幼稚園報道
委員会決定 第5号 – 1998年10月26日 放送局:NHK
見解:放送倫理上問題あり
1997年12月、NHKの『クローズアップ現代』は「赤ちゃん預かります~保育に乗り出した幼稚園の戦略」と題した放送をした。この番組で取り上げられた幼稚園と理事長らが「取材趣旨の説明と異なり、経営状況の厳しさだけが意図的に強調された」などとして、幼稚園の信用が毀損され、関係者の名誉が侵害されたと申し立てた事案。
1998年10月26日 委員会決定
放送と人権等権利に関する委員会決定 第5号
- 申立人
- A幼稚園
B理事長 外53名 - 被申立人
- NHK
- 対象番組
- NHK 「クローズアップ現代」
- 放送日時
- 1997年12月9日
申立てに至る経緯
1997年12月9日、NHKの番組「クローズアップ現代」(29分番組)で、「赤ちゃん預かります~保育に乗り出した幼稚園の戦略」と題する放送が行われた。この番組は、少子化と女性の社会進出によって保育園への需要が高まる中で、厳しい経営状況に追い込まれた幼稚園の現状と対策、行政の対応等を伝えるものであった。
この番組の中で、園児の減少で経営が苦しくなった幼稚園の例として京都市山科区にあるA幼稚園が2分間取り上げられた。この放送に対し、A幼稚園側(理事長が園長代行)は「取材趣旨の説明と異なり、園の特色である教育方針が全く紹介されず、経営状況の厳しさだけが意図的に強調された」としてNHKに抗議した。しかし、話し合いに決着がつかず、今年6月、この放送により幼稚園の信用が毀損され、保護者、園児、教職員らの名誉が侵害されたとして、A幼稚園側が本委員会に対して、「権利侵害」の救済を求める申立を行った。
目次
- Ⅰ. 申立てに至る経緯
- Ⅱ. 申立人の申立て要旨
- Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
- IV. 委員会の判断