放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第141回

第141回 – 2008年11月

「広島県知事選裏金疑惑報道」事案の審理

審理要請案件「徳島・土地改良区横領事件報道」 審理入り決定 ……など

「広島県知事選裏金疑惑報道」事案の「委員会決定」起草案が了承され、来る12月3日(水)に決定の通知・公表が行われることとなった。 また、野中広務氏が名誉侵害等を訴えた「徳島・土地改良区横領事件報道」の審理入りが決まった。

議事の詳細

日時
2008 (平成20) 年11 月18 日(火) 午後4時~6時半
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
竹田委員長、堀野委員長代行、五代委員長代行、右崎委員、崔委員、武田委員、中沢委員、三宅委員、山田委員

「広島県知事選裏金疑惑報道」事案の審理

1997年の広島県知事選挙において藤田知事の後援会組織等から裏金を受け取ったとの疑いを持たれ、中国放送(RCC)のニュース番組で実名報道された元県議会議員3名が、『事実無根の報道により大きな被害を受けた』として、名誉権の侵害を訴えた「広島県知事選裏金疑惑報道」事案の「委員会決定」起草案について審理を行った。
その結果、内容を一部修正のうえ了承し、来る12月3日(水)に、申立人、被申立人の双方に対し「委員会決定」を通知した後、記者会見を行い、その内容を公表することとなった。
本事案では、RCCが上記テレビ報道の内容を文字情報として自社ホームページ上に掲載し、申立人らがこれによる被害の継続を訴えたことから、「インターネットでの文字情報による配信行為を、テレビ報道と同視し得るかどうか」を判断の対象として慎重に審理が行われてきた。当委員会が、「放送と通信」というテーマを俎上に審理した初めてのケースとなった。

審理要請案件「徳島・土地改良区横領事件報道」 審理入り決定

徳島県で起きた土地改良区の横領事件を伝えたニュース報道で、名誉・信用を毀損されたとする全国土地改良事業団体連合会会長の野中広務氏からの申立書を10月20日に受理した。今年7月23日のテレビ朝日「報道ステーション」での放送で、これまで当事者間で話し合いが重ねられてきたが、決着しなかった。
委員会は、野中氏の「申立書」とテレビ朝日から提出された「交渉経過と見解」および放送同録ビデオをもとに検討した結果、審理入りすることを決定した。
野中氏は「申立書」で「横領事件の対象が補助金であったという前提が基本的に間違っている誤報」であり、「申立人が政治力で膨大かつ不要な事業を持ってきて、その投入された莫大な補助金が犯罪発生の原因となったかのような作為的な構成の報道内容」などとして訂正と謝罪の放送を求めている。これに対して、テレビ朝日は「見解」で「日本の農政の構造上の問題はないのか、問題提起をしようとしたのが放送の趣旨である」、「報道内容に基本的な間違いはなく、報道内容は野中会長の名誉・信用を毀損したとまで言えるものではない」としている。次回12月16日(火)の委員会から審理に入る。

10月の苦情概要

10月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・・9件
    (個人又は直接の関係人からの要請)
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・121件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

その他

  • 中部地区「意見交換会」について事務局から報告
    11月11日に名古屋で開催された「放送人権委員会委員との意見交換会[中部]」について事務局から、その概要等について報告を行った。
    意見交換会には中部地区のラジオ、テレビ局26社から、報道・制作現場の関係者を中心に52名の出席があった。取材も新聞社4社、テレビカメラ6台が入った。
    冒頭、竹田委員長が「放送倫理について」と題する基調講演を行い、続いて上野統括調査役が、最近の放送人権委員会の活動報告を行った。この後、今回のテーマである「取材放送のあり方」、特に「隠し撮り」「匿名映像等の多用」の問題について意見交換を行った内容を報告し、最後に、名古屋の局のニュースで放送された「意見交換会」の模様を視聴した
  • 次回委員会は12月16日(火)に開くことを決め、閉会した。

以上