- バラエティー番組による性表現とか暴力とかから出て来るさまざまな”おでき”が、むしろ問題なのであって、バラエティー番組そのものが健全であるとか、不健全だとかというような議論は、ちょっと的外れではないか。
- 事例として議論の対象にしている番組中、特別にひどい要素を持った番組はない。どれもその気になって見れば、それなりに楽しめる。ささいなところで叩かれているだけだと思う。
- バラエティー番組というのは、何でもありの世界だと思う。まさに、それこそ言論表現の自由の本質そのもので、それに対してこれがいけない、これはまずいというのは違うのではないか。
- 「テレビバラエティー」は、テレビだという免許事業の制約があり、なおかつお茶の間に直接届けられるというメディアの特性に由来する社会的責任を持っている。番組制作者は何をやっても良いというものではない。ただ委員会は規制を求めるのではなくて、あるべきところを示すべきだ。
- テレビのバラエティー化傾向は宿命として、あるいはある種の末期現象として、もう止めようがない。そういう中で、テレビがある規範を失って行く状態に、歯止めがかけられるだろうかという問題だ。
- バラエティー番組ということで、エクスキューズを作ってはいけない。バラエティー番組であれば何でも良いという意識が業界にあるが、現行の民放連の作った基準、あるいは各局が作った番組基準には従うべきだ。新しく基準まで作る必要はないと思う。
- この委員会は何のためにあるのか。”第二総務省”になることは、最も避けるべきだ。だから、総務省とは違う立場に立ってものを言うべきだ。そうすると、寄って立つところは放送法の1条しかない。まさにその自律性のためにあるわけだ。
- 本来、局が発揮すべき自律性が、実際には発揮されていないケースがたくさんあり、それがこういう問題を引き起こす。委員会は、自律性を担保するような仕組みを各局がきちんと作る必要があるというべきだが、個々の番組で、ああだこうだという議論はすべきでない。
- 番組制作体制の無責任化、あるいは空洞化がある。今後、こういう問題が起こらないような体制を作るべきである。問題があるごとに弁解だけして取り繕うやり方はもう通用しないと指摘すべきだ。
- 各番組の制作者たちに法規制されるのを待っているのかと、問いかけたい。こういう問題がなぜ繰り返されるのか、繰り返されると総務省が入ってくるだけじゃなくて、それこそ法規制の問題すなわち放送法の1条の放送の自由、憲法21条を自ら縛ることになるんだ、ということを自覚すべきだ。
- 現場にも問題があるけれども、結局は放送の経営者の問題だと思う。要するに視聴率が高ければいいみたいなところがある。
以上のような委員の意見を受けて、担当委員が新たな視点と論点を盛り込んだ修正案を作成することになった。
以上