放送人権委員会

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2012年度 解決事案

「ストローアート作家からの申立て」事案 審理入り後の和解合意により解決

本事案はフジテレビが1月9日(月・祝)の『情報プレゼンター とくダネ!』で放送した企画『ブーム発掘!エピソード・ゼロ(2) 身近なモノが…知られざる街の芸術家編』について、ストローアートの作家が申し立てたもの。
企画では、ストロー、バナナ、海苔、それに石を素材とした4作品を紹介した。申立人は、数本のストローで作った組作品のヤシを1本ずつに崩し、本来飲むためのものではないにもかかわらず、飲み物に挿して喫茶店の客に出し反応を撮影・放送したこと、出演者に4作品の人気投票をさせた上、キャスターが「石以外は芸術ではなく趣味の域だ」とコメントしたことについて、「過剰で誤った演出とキャスターコメントにより、独自の工夫と創作で育ててきたストローアートと私に対する間違ったイメージを視聴者に与え、私の活動と人権を侵害した」と主張した。
これに対し、フジテレビは「演出方法を明確に説明せず、申立人に不快な思いをさせたことは真摯に反省し申し訳ないと考えている」として、放送でのお詫び案を示しメールで交渉を重ねてきたが、決着しなかった。
5月の委員会で審理入りが決まり、6月の委員会で書面審理、7月の委員会では申立人とフジテレビにヒアリングを行い、詳しい話を聞いた。ヒアリングを受けて委員会は、フジテレビがお詫びの意思を表明し、申立人に対し数度にわたり謝罪案を提示してきた経緯等もあることから、双方に対して和解による解決を打診した。
これに対し双方とも和解に応じる意向を示したため、委員会が作業を進めた結果、フジテレビは放送で演出についてお詫びし、ホームページでは演出のお詫びとキャスター発言等について見解を表明する一方、申立人はこれを受け入れ委員会への申立てを取り下げるとした合意に至り、8月21日に和解合意書を取り交わした。
その後、フジテレビは、8月23日放送の当該番組内、及び、同日から7日間ホームページにおいて合意内容を履行した。
審理入り後の和解解決は3件目となる。

【委員会コメント】

本事案において、委員会が双方の主張を十分に聞いたうえで和解を斡旋し、申立人も納得する形で早期に解決できたことは、放送による被害者の救済という委員会の使命にもかなうものと考える。
局側は、自ら反省している点は今後の番組作りにおいてぜひ活かしていただきたい。

(放送2012年1月9日 解決8月21日)