『リミット~もしも、わが子が』讀賣テレビ
『リミット~もしも、わが子が』に関する讀賣テレビからの回答
意見の要旨
- 誘拐、監禁、臓器売買に子どもを利用など、同じ年頃の子どもを持つ親として見ていられなかった。「子どもの成長過程を描く」などと言っていたが、犯罪が低年齢化している今、10代の子どもが誘拐をするというのは、マネをされそうで恐ろしい。設定がいきすぎだし、やるべきではない。1回目から変えて欲しい。
(女性、32才)
- 中学の教師が教え子と関係を持ち、共謀して犯罪に関わる話だが、教師に対する冒とくであり、不愉快。少年犯罪について考えなければいけない時に、笑いながら子どもを誘拐し、テニスバッグに子どもを入れて運ぶ、など実際に起こった事件を想起させる。被害者の関係者が見たらなんと思うか。ニュースだけでも毎日、明日は被害者になるかと思いながら見て暮らす時代に何がいいたくて制作しているのか理解できない。子どもたちの将来に影響するのではと心配だ。
(女性、32才)
- 臓器移植のために子どもを売る、性の対象にする、遊園地で遊んでいる子に睡眠薬を与えスポーツバッグに詰めて運ぶ、身代金目的で檻に入れて船で子どもを運ぶ、など幼児虐待の極みだ。幼児を対象にしたこのような犯罪をテレビで放送するのは、最近の犯罪を助長するようなもので怒りを感じる。制作した局に電話したら収録は済んでいるから放送するといわれた。何とかして欲しい。
(男性、37才)
局の回答
- 見解
野沢尚の原作『リミット』に基づくこのドラマが目指すところは「母性の強さと親子の愛情の強さをベースにしたミステリードラマ」です。
このドラマでは幼児誘拐・臓器売買・違法移植といった犯罪を扱っています。しかし、決してそれらの社会的凶悪事件自体を面白おかしく描こうとしているわけではありません。制作担当者と審査室が企画段階から、考査的倫理的問題について協議を重ね、民放連放送基準65条、66条、70条(下記添付条文参照)に鑑み、犯罪表現については特に慎重を期することを取り決め、その趣旨を制作担当者は脚本、映像構成、演出に反映させるべく努力をしてきました。
65条 犯罪を肯定したり犯罪者を英雄扱いしたりしてはならない。
66条 犯罪の手口を表現する時は、模倣の気持ちを起させないよう注意する。
70条 誘かいなどを取り扱う時は、その手口を詳しく表現してはならない。しかしながら初回放送後、視聴者から「誘拐、子どもの臓器売買等、同じ年頃の子を持つ親として見ていられなかった」「幼児を対象にしたこのような犯罪をテレビで放送するのは、最近の犯罪傾向を助長するようなもの」等々の意見・苦情・抗議が、制作局の讀賣テレビに81件、系列の日本テレビには168件寄せられました。またそのうちの一部は当社の視聴者センターによる番組意図の説明に納得せず、「放送と青少年に関する委員会」に意見・苦情を寄せてきた旨、貴委員会よりご指摘を受けました。
企画意図の如何に関わらず、この事態を重く受け止めた当社では、副社長の指示のもと、次項目のとおり、青少年配慮を中心に対応策を協議・具体化させております。
- 青少年配慮等の改善対応策
編成局長、制作局長および審査室長が善後策を協議、制作局長を通じて、「第3話以降最終話(第2話は収録済みであったが、大きな問題なしと判断)までの台本を再チェックし、細部にわたって青少年の視聴等に十分に配慮するように」と制作現場に指示しました。
これを受けて、制作担当者は再度審査室と話し合ったうえで、下記のごとく演出配慮することを改めて確認し、視聴者の皆様のご理解を得るべく努力を続けています。
a.青少年が模倣しないよう、犯罪表現については最大限の注意を払いつづける。
b.具体的な犯罪手口は今度も一切表現しない。
c.7月3日放送の第1話は、連続ドラマの初回という性質上、幼い子どもを連続して誘拐する犯罪者達の行為を中心に描いたが、2話以降は予定通り息子を救おうとする母の愛の強さを中心に描いていく。そこでも子どもに対する犯罪表現が残酷と思われる部分については、視聴者の皆様の嫌悪感をいたずらに刺激しないよう配慮演出する。
d.犯罪者の醜悪さを描き、犯罪を犯した人間はどんなに巧妙に逃げても、必ず罰せられるという勧善懲悪的結末を迎える構成にする。尚、7月26日現在、すでに第4話まで放送しておりますが、2話以降は視聴者からの意見・苦情・抗議が大幅に減少していることを申し添えさせて頂きます。