山口県議選事前報道
委員会決定 第21号 – 2003年12月12日 放送局:テレビ山口
見解:放送倫理上問題あり(少数意見付記)
申立人は2003年4月の県議会議員選挙に立候補した男性。テレビ山口が選挙前の3月のニュース番組で放送した統一地方選挙の企画「県議選・なんでも一番」において、申立人が最多立候補者として実名・顔写真付きで「合わせて12回出馬していますが、いずれも当選に至っていません」と紹介されたとして、選挙妨害であり人権を侵害されたと訴えた事案。
2003年12月12日 委員会決定
放送と人権等権利に関する委員会決定 第21号
- 申立人
- A
- 被申立人
- テレビ山口
- 苦情の対象となった番組
- テレビ山口 「TYS夕やけニュース21」
- 放送日時
- 2003年3月25日午後6時19分から6時51分まで
申立てに至る経緯
2003年4月の統一地方選挙を前にした3月25日、テレビ山口株式会社(以下、「テレビ山口」または「被申立人」という)は、午後6時19分から6時51分までの「TYS夕やけニュース21」の中で「統一地方選ミニ知識」として企画した14本シリーズのうちの1本「県議選・なんでも一番」を放送した。
内容は、最年少当選者、最多得票者など過去の県議選データから拾い上げた「一番」を紹介するもので、最後に「また補欠選挙も含めて県議選への立候補の回数が最も多いのはAさんで、71年から合わせて12回出馬していますがいずれも当選に至っていません」というコメントとともにA氏の上半身写真を出し、一行目に「立候補回数最多12回」、二行目に「A氏(下関市区)」、三行目に「⇒いずれも落選」のスーパーを付けた。
この放送に対して、申立人である下関市在住のA氏(以下、「A氏」または「申立人」という)は、放送当日テレビ山口に対して「選挙妨害である。改めて放送で名誉を回復してほしい」旨の抗議と救済措置を電話で要請した。
テレビ山口では、社内協議の上「事実関係は間違っていないので訂正放送は出来ない」と電話で回答した。
しかし、申立人はこの説明に納得せず、3月26日テレビ山口に対して「選挙違反行為である」との文書をFAX送信するとともに、山口地方法務局人権擁護課に対しても人権侵害・名誉毀損で訴えた。また、5月16日に「選挙の自由と公正・平等が阻害され人権が侵害された」とする文書をテレビ山口に送り回答を求めた。
テレビ山口は6月11日、報道制作局長名で「山口地方法務局人権擁護課から人権侵害・名誉毀損には該当しない旨の判断をもらっており、当社には法的責任はないと考えている」旨の文書を申立人に郵送した。
この後、8月1日付けで申立人は、BRCに対し「告示前の大切な時に、真実を曲げ嘘の番組を作り報道されたことで名誉を毀損され、人権を侵害された。また、意に反した悪いイメージの写真を無断で使われ肖像権を侵害された」などと申立てたものである。
目次
- Ⅰ. 申立てに至る経緯
- Ⅱ. 申立人の申立て要旨
- Ⅲ. 被申立人の答弁要旨
- IV. 委員会の判断