放送人権委員会

放送人権委員会 委員会決定

2005年度 第26号

第26号 喫茶店廃業報道

【委員会決定を受けての毎日放送の対応】

2005年10月に当該事案について委員会決定を受けた毎日放送は、3か月後の2006年1月16日にBRC宛に、「委員会決定後の当社の取り組みについて」という文書を提出した。
これは、NHKと日本民間放送連

盟が、BPOの発足にあたり基本合意書において「3委員会から指摘された放送倫理上の問題点については、当該放送局が改善策を含めた取組状況を報告し、放送倫理の向上を図る」と申し合わせたことに基づくもので、06年1

月17日の第108回BRCでこの毎日放送からの報告文書について意見を交わした。
委員からは、「このところ当該局の対応の仕方はよくなっている」「毎日放送も、かなり前向きに対応している」との意見が出ていた。

毎日放送の報告文書は以下の通り

2006年1月16日
放送と人権等権利に関する委員会
委員長 飽戸弘 殿
毎日放送

「喫茶店廃業報道」事案
委員会決定後の当社の取り組みについて

毎日放送では、2005年5月9日にニュース番組・VOICEの特集において、「憤懣本舗/嫌がらせの屋台、無神経な役所」を放送しました。この放送についてBRCでは「喫茶店廃業報道」事案として審理され、10月18日に委員会決定を

だされました。決定を受けた後の当社の対応や取り組みについて、ご報告いたします。

(1)委員会決定後の当社の対応について

◆申立て人に対しての謝罪

  • 10月20日、申立人に謝罪文を郵送

◆委員会決定の主旨の放送

  • 10月18日(火)「イブニング・ニュース」 <17:50~18:16放送 TBS発 全国ネット>内で44秒間、決定の主旨を放送
  • 10月18日(火)「VOICE」<18:16~18:55放送 MBSローカル>内で1分13秒間、決定の主旨を放送
  • 11月5日(土)「MBSマンスリーリポート」<05:30~05:45放送 MBSローカル>内で4分28秒間、決定の主旨を放送

◆委員会決定を受けて、当社のコメントを公表

  • 委員会決定の内容を公表する記者会見の席で、出席した記者に当社のコメントを配布

◆視聴者など社外への告知

  • 当社ホームページ「ちゃやまち広報室」に委員会決定の内容や社としての対応を掲載

◆番組審議会への報告

  • 10月25日開催の第503回番組審議会において、広報室長、報道局長から委員会決定について報告

◆社内への告知

  • 10月19日開催の全社局長会<当社の全常勤取締役、全常勤監査役、全ライン局長出席>において、広報室長から委員会決定へ至る経過と決定内容について報告
  • 当社社報12月号<12月1日発行>に決定内容と対応を掲載

◆社長の訓示

  • 1月4日の当社年賀式および当社社報1月号<1月1日発行>において、VOICEにおける報道がBRCに放送倫理違反と判断がなされたことに関し、社長から全社員に向け訓示

(2)再発防止のための取り組みについて

◆決定内容を報道局員に周知徹底

10月20日に緊急の報道局会を開催し、局員に対し委員会決定の内容を説明しました。指摘を受けた点を重く受け止め、報道の正確性を期するために、取材対象者に報道の意図を明示して、その弁明を聞くという報道の基本原則を

再確認すること、ならびに、いわゆる隠し撮りという取材手法が許されるのは、その目的が公共性・公益性を有するとともに、そうした取材が不可欠の場合に限定されるということをあらためて報道局員全員に周知徹底しました。

また、今後の報道活動において民放連の放送基準、報道指針を遵守することなど、放送倫理のいっそうの向上に努めるよう指示しました。

◆デスクによるチェック体制の強化

報道局内の部長、デスクが協議を重ね、10月31日のデスク会で、再発防止のために次の2点を確認し、チェック体制を強化することにしました。

  • 今回の決定をふまえ、特集に限らずニュース番組の制作にあたっては、十分な取材がなされているか、また取材手法が妥当かなどを、毎夜、開催している取材予定会議の場でデスクが協議し、厳しくチェックすること
  • なかでも今回の決定で指摘を受けた、いわゆる“隠し撮り”取材については、事前にその目的や内容の妥当性を複数のデスクが判断すること、また、取材後の編集や放送にあたっても同様に複数のデスクがチェックし、厳格に

    判断すること

◆研修会の開催

12月16日、毎日放送本社に上智大学・田島泰彦教授を講師に招いて報道研修会を開催しました。

研修会には報道局員ら50余名が出席し、放送に求められる倫理とは何か、特に、いわゆる隠し撮り取材(無断録音・無

断撮影)という取材手法が報道倫理上、どのように位置づけられているかについて、英国BBCの倫理ガイドラインやわが国での過去の事例などをもとに講演をしていただき、報道局員らの認識を高めました。
今後も報道倫理に

関わるさまざまなテーマで適宜、報道研修会を開催し、取材、放送に関わるスタッフの人権や放送倫理に対する意識の向上を図っていきます。