青少年委員会

青少年委員会 審議事案

2005年3月

『月曜エンタぁテイメント~心と体の血液型大診断』テレビ東京

『月曜エンタぁテイメント~心と体の血液型大診断』(2月14日放送)に関するテレビ東京からの回答

これは、2月にテレビ東京で放送された血液型性格診断を扱う3時間のスペシャル番組について、視聴者から「昨年の青少年委員会『要望』にもかかわらず、血液型によって人間を分類しようとする従来どおりの番組と根本的な姿勢は変わらない」との意見が多く寄せられたため、委員会が当該局に見解を求めていたものです。

その回答は以下のとおりです。

〔テレビ東京からの回答〕

昨年12月の青少年委員会『要望』をどう受けとめたのか

2004年12月に青少年委員会から出された『”血液型を扱う番組”に対する要望』について、テレビ東京ではその内容を検討し、「血液型」を扱う番組を制作する際には、『要望』の中で述べられている三つの事項(①血液型によって人の性格が規定されるという見方を助長することのないようにする、②視聴者から寄せられた意見に真摯に対応する、③占い番組や霊能番組など非科学的内容の取り扱いについて青少年への配慮を一段と強める)などに配慮するよう制作セクションに徹底しました。

今回、血液型を放送で取り上げるにあたっての社内議論と局の判断

番組編成を担当する編成局および番組制作にあたる制作局で「血液型を扱う番組」について議論を重ねました。主に「視聴者の番組への期待」と「差別につながりかねないなどの問題点」についてです。

「血液型」はさまざまなメディアでも特集が組まれ、社会現象・社会的な流行の一つと言えるテーマとなっています。テレビメディアの役割の一つが、この社会現象の一側面を切り取って、番組として視聴者に伝えることと考えており、マスメディアの使命の一つであるとも考えています。ただし、視聴者から、青少年委員会や各テレビ局に対して批判的意見が寄せられていることは事実です。このため、番組を制作・放送するにあたっては、さまざまな配慮が必要であるとの考え方に至りました。

放送にあたって留意した点

  • 特定の血液型の人を差別しない……特定の血液型の特徴だけを特別視して、面白おかしく、かつ悪い印象を与えるような伝え方は避ける。
  • 科学的根拠があるように装わない……番組では、スタジオに200人(各血液型50人ずつ)を集め、リアルタイムでアンケートを実施する形式をとりました。「A型の人は○○である」などと、これまで言われてきたことを断定して伝えるのではなく、スタジオの200人のアンケート結果から、血液型に関する傾向を探りました。また、VTRで紹介する各血液型の「行動観察」の結果などについては「個人差があります」などのスーパーテロップを適宜挿入し、注意喚起しました。
  • 子どもたちの出演について配慮する……子どもたちの出演については、青少年委員会からの『要望』の中にも意見がありました。「見世物になっており、また、子どもたちをだますような実験も含まれており社会的に好ましくない」という指摘でした。「非科学的」と言われるテーマを番組で扱う際には、肯定的に取り扱わず、また常に青少年へ与える影響について注意をしてきました。当番組でも子どもたちの出演については親権者の了承を得た上で協力してもらい、取材・構成にあたっては「子どもたちのかわいらしい姿を覗いてみる」という趣旨を強く打ち出しました。さらに番組内で、子どもたちの出演部分が過度なウエートを占めないように放送時間(長さ)についても配慮しました。

放送後の視聴者意見と、それを受けた社内議論

放送後、電話やEメールなどで視聴者から51件(電話46件・Eメール5件)の意見が寄せられました。内容は「血液型」を番組で扱うことに批判的な意見が多く、その主なものは、「血液型によって人間(性格)を分類する番組はやめるべきだ」「血液型番組は差別を助長する」というものでした。

放送後に編成局および制作局で議論し、視聴者からの意見を真摯に受けとめるとともに、表現に関して事前に決めた留意点について、一定の配慮を行い放送したことを確認しました。今後、「血液型」を番組で扱うかどうかは、再度、社内での協議を深める必要があるとの認識です。

以上が回答ですが、青少年委員会から出された『要望』を2005年1月12日開催の放送番組審議会で報告しました。委員からは、「(血液型が性格を)決定しないという証拠もない、あるいは決定するとの証拠もないので、(血液型に対して)言ってはいけないというのもおかしな話ではないか」「こういう番組の制作については、よほどの注意を払ってのぞんでほしい」などの意見がありました。

委員会で検討したところ、委員からは、昨年の『要望』にもかかわらず、同じようなテーマの番組が放送されたことについて、「青少年委員会の存在意義にも関わる問題だ」など、厳しい意見が多く出されました。また、”科学的根拠があるように装わない”よう留意したとの局の回答について、「非常に中途半端な姿勢で番組が作られていると感じた。こうしたテーマを取り上げることにどれだけの意義があるか、作り手は意識すべき」「科学的根拠を装わないと言いつつ、スタジオでのアンケート結果を出すのは、ずるいと感じた。素人が見れば根拠があるように思う場合もある」などの指摘があったほか、「”社会現象の一側面を切り取って番組にするのがテレビメディアの役割”と回答にあるが、そうした流行を作り出しているのはメディアであり、責任転嫁ではないか」との意見も出されました。

さらに、「要望を出す前の番組と比べると、特定の血液型を差別化する観点は弱まっているが、番組づくりとしては安易だ」「委員会の要望と局からの回答が噛みあっていないと感じる。委員会も、制作者と接点を持つなど、もう少し投げかけ方を考えないといけないのでは」「この問題について、委員会としてどこまで踏みこみ、機能していけるのか難しい」「要望の趣旨は議論を喚起すること。いろいろな変化球を投げ続けていくことが必要」など、今後に向けた意見も述べられました。

議論の結果、今回のような血液型性格診断だけではなく、”ステレオタイプ的な見方の助長”という課題について、今後とも必要に応じて協議することを確認しました。

〔2005年4月5日付〕