青少年委員会

青少年委員会 審議事案

2004年10月

『はねるのトびら』フジテレビ

『はねるのトびら』(7月27日放送)に関するフジテレビからの回答

意見の要旨

  • アレルギー性の皮膚炎を持っている女の人を笑いものにしたコントがあり、酷く心を痛めた。私も元アトピー 患者で、番組で笑いものにされているような症状・状態だった。アトピーは小さい子も非常に苦しみ、大人になっても仕事上でひどい目にあったり、症状の悪化で仕事ができなくなって自殺してしまう人もいるような状況だ。このような、人が悩み苦しんでいることをネタにして笑いを取ろうという番組制作側の態度にとも腹が立ち、悲しく思った。皮膚病の子や、外見に障害を持つ人に対し、子どもの“無意識の差別て行動”を助長するような番組を公共の電波で流すのは許せない。

    (女性 24歳 大阪)

  • たびたびアトピー(アレルギー)患者に対して配慮のない番組を制作している。アレルギーは、まだまだ勘違いされやすい病気であり、子どもたちが誤解することもある。こういったことを配慮して番組制作してほしい 。

    (男性 36歳 埼玉)

  • アレルギー患者の村田さなえという人が登場するが、あのコントは、アレルギー患者、アトピー患者に対して非常に失礼だ。アレルギーやアトピーで苦しんでいる人は大勢いる。まして、食物アレルギーは小学生低学年以下の子どもに多く、みんなが給食のところ、自分だけお弁当を持って行くという子もいる。食物アレルギーはアナフラキシーショクを引き起こすこともあり、死ぬこともある。フジテレビは、そういったことを知った上でこういう番組を制作しているのだろうか。子どもが皆と違うのが嫌で、アレルゲンの食物を口にしてショ ックを起こして死んでしまったりしたら、どう責任を取るつもりか。恥ずかしくないのか。血が出るほど掻きむしらないといけない状況を本当にわかっていて、そういう言葉をセリフにしているのか。病気を笑いものにするとは、制作者の常識のなさに本当に憤り感じる。

    (女性 31歳 大阪)

  • アトピー患者であるために他に方法がない行動や言動を、過剰な表現で演出し、アトピー患者や関係者に対し不快な思いをさせるようなコントが放送された。治療に全力を尽くしながらも完治せず苦しんでいる人が、このコントでどれだけ不快な思いをしたことか。番組制作者には想像もつかなかったのか。コントの制作者は、アトピーに対する知識がありながら作ったのか、それとも何の知識もなく軽い気持ちでネタにしてしまったのか。どちらにしても許されないことをしてしまったのは間違いない。アトピーのキャラは異常な人間として見えても仕方ないように設定されており、あってはならないことだ。小学生の視聴者もいるようだが、アトピーに対する認識が浅かったり、初めて知った病気だった場合に、このコントの与える影響は計り知れないだろう。アトピーで苦しんでいる人の神経を逆なでするようなネタは許せない。

    (男性 18歳 兵庫)

  • 私も、アトピーでいじめこそなかったものの、他人の目が気になり学校を休んだこともあった。人気お笑い番組でアトピー患者を笑いものにすれば、番組を見た子が学校でアトピーの子をいじめる。大人にはある程度、理性があるが、子どもはそこまで考えない。

    (男性 18歳 滋賀)

局の回答

“村田さなえ”コントの放送について、公式HPで謝罪した理由と、その後放送していないことについての理由

7月27日に放送した『はねるのトびら』の中の“村田さなえ”コントは、楽しく盛り上がっている周囲の若者たちに水をさす人物という設定で考えたものです。

この中で、あくまでも本意ではなかったにせよ、アレルギーで悩んでいらっしゃる方々の気持ちを無視した表現をしてしまった面があり、番組プロデューサーはこれを深く受け止めるとともに、いつも番組を応援してくださっている方々を失望させてしまったことについてもお詫びしたいとの趣旨で、番組のHP上にプロデューサー名で謝罪文を掲載いたしました。

ただし、“村田さなえ”を使ったコント自体を中止したわけではなく、今回の一連の経緯と視聴者のご意見を番組に反映させるべく内容の改善準備を図っていたための休止として、放送を行っていませんでしたが、今後は再び“村田さなえ”コントを再開する予定です。

〔2004年9月29日付 〕