放送人権委員会

放送人権委員会

2006年度 解決事案

「疑惑解明に後ろ向きと報道され名誉を傷つけられた」との苦情

9月、ある地方都市の保守系市議会議員が「地元局で放送されたニュース特集で、議員としての名誉を著しく傷つけられた。報道姿勢に問題があると思うので放送人権委員会で審理してもらいたい」と、前触れなく文書で要請してきた。
このニュース特集は、「福祉と利権の構造」をテーマにしたもので、市の特別養護老人ホームを巡る贈収賄事件を調査する百条委員会が「選定過程に問題はなかった」との結論を出したことを受け、市議会の不作為を糾弾する内容だった。
苦情を申立ててきた市議会議員は、「百条委員会で疑惑解明に後ろ向きの言動を取り続けたように描かれた」と主張していたが、当該局では「報じたことはすべて事実であり、また本人に直接取材を申し込んだが拒否された。報道機関としての対応は十分にしている」と反論していた。
放送人権委員会事務局では「名誉を傷つけられたとの主張に具体性がなく、また間違った事実関係が報道されていないので、放送人権委員会への審理要請案件としては無理がある」ことを議員に説明、再考をうながしていたところ、2週間後「事務局の指摘を考慮し、苦情申立を取り下げる」と伝えてきた。

(2006.10.5放送 06.11.10解決)

「説明された企画意図とは違い、虚偽の内容を含む形で放送された」との苦情

10月、東京の映画製作会社の代表から「製作した映画の紹介をするという企画意図だったので取材に応じたが、放送では監督個人のことに終始し、虚偽の内容を含む捏造としか思えないものもあった。取材に来たテレビ制作会社に抗議したが、何の回答もない」と強い抗議が寄せられた 当該局に問い合わせたところ、「すぐに社内調査する。事実関係がわかり次第報告する」ということであった。
映画は、在日コリアンである監督自身の家族を10年にわたって追い続けたものだが、映画製作者側が最も問題にしていたのは、監督と朝鮮総連が対立的にあるように扱われたことだという。
しかし10日後、映画製作会社の代表から「放送人権委員会の仲介で当該局の番組責任者とようやく会えて話し合うことができた。放送人権委員会から声をかけられて初めて局が動いたということになるが、相手の態度に誠意を感じたので穏便にことを納めようと思う」と伝えてきた。またその翌日、局からも「監督の在日コミュニティーの中での立場が悪くなったとするならば、申し訳ない」旨の当方の反省を理解してもらい、和解した」との報告があった。

(2006.10.27放送 06.12.20解決)

「不審死幼児の母親と間違って報道され、退職を余儀なくされた」との訴え

10月、秋田県大仙市の浅い農業用水で不審死した4歳男児の遠縁という若い女性から「葬儀の際に、男児の母親(後に殺人容疑で逮捕)と間違われて、泣いている顔を正面から写されテレビのニュースで放送された」と訴えてきた。さらに当該女性の母親から「番組では“31歳の子持ち”とコメントされたが、娘は20歳代で来年早々に結婚を控えている。娘は興奮し、仕事にもいけない状態だ」と、苦情を申し立ててきた。
局側からは「すぐに訂正し、担当責任者がお詫びに行き、詫び状を手渡した」との報告があったが、その後、女性は退職を余儀なくされたという。
しかし、12月はじめになって、本人の父親から「娘の病状はだいぶ回復した。当該局の番組責任者が3度も秋田に来られ、謝罪をされ、誠意を感じるようになった。いかがすべきだろうか」との相談があった。BRC事務局から「局の誠意を感じるのであれば、和解されてはどうか」と伝えたところ、まもなく局側から「無事、和解・解決した」との報告があった。

(2006.10.00放送 06.12.00解決)