放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第149回

第149回 – 2009年6月

「保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え」事案のヒアリングと審理

「派遣法・登録型報道」事案の審理 ……など

当面する事案の審理を迅速・的確に行うため、10年ぶりに臨時の委員会が開かれ、「保育園」事案のヒアリングと審理が行われた。この結果、「委員会決定」の起草の方向がほぼ固まった。また、「派遣法・登録型導入報道」事案の論点整理、審理要請案件についての審議等が行われた。

議事の詳細

日時
2009年 6月29日(月) 午後3時~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、大石委員、小山委員、坂井委員、武田委員、田中委員、山田委員

「保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え」事案のヒアリングと審理

本事案の当事者に対するヒアリングを実施した。
この事案は、大阪府の保育園の理事が、道路建設のため保育園の野菜畑が行政代執行によって強制収用された当日、園児たちを現場に動員して並ばせたなどと事実に反することを放送され、名誉を侵害されたと申し立てたもの。
番組は2008年10月19日放送のTBS『サンデージャポン』。ヒアリングには申立人と、被申立人であるTBSから担当プロデューサーら3人が出席し、それぞれ1時間ずつ実施した。
申立人は「次から次へ事実と異なることを放送された。園児たちの映像は前日に撮影されたのに、あたかも行政代執行の当日、私が現場に並べさせ盾にして抵抗したかのような放送だった。『せめて保育園なら子どもを第一に考えて欲しかった』というコメンテーターの発言は、子どもたちをあずかる私たちの仕事に対する最大の侮辱だ。訂正放送はされたが、私の意向はまったく無視された。」と述べた。
TBS側は「初めて映像を見たコメンテーターが間違った認識で議論を展開してしまった。ナレーションやテロップで日付を明示し、コメンテーターや一般視聴者が勘違いしないようにすべきだった。また、コメンテーターとの事前の打ち合わせが足りず、発言の間違いに気づかなかった放送中の進行管理体制にも問題があった。訂正放送では申立人の要望に沿って訂正・お詫びし、名誉は回復されたと考える」と述べた。
ヒアリング終了後は審理を続け、「委員会決定」の方向がほぼ固まった。3名の起草委員が決定案を起草し、次回の委員会で検討することになった。

「派遣法・登録型報道」事案の審理

テレビ朝日・朝日放送の『サンデープロジェクト』の特集、「派遣法制定、登録型導入報道」(2009年2月1日および8日放送)により名誉侵害などを受けたとの訴えが出され、4月の委員会で審理入りが決まった。
この日の委員会では2回目の審理を予定していたが、他事案の審理や申立人の事情もあり、今回は実質審理を見送った。このため委員会は、事務局からの簡単な「論点整理」の報告と、今後のスケジュールの検討に止めた。
この結果、次回の7月委員会で本格的な審理を行い、8月の委員会でヒアリングという方向で進めることになった。

審理要請案件について審議

「宗教団体からの訴え」について審議した結果、審理対象外と決定した。
この申立ては、「在京の民間放送局が2009年1月29日のニュース番組で、事実ではない事項を放送し、当団体の名誉・信用を不当に毀損したので、放送法に基づき視聴要請をしたにもかかわらず、当該局は何も対応をせず、事実上拒否している。委員会で、当該局に対し視聴させるよう勧告して欲しい」というもの。
委員会では、委員会運営規則の第5条(苦情の取り扱い基準)は、放送された番組の内容を審理対象とすると規定していることから、本件のような視聴請求は審理の対象外であると結論付け、この旨、申立人に通知することになった。

その他

次回委員会は7月21日(火)に開かれることになった。

以上