青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第87回

第87回 – 2008年2月

男児ポルノに関する取り組みについて

CMの放送時間帯について …など

2月26日に開催した今年度第10回青少年委員会(通算87回)では、継続審議となっている男児ポルノに関する今後の取り組みについてのほか、1月16日~2月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見ならびに2月分の中学生モニターからの意見を基に審議した。また、中学生フォーラムと調査・研究について検討した。

議事の詳細

日時
2008年2月26日(火)
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題

男児ポルノに関する取り組みについて

前回委員会で、子どもポルノ、特に男児ポルノに対する世界の潮流や日本の現状について、ECPAT/ストップ子ども買春の会の宮本潤子氏を招き、意見交換を行ったが、今回委員会では、今後、委員会としてどのようにテレビの中での子ども、特に男児の裸について取り組んでいくか審議した。また、今月の視聴者意見でも、バラエティーの中で、小学生の男児2人の性器や女児のおむつ替えが写されていたことについて、「子どもの人権を踏みにじる内容だ」という批判意見が寄せられ、合わせて審議した。

<委員の主な意見>

  • 世界の潮流としては、子どもの裸が悪用されインターネットなどでポルノ化されていると言われているが、犯罪との関係だけで、全て子どもの裸がいけないとは言いたくない。テレビで放送された子どもの裸が悪用されているという明白なものがないのに、テレビ局に対し理解を得ることはできないのではないか。表現の自由もあるし、現在の社会常識の範囲の中で委員会として考えていくべきだ。
  • 女児の性器を写さないということは社会常識になっているが、最近では男児の性器を写すことについても、頻繁に視聴者から批判意見が寄せられている。今までも委員会で議論し、専門家の話も聞いたが、なかなか男児ポルノの現状とテレビでの裸とが結びつかない。しかし、少なくとも”子どもの人権を守るため”ということで、局に対し委員会として問題提起ができるのではないか。
  • 民放連の放送基準には、「全裸は原則として取り扱わない」という条文がある。悪意がなくても裸を写された子どもにとっては、やはり心の傷となって残ると思われるので、制作者もそのことを考えてほしい。
  • 制作者が悪意を持たないで子どもの裸を撮ろうとも、その映像がインターネットに流れ、ポルノに使われる危険性があるので、男児といえども少なくとも性器は写さない、ということを制作者に対し積極的に言ってもいいのではないか。
  • 子どもの裸のどこまでなら良くて、どこからがいけないという判断材料を委員会として指摘することは難しいが、局に対して制作の段階で配慮するよう注意喚起をしていくことはできるのではないか。

以上の審議の結果、男児ポルノについての取り組みとして、次回委員会までに原案を作成し、再度慎重に議論したうえで、加盟社に対し委員会として文書を出すことになった。

CMの放送時間帯について

R18指定映画の予告CMやレズビアンの世界を描いた米ドラマのDVDの宣伝CMについて、「子どもが見る時間帯に放送するのをやめてほしい」といった視聴者意見が寄せられ、委員から次のような発言があった。

  • 性的表現の強い映画やホラー映画の予告CMの放送は、時間帯を考えて放送するべきではないか。
  • 映画館で年齢制限している映画の予告CMを、制限している年齢層が見ている時間帯に放送するのはおかしいのではないか。放送するならば、性的なシーンについては配慮して、PRだけにできないのか。
  • PG12やR15指定映画の予告CMを、子どもが見る時間帯にどのくらい放送しているか、実態を調査してはどうか。

以上の審議の結果、次回以降の委員会に放送局のCM担当者を招き、パチンコCMなども含めCMの放送時間帯についての実状をヒアリングしたうえで、委員会として議論を深めていくことになった。

中学生フォーラムについて

第7回中学生フォーラム(3月26日、千代田放送会館にて開催)について、小田桐委員から次のとおり報告があった。

  • 今回のテーマは、お笑い系バラエティーに絞り議論を展開する。
  • 従来の中学生vs制作者という構図ではなく、中学生の中でも意見の多様性が出てくるように進めていきたい。
  • モニターには、番組について事前アンケート調査を行っているので、その結果を紹介しながら討論していく。
  • ご意見番として、長年バラエティー番組の制作に携わっている澤田隆治氏にゲスト参加していただくことになった。
  • 最後に結論を出すというのではなく、議論の中から何かが出てくればいいのではないかと思う。

調査・研究について

来年度の調査・研究について、橋元副委員長から次のような報告があった。

  • 調査研究内容の前提条件

    (1) 「テレビ」が主題であること
    (2) 「青少年委員会」の守備範囲であること
    (3) 単なる”批評・評論”ではなく、主張の裏付けとなる根拠・データが提示できる研究
    (4) テレビ関係者はもちろん、BPOの活動に興味を持っている一般市民にも、研究の意義が納得できる研究
    (5) 過去に同種のものが行われていない研究

  • 調査研究案

    [案1] 視聴質・番組評価基準に関する調査研究
    [案2] 「高校生・大学生の情報生活におけるテレビの位置づけ」調査
    [案3] メディアの影響に関する少年院・触法少年調査
    [案4] 海外のテレビ放送における青少年関連の自己規制、青少年向け番組の調査

以上、4件の調査研究案が提案されたが、今後、橋元副委員長と是永委員を中心にさらに検討を加えたうえで、どの案を採用するか次回委員会で議論することになった。

中学生モニターについて

今月は32人から、40件(1人で複数件の報告有)の報告が寄せられた。分野別では、今月はドラマがトップで16件、次いでバラエティーが13件を数え、この2つの分野で7割以上を占めた。以下はラジオ番組が3件、音楽番組・映画・ドキュメントが2件ずつ、そしてスポーツ番組と教養番組が1件ずつだった。

局別では、フジテレビ系13件、日本テレビ系12件と多く、次いでテレビ朝日系5件、TBS系4件、NHK2件、そしてテレビ東京系・TBSラジオ・文化放送・J-WAVEが1件ずつと続いた。

・ドラマ番組

報告が一番多かったドラマは、ほとんどが好評だった。複数意見が寄せられたのは『貧乏男子(ボンビーメン)』に3件、『薔薇のない花屋』と『だいすき!!』に2件ずつだった。

『貧乏男子』は「出演者も個性派ばかりで今までにないおもしろさを私に感じさせてくれる」、「人生はお金がすべてではない。大切にしてきたものは人との絆だと、堂々と主人公がふるまっているのに共感を覚えました」などと大好評だった。

『薔薇のない花屋』も「豪華なキャストで一人ひとりの個性も出ていておもしろい、ストーリーもよく人の優しさが感じられる物語」、「1話1話で謎が出てきて少し解決、そしてまた謎と次につながる話の構成もよい」などと好評だった。

『だいすき!!』は「障害を持つ人と接する機会が少ない人には、見て何か感じて欲しいと思いました」と好評だったが、「番組の終わりが近づ

2月26日に開かれた青少年委員会でも『だいすき!!』について「中学生モニターは障害者の主人公を好意的に素直に見ている。こうした良心的なドラマが作られている事を評価したい」という意見があった。

・バラエティー番組

バラエティーで2件意見があったのは、『秘密のケンミンSHOW』と『エンタの神様』だった。

『秘密のケンミンSHOW』は、「この種の番組は初めてで、特番のときから楽しく見ています」、「地域密着番組は好きだ。テレビでも、もう少し地元制作の番組を作るべきだと思う」などと2件とも好評だった。

『エンタの神様』は意見が分かれ、「エンタは芸人がたくさん出てるから好きな芸人だけを見てもいいし、いろんないま話題の芸人とかも見られるからとてもおもしろい」というものと、「最近出演している芸人はどうも話題性ばかりで、本当に”ネタ”だけで笑わせているのだろうかと疑問に思いました。ベテラン芸人のワンパターン化、新人芸人のしらけるようなつまらなさ…」という対照的な意見が寄せられた。

ほかに9番組に意見が寄せられおおむね好評だったが、『いきなり!黄金伝説』には「この番組は見ていてとても気分が悪い。なぜ無理して食べるのか?私にはこの番組を作っている方の気持ちが分からない」という批判的な意見があった。

・その他の番組

その他、NNNドキュメント『がん難民~渡された命のバトン~』を見て「”辛いのに頑張っている人がこんなにいるんだ”と思った。がんで亡くなった山本参議院議員らの思いを受け止め、がんをはじめとする病気についてこれからは考えていきたいと思う」という報告が寄せられた。

『英語でしゃべらナイト』にも「昔からある英会話番組ではなく、毎回ゲストを呼んでその人達なりの勉強法や会話術を話していたりし、現代の国際社会に生きる私たち向けのテレビ番組でいいと思う」という報告があり、青少年委員会でも「いろいろ工夫していて楽しく品もユーモアもあり評価できる番組だ」という意見が出された。

また『バトルトークラジオ アクセス』の報告では、「全体的にとても良い番組。ニュースもしっかり説明してくれる。ただし議論で電話をつなぐリスナーは、もっとしっかり選ぶべき。時々、言いっ放しで収集のつかない人がいる」という指摘があった。

今期モニターの最後となる3月の報告は、3月中旬までひと月ほどの間に見た番組についての感想・批判・期待など。

また委員から出された「今の日本では、女児の裸については”写さない”という常識がありますが、男児についてはあまり気にしなくてよいような風潮があると思われます。中学生のみなさんは、このような風潮について、どう思われるでしょう」、「性的な描写を含むパチンコのCMや映画の予告CMについて、一般視聴者から、”子どもも見る時間帯に放送するのは問題だ”という意見が多数寄せられています。みなさんは、こうしたCMを見たことがありますか?あったとしたら、どう感じましたか?」という2つの質問に答えてもらうことになった。

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