青少年委員会

青少年委員会 審議事案

2000年4月

『池袋ウェストゲートパーク』TBS

『池袋ウェストゲートパーク』に関するTBSからの回答

意見の要旨

  • 現代の若者の生態をリアルに描いており、ドラマの趣旨は理解できるが、警官の描き方がひどい。誤解し、バカにしてしまうのではないか。

    (女性、30代)

  • 血、刃物、暴力などの描写は今の時代を考えているとは思えない。テレビドラマが世の中の風潮を作り、その風潮をまたドラマ化するという具合で、局は自分たちがその風潮自体を作り出したことを認識していない。人気のタレントを使ってカッコ良く描くと、子供たちが勘違いをする。

    (男性、41才)

  • 暴力シーン、女性の裸、未成年の喫煙シーンはやめて欲しい。

    (女性、47才)

局の回答

本作品は、同名の原作を基に企画されており「イマドキノワカモノ」の悩みや成長や友情を描いていくことが意図するところです。主眼に置いているのは、一見、暴力的で刹那的に見える彼らのなかにも、まだ義理や人情といった「ナニワ節」が生きており、人間的な魅力にあふれているというメッセージです。そういう意味では、まさに若者に視聴して考えてもらいたい作品です。そのため絵空事ではなく、彼らの生活をリアルの描いていこうとすれば、街で起こる様々な現代的風俗を、演出として取り上げることが必要不可欠となります。

番組内には暴力シーンがあり、暴力による問題解決を安易に選びがちな若者たちの生態を描く場合もありますが、制作側としては「暴力は最終的な問題解決にはなりえない」と考えており、暴力や違法行為を礼賛したり、肯定したりする意図はいっさいありません。その為、演出の方法としても、カット割などで、暴力の局部的、物理的な描写は極力避けるなど、配慮しています。ただ、第1話、第2話の放送後、視聴者の方々の反応や、局内での感想として「暴力的表現が過剰なのでは」という意見もあったので、編成部、審査部などとも総合的に検討し、第3話以降の描写に関しては、さらに慎重に配慮しています

若者の事件が数多く発生し、「病んでいる」とも言われる現在の状況のなかで、あえてこの番組を制作するのは、日本の若者に現実の誘惑や欲望に安易に流される事なく、「夢や希望」を持って、生きてほしいと願っての事です。学生時代は劣等生、仕事もちゃんと持っていないけれど、人生回り道をしたおかげで、かえって懐の深い「頼れる男」になったという主人公の活躍を描いていくことによって、型破りなヒーロー像を新たに提示し、「こんなヤツが仲間にいてくれたらいいな」と思ってもらえたら幸いだと思っています。

また、元来連続ドラマは1クール通して視聴していただいた後に、初めて作品の意味や意図が正確に伝わるものなので、途中の回で誤解等が生じる事も充分考えられます。その為この種の作品は、1回ごとに、より配慮が必要であるとも考えております。

ご指摘の点に関してですが、女性の裸を必要以上に描写している箇所はありません。(シャワーシーンも背中から及び、腹部だけしか映っておらず、風俗店の女性も水着を着用しております。)未成年の喫煙シーンは存在せず、喫煙する登場人物は全て、役の設定も俳優の実年齢も20歳以上です。

警官の描写に関しては、確かにご指摘の通りの部分もありますが、この巡査の出てくるシーンは、コメディーの意味合いが強く、行動も意識的にかなりデフォルメしており制作側としては、劇画調の描写を狙ったつもりです。それ故、決して「警官をバカにし」たり、誤解を生むように意図しているわけではなく、視聴者も充分理解できると考えておりましたが、今後は、より慎重に配慮していくつもりです。