青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第89回

第89回 – 2008年4月

パチンコCMの現状と課題

視聴者からの意見について …など

4月22日に開催した今年度第1回青少年委員会(通算89回)では、日本民間放送連盟(民放連)番組部長・三好晴海氏を招き、パチンコCMの現状と課題についてレクチャーを受け、意見交換したほか、3月15日~4月14日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に審議した。また、中学生フォーラムと調査・研究について報告があった。なお、議事に先立ち、4月1日付で青少年委員会委員に就任した境真理子委員(桃山学院大学国際教養学部教授)を紹介した。

議事の詳細

日時
2008年4月22日(火)
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
大日向委員長、橋元副委員長、小田桐委員、軍司委員、是永委員、境委員、山田委員

パチンコCMの現状と課題

(三好晴海氏レクチャー概要)

新聞報道によると、30兆円ともいわれるパチンコ業界は、パチンコ客の”資金源”の一つだった消費者金融が貸金業法の改正等により貸しにくくなったため遊戯人口が減り、一方、ギャンブル性を高めすぎたため社会問題が深刻化し、警察などによる規制が強化された結果、パチンコ店の倒産が増えている。そこで新たな客層の掘り起こしの一環として、アニメのキャラクターやテレビドラマのシーンなどを使った”タイアップ・パチンコ機器”を次々と開発し、最近は、パチンコ店(ホール、パーラー)ではなく、パチンコ機器メーカーによるイメージCMが多く流れるようになった。

パチンコ店のCMは、10年ほど前、駐車場の車に置き去りにされた子どもが死亡する事件が社会問題化し、地域の遊技業組合の規制が厳しくなり、CM放送がストップする状況があったが、ここ数年、パチンコ・パチスロ業界の競争が激化し、大手全国チェーン店や隣県の企業からの出店攻勢、地元の企業の対抗という三つ巴で顧客獲得競争が展開され、そうした状況の中で、総体的にパチンコCMの出稿が増加しているのではないかと思われる。

パチンコCMの放送は、東京と大阪地区ではパチンコ店のCMは取り扱わないが、パチンコ機器メーカーCMは取り扱っている。逆に他地区では、パチンコ店CMと、キー局からのネット番組に入っているパチンコ機器メーカーCMの両方が流れており、視聴者の目を引いているのではないか。ローカル局では近年、スポットCMの売り上げがずいぶん落ちてきているため、いきおいパチンコCMを受けざるを得ない状況になってきていることも現実のようだ。

CM考査の目的

パチンコCMを放送するにあたって民放各社では、関係法令や放送基準に合致しているか、また地元の条例や業界の広告自主規制基準と照合しながら判断しているが、さらに各放送局は放送基準の下に自社の内規を設け、それに沿って個々のCMの考査・審査を行っている。

CM考査の目的は、第一に視聴者(消費者)保護であり、同時に、自局の信頼や媒体価値の低下を招かないことにも注意を払っている。さらに、放送基準の前文にも書かれている”児童および青少年に与える影響”と”節度を守り、真実を伝える広告”に留意している。”媒体特性の認識”ともいえるこの二つが考査判断の理念になっている。

パチンコCMの判断基準

パチンコCMの判断基準として放送基準では、”著しく射幸心を煽る表現はしない” “児童・青少年への配慮” “未成年を登場させないこと” などの条文を設けているが、このほか、アニメなど児童・青少年向け番組やニュース、青少年が見るスポーツ番組の前後には編成しないなど”放送時間帯の配慮”を内規で定めている局もある。

こうして、各局とも放送基準の条文等を念頭に置きながらパチンコCMの考査を行っているが、パチンコ店は、風俗営業ということで「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)」で規定され、営業するには都道府県公安委員会の許可が必要。さらに、都道府県の青少年健全育成条例や地元の遊技場組合などと協議しながら、地区の放送局で独自に自主規制基準を策定している。しかし、パチンコ機器メーカーは、この「風営法」の範ちゅうではないため、考査にとってはグレーゾーンになっている。

各地区の状況

多くの地区で「パチンコ・パチスロ店など遊技場のCMの取り扱いに関する内規」を策定しているが、その内容は、遊技場CMの演出・表現や用語、あるいは映像手法に関して”射幸心” “青少年への配慮”の観点から規定するものが多い。また、パチンコ店のリニューアルオープンといったイベント告知を制限する取り決めもしているが、放送時間帯にまで明確に言及した内規は少ないようだ。

特徴的な地区の状況を見ると、北海道地区では、北海道遊技関連不正防止対策機構などの指導もあって「パチンコCMを放送できる時間帯を、23時~4時まで」としている。また、静岡地区は、パチンコ店名の入っているCMは取り扱わないが、企業のイメージCMのみ放送できる。岡山地区は「地元パチンコ店のCMは取り扱わない」としている。

今後の課題

最近のパチンコCMに関する考査現場での悩みは、「出る、出る」とか「マックス」といった射幸心を煽る言葉の使用や、換金や景品に言及する表現、パチンコ機器のアップ映像や出玉の映像などの取り扱いでのやり取りにあるようだ。こうした事柄は、各局の考査担当者が広告主や広告会社と、きめ細かく折衝しながら改稿を要請し、適正な表現の範囲に収まるよう、留意事項やルールを取り決めている。

また、『冬のソナタ』『必殺仕事人』『みなしごハッチ』『フランダースの犬』『アルプスの少女ハイジ』などのテレビドラマやアニメの画面を使ったパチンコ台CMが増えてきており、これも考査現場の悩みとなっている。

こうしたパチンコCMをめぐる状況の中で、富山地区では遊技場組合、警察、テレビメディアの3者が一昨年から勉強会を重ね、能動的な発想でどういうCM表現なら放送できるか、といったスキームづくりを共同で議論しながら取り組みを進めたといった事例もある。

【意見交換】(▽委員、▼三好氏)

▽特番やスポーツイベント番組にパチンコ機器メーカーのCMが入ることがあるようだが、こうした番組がネットでローカル局に流れると、各地区が個別に内規を作って自主規制をしても何もならないのではないか。
▼パチンコ機器メーカーのCMがネットで入ってくると、ローカル局ではどうしようもないので困っていると聞いている。
▽パチンコCMを受けないと経営的に難しいのか。
▼民放の経営はそこまで悪化していないが、経営的に考えればCMの出稿が多ければ収入アップになる。考査ではなんとか止めたいとしているようだが、営業要請で放送したという事例もある。個々のCMを審査しながら判断するというのが現実だと思う。
▽以前は局の自主規制で受けていなかったパチンコCMを、不況だからということで流してしまうのは考査の基準がだんだん緩やかになってきているのではないか。営業と考査のせめぎあいはあると思うが、考査がどのくらいがんばれるかにかかってくるので、その辺が局の考査が抱えている問題なのではないか。
▽局の考査では、例えば高校野球の中継の間にビールのCMを入れないといった暗黙の了解があると聞いているが、最近のパチンコCMの状況を見ていると、特にローカル局の考査がだんだんなし崩し的なってきているのではないか。一時期のサラ金CMと同じように批判が風化していくのが心配だ。
▽パチンコ機器メーカーCMには、テレビドラマやアニメの画面が使われているが、番組宣伝かパチンコCMか、分からないものもある。
▽パチンコ機器メーカーのCMを見たからといって青少年がパチンコ店に行くとは考えられないが、テレビドラマやアニメの画面が使われているとパチンコに興味を持つのではないか。こういったCMは青少年が見ている時間帯にはふさわしくないので、局としても考えてほしい。
▽北海道地区では、パチンコCMの時間帯規制があるようだが、今後、民放連として放送時間帯について取り組んでほしい。
▼局の実情を知るために委員会が話し合いの場を持つことは大事だと思う。
▽自主規制や考査は時代とともに変わっていくのが当然だが、変わりつつも大事なところは常に確認しておくことが重要ではないか。

以上の結果、パチンコCMの放送時間帯の配慮については、今後も視聴者意見の動向を注視しながら、局の担当者と意見交換するなどを検討していくことになった。

視聴者からの意見について

青少年委員会が4月11日に公表した「注意喚起 児童の裸、特に男児の性器を写すことについて」について、視聴者から「規制強化だ」「表現の自由を奪うのか」という批判意見が寄せられ、委員からは次のとおり発言があった。

  • 委員会の「注意喚起」が、「単純所持の禁止」といった児童ポルノの規制強化の動きと同じだと受け取っているのではないか。
  • 児童ポルノ法改正の動きには過激なアニメも規制しようとする案も盛り込まれているが、これと委員会の「注意喚起」を結び付けているのではないか。
  • 「注意喚起」の記者会見席上で、委員会の主張と児童ポルノ規制とは一線を引くものだと、はっきり言明しているのに、規制と受け取られるのは残念だ。送り手と受け手のギャップを考える必要があるのではないか。
  • 視聴者意見には、実際にインターネットで被害にあったという意見も来ている。やはり被害は実在していたようで、今後も注視していく必要がある。

中学生フォーラムについて

小田桐委員から3月26日に開催した第7回中学生フォーラムについての報告と今後のフォーラムの取り組みなどについて提案があった。

調査・研究について

橋元副委員長から今年度の調査・研究について、次回委員会で具体的な案を示したい、との報告があった。

中学生モニター報告〔4月分〕

新モニターの初報告となった今月は、31人から34件(1人で複数件の報告あり)の番組への意見が寄せられた。

報告を分野別に分けると、バラエティーが一番多く14件、次がドラマで10件、そして情報・討論番組、ドキュメンタリー、アニメ、音楽番組が2件ずつ、スポーツ番組とラジオ番組が1件ずつだった。

局別では、TBS系とフジテレビ系が9件ずつ、NHKと日本テレビ系が5件ずつ、テレビ朝日系3件、テレビ東京系とTOKYO FMと民放各局に向けた意見が1件ずつとなっている。

・バラエティー番組

バラエティーでは12番組に意見が寄せられ、好評8件・賛否両論3件・不評3件だった。2件意見が寄せられたのは『ザ・イロモネア』と『クイズ!ヘキサゴン?』の2番組。

『ザ・イロモネア』は、「久々に思いっきり笑わせてもらった。どの芸人も普段見ることのできない”本性”をトコトン味わえた」などと好評だったが、「芸人のネタのパクリがあり憤慨した」という指摘があった。

『クイズ!ヘキサゴン?』は「ためになり、色々な種類の問題があり面白い」が、「”おバカさん”というのを売りにして番組が盛りあがるというのはどうかと思います」という賛否両論の意見だった。また『わかるTV』への意見で、「おバカおバカと連呼するクイズ番組をおもしろがる人もいるだろうが、不快である。私は、やさしく教えてくれるこんな番組を待っていた」というものがあった。

不評意見は、『行列のできる法律相談所』に「今では名前だけ法律番組で、トーク番組になっている」、『世界一受けたい授業SP』に「内容は番組宣伝的要素が多くて、いつものような驚きがありませんでした。期待してみたので、とてもがっかりしました」、『オールスター感謝祭’08』に「お笑い芸人がケガをしたのを見ました。やっぱり安全面に気をつかった企画でないと安心して見られない」などが寄せられた。

・ドラマ番組

ドラマで意見が寄せられたのは9番組で、好評6件・賛否両論1件・不評3件だった。

2件意見が寄せられた『SP特別版』は賛否両論と不評意見だったが、「新たなストーリー展開を期待していたので、正直ガッカリした」という点は共通していた。

他の不評意見は、『バッテリー』に「原作を読んでいる人も読んでいない人も楽しめるドラマ作りが必要だと思いました」、『斉藤さん』に「最終回のエンディングがケープタウンという設定なのに実際に撮影しているのは日本の横浜の赤レンガ街だということがバレバレ」というものだった。

・その他の番組

4月2日に4時間近くに渡って放送された『報道大河スペシャル』について、「こんなにいろんな国の環境問題を紹介しているのを始めてみました。一番驚いたこと・・・それは北極にもごみの問題があるということです。環境についての番組は、私たちがしなければならないことを伝えず、現状しか伝えません。身近にできることも報道してほしいです」という意見があった。

また民放各局のプロ野球中継について「一番面白い場面で終了してしまうのは僕には理解できない」、『CDTVXSacas!』には、番組HPにはEXILEスペシャルライブと書いてあったが、結局60分の中出たのは30分。中学生の僕自身寝る時間も割いて見ているのに期待外れの内容だった」という批判意見が寄せられた。

FM放送番組『やまだひさしのラジアンリミテッドDX』の火曜深夜放送分について、「性的な内容が多く含まれており、最低限、性的な内容の発言は控えるべきだし、さもなくばこのような番組は今すぐにでも無くなってほしいと思います」という批判もあった。

5月のモニター報告は、ひと月ほどの間に見た番組についての感想・批判・期待などのほか、一つの番組に限らず特定の分野の番組についての意見や、さらに今のテレビのあり方などについての意見も広く募集することになった。