放送人権委員会

放送人権委員会 委員会決定

2009年度 第41号

割り箸事故・医療裁判判決報道

委員会決定 第41号 – 2009年10月30日 放送局:TBS

勧告:重大な放送倫理違反
2008年2月、TBS『みのもんたの朝ズバ!』は、1999年に男児が割り箸を喉に刺して死亡したいわゆる「割り箸事故」の民事裁判判決を取り上げた。その内容について、男児の治療を担当した勤務医とその家族が、事実誤認と捏造ともいえる放送により医師の名誉が毀損され家族も精神的苦痛を受けたと申し立てた事案。

2009年10月30日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第41号

申立人
A、B、C、D、E
被申立人
株式会社 TBSテレビ
苦情の対象となった番組
『みのもんたの朝ズバッ!』における「8時またぎ」のコーナー
放送日時
2008年2月13日(水)午前7時30分過ぎ~
VTR部分 8分20秒
スタジオトーク部分 6分50秒

本決定の概要

本件申立ては、2008年2月13日放送の『みのもんたの朝ズバッ!』(以下「本件放送」という)において、男児が綿菓子の割り箸を口にくわえたまま転倒し、のどを貫いた割り箸の先端部分が脳にまで達した結果死亡した、いわゆる「割り箸事故」で、その治療に関与した医師の責任の有無をめぐる民事裁判の判決内容の報道ならびに論評が行われたが、その内容が当該医師の名誉と信用を毀損し、その家族に精神的被害をもたらしたとしてTBSに対して謝罪放送等を求めたものである。
当委員会は、審理の結果、本件放送は、当該医師の名誉を毀損するものではなく、また申立人ら家族の精神的圧迫感もその侵害が社会通念上許された限度を超えるとは認められないが、放送内容及びその前提となる放送態勢において、民間放送連盟とNHKが制定した『放送倫理基本綱領』における「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」との定めに反するなど重大な放送倫理違反があると判断し、TBSに対してしかるべき措置をとることを勧告する。

(決定の構成)

委員会決定は以下の構成をとっている。

Ⅰ.事案の内容と経緯

  • 1.申立てに至る経緯
  • 2.放送内容と問題点
  • 3.申立人の申立ての要旨
  • 4.被申立人(放送局)の答弁

Ⅱ.委員会の判断

  • 1.事実の認定と判断
  • 2.放送倫理上の問題および権利侵害の有無

Ⅲ 結論と措置

Ⅳ.審理経過

全文PDFはこちらpdf

2010年1月12日【委員会決定を受けてのTBSの取組み】

全文PDFはこちらpdf