青少年委員会

青少年委員会 審議事案

2004年10月

『脳力探検! ホムクル!! ABOAB血液型性格診断のウソ・ホント!』TBS

『脳力探検! ホムクル!! ABOAB血液型性格診断のウソ・ホント!』(6月5日放送)に関するTBSからの回答

意見の要旨

  • 「人は血液型により性格が違う」「血液型による相性がある」「血液型により人の行動パターンは違う」などと、学者が出演して“血液型が人格を決定する”と断定するような内容の放送だった。私は教育関係者。子どもたちが占い

    や血液型診断を信じ、いかに影響を受けやすいかを知っている。事実、佐世保市の小6同級生殺害の加害者のホームページにも、血液型や占いなどに関する書き込みがあったというではないか。このような放送内容は、青少年への悪影響

    が極めて大きいと思う。放送関係者は青少年への影響という点をもっと真剣に考えて番組づくりをすべきだ。

    (女性 20歳代 福岡)

  • 血液型で性格や人との相性が決まる、そんな内容の番組だった。血液型や姓名判断などは、単純にこれを信じ、これにより欠点や短所を指摘されたために悩んだり、自分だけ差別され、仲間はずれにされたような疎外感に苦しんでい

    る人が多い。私もそのような一人で、この番組は非常に不愉快だった。視聴者に不快感を与えるような番組は放送すべきではない。

    (女性 30歳代 東京)

  • 血液型と性格が関連があるという放送があった。問題なのは、この放送によって、血液型による差別(就職差別等)や、いじめなどが起こっていることだ。心理学者は性格と血液型との関連について否定しているが、制作側の視聴率獲

    得が優先され、倫理的な問題が無視されている。

    (男性 30歳代 茨城)

局の回答

2004年6月5日(土)19:00~20:50放送の『脳力探検!ホムクル!!ABOAB血液型診断のウソ・ホント!本当の自分&相性…すべてわかるスペシャル』に関するご意見にご回答申しあげます。

貴青少年委員

会に寄せられたご意見を拝見いたしました。また、私どもTBSの番組制作担当者に対しましても、電話やメール等で数多くのご意見をいただきました。これらを総合してみますと、その多くは、①血液型と性格の関連から短所や欠点を

指摘することによって差別につながるというご意見と、②血液型性格診断は科学的根拠がないのにもかかわらず、あたかも確固たる事実のように放送するのは問題である、というご意見に大別されます。

そこで、貴委

員会に寄せられた「意見の要旨」と合わせて、この2点を中心にお答えさせていただきます。

【特定の血液型への差別について】

この問題に関してTBSに寄せられた抗議の大半はB型の人からでした。具体的には、「B型に対して何故あんなにひどいコメントや偏見ばかりの結果を出したのですか」「B型だけが悪く言われる意味がわかりません」などという内

容で、このことから差別に繋がるという懸念を示す意見もありました。こうした意見が多数寄せられる内容になってしまったことについて、私たちは深く反省いたしております。

私たちは、人格を否定するようなコメ

ントは極力排除するなどの注意はいたしましたが、残念ながらコーナー企画の一部には配慮を欠いたものが含まれてしまいました。血液型をテーマにする番組や書籍では、少数派のB型とAB型を笑いものにする傾向がありますが、今回

、“少数派だからこそ大切にする手当てが必要なのだ”という姿勢を再確認し、深く反省するとともに、検討を重ねました。
その後、放送されたTBSのレギュラー番組『脳力探検クイズ!ホムクル』の血液型コーナーでは、差別

に繋がりかねない表現をカットするとともに、どの血液型についてもその長所を強調する形で扱いました。更に、「個人差があります」というスーパーテロップをできるだけ多く挿入しました。これらの番組については、現在まで差別的

に扱われたという意見は殆どいただいておりません。

今後、血液型を扱う際には、教育関係の方から貴委員会に寄せられた「子どもたちが占いや血液型診断を信じ、いかに影響を受けやすいかを知っている」という意

見を深く受け止め、更に慎重な番組制作を行っていくつもりでおります。

【血液型性格診断の科学的側面について】

貴委員会に寄せられた「心理学者は性格と血液型との関連について否定している」という意見と同様に、TBSにも「最初から『関係がある』と決めつけて番組を作ったのではないでしょうか」という趣旨の指摘がありました。
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私たちのチームは『どうぶつ奇想天外』を11年間、『スパスパ人間学』を5年間制作し、さらに1997年からは『生命38億年スペシャル“人間とは何だ”…!?』の制作・放送を続ける中で、多数の科学者を取材してまいりました

。その中で学んだことは、科学的な仮説は常に変わり続けるということ、また説明できない現象も非常に多くあるということでした。

私たちは2001年に放送した『スパスパ人間学!貴方の知らない本当の性格・好かれる

理由・嫌われる理由スペシャル』の中では、血液型診断については「基本的に否定する」立場に立って取り扱いました。
しかし、その後、免疫学の分野を中心に、免疫力と血液型の関連、免疫と性格の関連が指摘されて始めていま

す。私たちは今回の番組では、これらの新しい研究成果をもとに幼稚園児に協力していただき、彼らの性格、行動パターンについての実験を行いました。

これらの結果を基礎にして今回の番組を構成したわけですが、番組づ

くりの編集段階で、性格づけを強調しすぎてしまい、あまりにもステレオタイプ化させてしまったという点について、反省いたしております。この反省をもとに、これ以降に放送された『脳力探検クイズ!ホムクル』では、「仮説です」

というスーパーテロップを出し、「…と言われています」「…かもしれません」など、絶対的なものという印象を与えないようにいたしました。 私たちも、性格は環境など後天的なものによって形づくられる要素が大きく、血液型のみに

よって決定されるという立場には立っておりません。特に心理学の分野では血液型と性格の関連は否定されているということは充分に認識いたしております。

今回、貴委員会に寄せられた意見、それに私どもTBSに寄せら

れた視聴者の皆様からの意見を重く受け止め、家族全員で楽しめる、より良い番組づくりを慎重に進めていく所存でおります。

〔2004年8月11日付〕