放送人権委員会

放送人権委員会 委員会決定

2001年度 第16号

インターネットスクール報道

委員会決定 第16号 – 2002年1月17日 放送局:日本テレビ

見解:放送倫理上問題あり(少数意見付記)
日本テレビは2000年10月『NNNきょうの出来事』で、インターネットを活用して教育を行うフリースクールを取り上げた。学園側は、取材段階でアポなしの強引な取材だと抗議し、報道内容についても事実を歪曲した一方的な内容で、関係者や学園の名誉を著しく毀損したと申し立てた。

2002年1月17日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第16号

申立人
A
B学園高等部理事・事務局長
被申立人
日本テレビ
対象番組
日本テレビ ニュース番組『NNNきょうの出来事』
放送日時
2000年10月20日午後11時30分

申立てに至る経緯

申立ての対象になった番組は、2000年10月20日午後11時30分の日本テレビ放送網株式会社(以下、日本テレビという)のニュース番組『NNNきょうの出来事』で、「インターネットの落とし穴」のタイトルの下、約9分間、放送されたものである。
申立人が事務局長を務める「B学園高等部」(以下、学園という)は、インターネットを活用して教育を行う「フリースクール」で、放送では、入学した生徒たちからは、授業料を払ったのに何の指導もしてくれないと抗議の声があがっており、元生徒と保護者およそ20名からなる「B学園・被害者の会」(以下「被害者の会」という)が結成されているとし、同会会員らへのインタビュー、「生徒の撮影したビデオテープ」や「学園の委託先会社で取締役を解任された旧役員のカセット録音テープ」、申立人への「直接取材」などによって構成されている。
申立人は、この放送に先立つ取材段階において、「アポなし、無通告、かつ嘘を含め強引な」取材について、日本テレビに対し「質問書」などを提出、抗議をするとともに、取材及び放送の取り止めを求めた。放送後においても、「対立している被害者の会なるものの撮影したビデオテープや対立している人物のカセット録音テープ」を放送で使用し、「報道は事実を歪曲し、一方的な内容で関係者や学園の名誉を著しく毀損し、損害を与えた」として、日本テレビに対し、謝罪と被害の回復措置を求める「抗議文」を提出した。
これに対し、日本テレビは、取材は、「通常の報道番組の取材プロセスに沿ったものであること」、放送は、「すべて匿名であり、映像や音声の処理を通じて、プライバシー保護には、十分な注意を図っており」「放送した事実関係に、間違いはないものと確信している」と回答した。
申立人はこれにより、日本テレビとの話し合いはつかないと判断し、2001年7月11日付けで申立てを行ったものである。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立て要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁要旨
  • IV. 委員会の判断

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