福井・産廃業者行政処分報道
委員会決定 第19号 – 2002年12月10日 放送局:NHK福井放送局
見解:問題なし
福井県は2002年5月、申立人である産廃の収集運搬業者の事業許可を取り消す行政処分を行なった。NHK福井放送局は同日のニュースでこれを伝えたが、申立人は「処分が発効する前の一方的な放送で、名誉・信用を著しく損ねた」と訴えた。
2002年12月10日 委員会決定
放送と人権等権利に関する委員会決定 第19号
- 申立人
- 福井県内の産業廃棄物収集運搬業者
- 被申立人
- NHK福井放送局
- 対象番組
- NHK福井放送局 ローカルニュース
- 放送日時
- 2002年5月24日 午後6時10分からと午後8時45分から
申立てに至る経緯
2002年5月24日、福井県廃棄物対策課は、県内の産業廃棄物収集運搬業者である申立人が、契約のない処理業者に産業廃棄物を運び込んだ上、廃棄物の受け渡しを管理するための書類に虚偽の記載をしていたとして、この収集運搬業者の事業許可を取り消す行政処分を行った。
NHK福井放送局(以下「被申立人」または「福井局」という)は、県が公表したこの処分内容を同日午後6時10分からと午後8時45分からのローカルニュース枠で放送した。
この放送に対して、処分を受けた収集運搬業者である申立人は、6月6日「NHKのニュースは誤った内容である上、不適正な画像放映が為されたことにより、申立人の会社や役職員らの人権と名誉を著しく損ねた」と文書で福井局へ抗議し、謝罪報道等の救済措置を講ずるよう要求した。
福井局では、福井県に問い合わせるなど報道内容について再調査したところ事実関係に間違いがないことが確認できたとして、6月8日申立人側に電話で「県の発表に基づき事実を伝えたもので、映像についても県の発表後に撮影取材したもの」と説明した。
しかし申立人側はこの説明に納得せず、6月10日にBRO事務局に「放送局側は非を認めず、決裂状態になった」と伝え、申立ての意向を示した。
その後申立人は6月14日福井県と県知事を相手取って「処分の取り消しと損害賠償を求める訴え」を福井地裁に起こした。
この一か月余り後の7月24日付けで申立人は「被申立人は当方への取材・確認をしないまま、県の一方的な言い分を報道して、当方の名誉・信用を毀損した」などとして、BRCに申立てたものである。
目次
- Ⅰ. 申立てに至る経緯
- Ⅱ. 申立人の申立て要旨
- Ⅲ. 被申立人の答弁要旨
- IV. 委員会の判断