放送人権委員会

放送人権委員会

2007年度 解決事案

「ラジオ番組で誹謗中傷された」との元局アナからの苦情

以前放送局に所属していた元女性アナウンサーが「当該局のラジオ番組で、男性アナウンサーの嘘の発言によって誹謗中傷された」として「局の謝罪と発言したアナウンサー本人の反省のことば」などを求めて7月放送人権委員会に苦情を申立てた。
放送人権委員会事務局では、双方に対し「話し合いの余地があるのではないか」と交渉を続けるよう勧めていたところ、当該局より「話合いの結果、このほど全面的に解決した」との報告があった。
事務局で女性のブログを確認したところ、女性も「尊敬する方々から謝罪を頂き、(発言した)本人からも誠意ある言葉を貰ってすべて解決した」とブログに書いており、本件は、放送人権委員会の審理をまたず円満解決したものとして委員会に報告、了承された。

(2007年6月放送、2007年7月解決)

「松茸の産地偽装疑惑報道」への苦情

11月、某地方の松茸販売業者から「当店は、この地方でただ一店、産地表示して松茸を売っているのに、朝早くからアポイントもなく押しかけてきた記者に最初から結論ありきの態度で長時間取材され、中国・韓国産の松茸をあたかも当地方産と偽装して販売しているように報道された。局に抗議すると『間違った放送はしていない』の一点張りだった」と苦情を申立ててきた。
放送人権委員会事務局では、当該局に対し「申立人は、地元商工会や観光協会との関係を一番問題にしている」と伝えた。これを受けて局の番組責任者が申立人を訪れて話しあった。その結果、「産地偽装についてはそれぞれ言い分があったが、“アポなし長時間取材”等についてはお詫びした。申立人は当方の誠意を認めてくれて和解に応じ、解決書を取り交わした」との報告があった。
また申立人に確認すると「局の責任者が商工会・観光協会にも事情を説明してくれた。お陰で円満に解決することができた」ということであった。

(2007年11月放送  2007年12月解決)

「無理やりインタビュー・放送に抗議」

事務局から、仲介・斡旋解決事案として下記内容を委員会に報告し、了承を得た。
「取材を拒否したのに無理やりインタビューされた上放送(2008年2月21日)された。テレビ局に抗議し謝罪を求めたが誠意ある対応を示さない」と、宮城県在住の商店従業員が委員会に苦情を訴えてきた。
抗議の内容は、「2月にテレビ局から、深夜番組の恋愛応援企画コーナー(バレンタインデーに女性がチョコレートを渡すのを応援するもの)での取材要請があったが、はっきり断った。にもかかわらずテレビ局は女性と共に待ち伏せし、仕事を終えて店を出たところで無理やりインタビューされ、取材を断っている場面を放送された」というもの。
放送後の抗議に対し、テレビ局は「匿名、モザイクにしたので名誉毀損には当たらない」と釈明し、「迷惑をかけたとしたらすまない」との意向を示したが、商店従業員は「まったく誠意が感じられない対応だ」として、BRCへ訴えた。
BRC事務局では、「商店従業員は放送された人の気持ちを考慮した誠意ある謝罪を求めている」とテレビ局に伝え、話し合うよう要請していた。その結果商店従業員から、「2度の話し合いの末、このような取材の再発防止などをテレビ局が約束してくれたので了解した」との連絡を受けた。またテレビ局からも、同日「円満解決した」との報告があった。

(解決 2008年2月29日)

「産廃不法投棄業者の隠し撮り報道」委員会審理を経て仲介・斡旋解決

福島県いわき市の木材加工会社の社長が、隠し撮りの放送(2007年12月12日)により人権を侵害されたという申立てについて、133回委員会で、その社長と当該局・福島テレビの関係者から個別にヒアリングを行った。
この中で社長は、「産業廃棄物を自社の敷地に不法投棄していたことは事実で反省もしている。しかし隠しカメラで、雑談と思わせインタビューされ、これを逮捕当日のニュースに使われたのは納得できない」と申立てに至った理由を語った。その上で社長は、「地元の同業者は産業廃棄物の扱いに疎いところがあったが、今回の逮捕によって皆で研究していこうという機運も出ている」と語ると共に、BRCに申し立てし、このヒアリングに出て話が出来たことで、福島テレビに対する怒りの気持ちも、ずいぶん落ち着いてきたと率直に語った。
一方福島テレビ側は、「悪質な産廃不法投棄事件であるが、社長はインタビューに応じてくれなかった。しかも逮捕も間近であり、なぜ不法投棄を続けていたかを報道するためには隠し撮りもやむを得なかった。従って申立人への人権侵害などに当たるものではない」と主張した。しかし「隠し撮りの放送により社長が不愉快になった気持ちは十分理解できる。その気持ちも重く受け止め、こうした取材については今後も十分慎重に対応したい」という考えを明らかにした。
この考えの表明を受け、委員会で改めて申立人に聞いたところ、「相手の気持ちも分かったので、これ以上争う積もりはない」として苦情申立てを取り下げることとなった。

(解決 2008年3月18日)