放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第138回

第138回 – 2008年8月

「広島県知事選裏金疑惑報道」事案の審理 実質審理開始

仲介・斡旋解決事案 ……など

中国放送(RCC)の「広島県知事選裏金疑惑報道」をめぐる名誉毀損の訴えについて、今月から実質審理が始まった。また、九州の民放テレビ局で起きた「誤報」に関する仲介・斡旋解決事案の報告等が行われた。

議事の詳細

日時
2008 年8 月19 日(火) 午後4時~6時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
竹田委員長、堀野委員長代行、五代委員長代行、右崎委員、 崔委員、武田委員、中沢委員、三宅委員、山田委員

「広島県知事選裏金疑惑報道」事案の審理 実質審理開始

1997年の広島県知事選挙に絡んで裏金を受け取ったとの疑いを持たれ、中国放送(RCC)のニュース番組で実名報道された元県議3名が、『事実無根の報道により大きな被害を受けた』として、名誉権の侵害を訴えた「広島県知事選裏金疑惑報道」についての実質審理が始まった。

本事案については、当委員会運営規則に定められた申立の期間要件(原則として放送のあった日から3ヶ月以内に当該局に申立てられ、かつ、当委員会に対し、1年以内に申立てられたもの)を過ぎているものの、RCCが一連の実名報道の内容をインターネットの同社ホームページ上に本年6月まで文字情報の形で掲載してきた事実があること、自社ホームページでの配信行為はRCCの主体的意思の表明と見られること等から、先月の委員会で、「文字情報による配信行為を、テレビ報道と同視し得るかどうかを審理の対象として判断し、同視し得る場合には申立て内容についても審理の対象とする」ことを決定、今月からその実質的な審理が開始されたもの。

委員会では、申立人から提出された「申立書」「申立補充書」、及び関連資料、被申立人であるRCCから提出された「答弁書」、及び関連資料等をもとに、「同視できるか、どうか」について各委員の間で活発な議論が交わされた。しかし、この日は結論を得るまでには至らなかった。
このため、申立人から8月末に提出される、「答弁書」への「反論書」、及び、反論書に対して、被申立人から「再答弁書」提出の意向があればその提出を待ち、これらをもとに9月の委員会でさらに議論を深めることとなった。

仲介・斡旋解決事案

事務局より下記案件が報告され、了承された。

『亡くなった家族を生きているように間違って放送された』と抗議

九州の民放テレビ局が、「スーパーマーケット前で、じゃんけんで勝つと品物が安く買えるゲーム」(VTR撮影)を行い、夕方の情報番組内で放送した。(08年6月26日) 放送後、ゲームの参加者(申立人)から、「家族構成は祖父母、両親、子供4人」と字幕入りで放送されたため、取引先や知人から「祖父母は、まだ生きているのか」「前に香典をおくったが・・・」などと疑惑の目で見られたり、不審に思われたりして迷惑を受けたとして、局に対し、訂正と謝罪をしてほしいとの抗議がなされた。
実際は、両親に子供6人の8人家族であったのを、取材者が聞き間違えたか、思い込みによって誤報となったもの。

抗議に対し、局側は電話で事実を間違えたことを詫びたが、謝罪文(申立人が知人に説明するため、局側が間違えたことを証明する文書)の提出を拒み、また、自宅へ謝罪に来てほしいとの要請についても断ったため、放送人権委員会への相談となった。

事務局からの事情聴取に対し、申立人は「訂正・謝罪は求めない」「慰謝料等も求めない」と述べていたこともあり、局に対し、「誤報で迷惑を掛けたのは事実であり、電話だけでなく自宅に出向いて謝罪し誠意を示すのもひとつの解決法ではないか」と勧めたところ、部長でもあるプロデュサーが申立人宅に出向いてお詫びした。申立人は「早い段階で誠意を見せてほしかった」と言いつつもこれを了承し、一転解決となった。申立人は、局が誠意を持って謝罪したことを評価し、謝罪文は要求しなかった。

放送から約1ヵ月後の7月に解決となったが、局側は「これまでの対応と今後の対策」を盛り込んだ説明・報告書を放送人権委員会委員長宛て送付、その中で「間違って放送したことは事実であり、直ちに訪問して謝罪すべきだった」と反省している。

7月の苦情概要

審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・9件
(個人又は直接の関係人からの要請)
人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・158件
(人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

その他

次回委員会は9月16日(火)に開かれることとなった。

以上