放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会 議事概要

第17回

第17回 – 2008年9月

報告事項の検討

その他

第17回放送倫理検証委員会は9月12日に開催され、報道番組内における大食い企画、バラエティ番組でのセクハラシーン、公取委から排除命令が出されたテレショップ番組、内容が不当に改編されたとされる番組などの事案が討議された。また事務局から、2冊のブックレットの刊行状況の説明があった。

議事の詳細

日時
2008(平成20)年9月12日(金) 午後5時~8時15分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
川端委員長、小町谷委員長代行、石井委員、立花委員、服部委員、水島委員、吉岡委員

報告事項の検討

・番組内での大食い企画について

女性の大食いタレントとアシスタントの2人で構成される2チームが、それぞれ中華料理店と焼肉店で大食いを競う報道番組内のコーナー企画。皿数の数え方が不明確で分からないなど演出上の問題も指摘されたが、この企画がバラエティでなく、どうして報道番組で放送されたのかに対して疑問が呈された。既に、番組内容の不備についてはお詫び放送がなされ、制作した会社との契約解除、社内処分も出されているが、この企画自体を報道番組で放送したことに関して当該局に質問することにした。 委員の主な意見は次の通り。

  • ことさら審議するほどのものではないが、繰り返し起きてくることが問題だ。なぜニュースで大食い企画なのか。
  • 食料のない時代に育った人間には腹が立つ。品数ではなく品性の問題だ。
  • お詫び放送、制作会社への契約解除、社内処分がなされているが、ニュース番組の中でこんな企画を放送することが問題だ。
  • バラエティ番組なら問題ない。お詫び放送は意味がよく分からない。

・お笑いタレントによるセクハラシーンについて

お笑いタレントの運動会を屋外で収録したバラエティ番組。昼休みの場面で、男性タレントが背後から女性タレントの胸を揉むシーンがあった。その部分だけ切り取ればセクハラシーンだが、個別の番組としての結論は出さずに、バラエティ番組全体の演出方法や質の問題として捉え、今後、具体的に問題ある事例を積み重ねた上で継続的に考えていくことになった。

委員の主な意見は次の通り。

  • 下品だ。一つ一つのシーンはともかく、今後もずっと続くだろう。委員会としてどう対応するかだ。
  • お笑いネタだから許されると考えているのならば、委員会として何かコメントすべきだ。
  • レベルが低いが、こうした番組を見たがる人がいるのも事実だ。
  • こういった風潮が容認されていることがおかしい。単純に「ダメ」じゃなくて、違う角度からの指摘が必要。
  • 一つ一つの番組に対応しないで、番組事例を積み重ね蓄積してから構造や仕組みについて討議すべきだ。

・公取委から排除命令が出たテレショップ番組について

テレショップ番組で、ゲルマニウムや竹繊維が配合されているとして販売された枕に、それらの成分が含まれていない製品があることが分かり、公取委が通販会社(テレビ局が100%出資した子会社)に対して景品表示法違反(優良誤認)に基づく排除命令を出した。公取委の命令に従い、通販会社は商品の回収に着手しているが、公示や処置がどのように行われたかを当該局に問い合わせることにした。

・戦時性暴力を扱った番組について

戦争と裁判をメインテーマに、戦時下における性暴力を扱ったドキュメンタリー番組(放送されたのは7年前)を関係者の指摘により討議した。その制作過程において介入があり、内容が不当に改変されたとされる事案。討議の結果、番組を視聴し資料等を見た上で取上げるか否かを判断することになった。

・内容が誤りではないかと指摘された科学番組 について

日本の自然をテーマにした番組で、チベット高原でナキウサギが異常発生して草原の砂漠化が進み、その結果チベット高気圧が日本上空にまで張り出したことにより、日本に猛暑・豪雨などの異常気象をもたらしたと説明している。それに対して、視聴者から非科学的で虚偽の事実に基づいて制作された番組だとの抗議がなされた。番組や資料を見た上で次の委員会で討議することにした。

その他

放送倫理検証委員会ブックレット第1号として「光市事件と裁判報道」、第2号として「事件報道と開かれた司法」が9月以降に刊行されることになった。第1号は当委員会の「意見」に対して在京6局がどう対応したかを中心に、制作担当者の感想や反論も盛り込まれている。第2号は当委員会が発足して1年が経過したことを契機に、本年5月30日に東京大学大学院情報学環と共催したシンポジウムの記録である。

以上