青少年委員会

青少年委員会 審議事案

2004年10月

『アカデミー受賞作品特集「ピアノ・レッスン」』NHK

『アカデミー受賞作品特集「ピアノ・レッスン」』(2月26日放送)に関するNHKからの回答

意見の要旨

  • ワイセツで抑制に欠けた全裸男女の性交場面が放送された。これはアカデミー受賞作品ながらR指定映画である。青少年がテレビを見ている時間帯にR指定映画を放送するNHKの青少年健全育成の姿勢に欠ける放送姿勢に強い怒りを覚える。親が子のテレビ視聴をしっかり管理するのも当然だが、それには事前に放送局なり新聞のテレビ欄などで事前に子どもが視聴するには有害である旨の情報提供が必要だと思う。スイッチひとつで簡単にお茶の間に直結してしまうテレビという情報媒体の中で青少年の保護育成をとるのか性、暴力表現を含む表現の自由や芸術性をとるのか、大きな問題だと思う。

    (男性 FAX 三重)

  • 放送番組向上協議会には以前から善処方を申し入れているが、「ピアノ・レッスン」には、セックスシーンがあり、モザイクはあったが足を広げていた場面があった。NHKにも電話したが「NHKはポルノは流していない」の一点張りであった。私が言いたいのは、せめて番組の冒頭に、セックスシーンがあり、青少年には向かない映画であることを明示すべき、ということだ。

    (男性 電話 茨城)

  • R指定映画でありながら青少年視聴時間帯に全裸男女の体位も明白で猥褻な性行為場面が放送されていた。アカデミー受賞映画であるがR指定であり、青少年にとって有害な性表現を含む映画である以上青少年に配慮した放送をするべきではないか。この問題をBPOが看過するとしたならばどこが番組の健全化を図れるのか。事前に青少年にとって有害である旨の情報提供もされておらず親として子どもの視聴管理をおこなうこともできない。

    (男性 Eメール 岐阜)

局の回答

NHK衛星第2テレビでは、2月から3月にかけてアカデミー賞を受賞した映画を70本放送しました。「ピアノ・レッスン」は、そのうちの1本として放送したものです。

この映画は、1993年オーストラリア制作で、ニュージーランドの女性監督の作品です。アカデミー主演女優賞、助演女優賞、脚本賞の3部門を受賞したのをはじめ、カンヌ国際映画祭でも女性の監督としては初めて「パルム・ドール賞(グランプリ)」を受賞し、国際的に高く評価されました。女性監督ならではの繊細さとともに、力強さに満ちており、全編に流れるピアノの旋律が見る者の心を強く揺さぶる、質の高い作品です。

映画館で一般公開される映画について、映画業界が独自の基準を設けていることは承知していますが、NHKでは自主的に定めた番組基準に照らし合わせて映画の放送を行っています。その基準では、「性に関する問題はまじめに、品位を失わないように取り扱う」としています。

今回は、作品の高い評価と芸術性、ストーリー展開のうえでのシーンの重要性等を検討したうえで、放送の判断を致しました。ご指摘のあった場面は、多くの人がご覧になる放送時間帯であることを考慮し、一部の映像を独自に加工して放送しました。

映画の放送にあたっては青少年の視聴を考え、作品の内容や放送時間帯について、視聴者の皆様のご意見を十分に踏まえ、慎重に取り扱うようにしたいと思います。ご理解をよろしくお願いいたします。